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出展期間はわずか3日間も事業費は約5400万円 大阪・関西万博に静岡県が「食をアピールする」ブース

ブースのイメージ(提供:静岡博報堂)

2025年4月から半年間開催される大阪・関西万博。静岡県の鈴木康友 知事は6月11日に行われた定例会見で、県が出展を予定するブースの概要を披露した。ただ、出展期間はわずか3日間。にも関わらず、事業費は5390万円に上るという。

大阪・関西万博に静岡県も出展

大阪府大阪市にある人工島・夢洲で開催される2025年日本国際博覧会、通称「大阪・関西万博」。

「-People’s Living Lab- 未来社会の実験場」をコンセプトに、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマのもと、2025年4月13日から184日間にわたって開催される。

これまでのところ161の国と地域、さらには9つの国際機関が参加を表明しているが、静岡県も県内の自然や食文化の多様性といった魅力を知ってもらい、来場者による県産品の購入や観光誘客、交流人口の拡大につなげるため、「自治体参加催事」としてブースを出展するという。

ブースが設けられるのは会場西ゲート付近に位置するギャラリーWestで、近くには1万6000人を収容可能なEXPOアリーナや「空飛ぶクルマ」の発着場が設置される見通しとなっている。

食をテーマにしたブースづくり

ブースのイメージ(提供:静岡博報堂)

ブースコンセプトは「GEO KITCHEN SHIZUOKA」で、静岡の食のポテンシャルを存分にアピールするブース展開を計画していて、鈴木康友 知事は6月11日に行われた定例会見で「食をテーマに多くの人を巻き込む、オール静岡でのブースづくりを目指す」と述べた。

具体的にはお茶を使った出汁を提供する「ウェルカムゾーン」、3台のモニターと174インチの大ビジョンを活用して静岡の自然と食の魅力をアピールする「導入ゾーン」、茶染めなどのワークショップに加え、脳波や表情から自分に合ったお茶を導き出す最新技術と茶商によるお茶のブレンド“合組(ごうぐみ)”を組み合わせて新たな楽しみ方を提案する「体感ゾーン」、県内35市町をPRする「深化ゾーン」、県内産のお茶とわさびを使った茶漬けや各市町の特産品を試食できる「定着・行動ゾーン」の5つで構成する予定だ。

わずか3日間で事業費5000万円超

ただ、出展期間は2025年6月6日からのわずか3日間。

関西圏からの来場者に加え、海外客をメインターゲットに据え、9000人の来場を目標に掲げるが、ここには出展にともなう施設使用料75万円だけでなく、事業費として5390万円が投じられる。

実はこの事業費は県議会2月定例会で可決された2024年度の当初予算の中で、2025年度までの債務負担行為(後年度の支出を約束すること)として設定されている。

しかし、約150ページにも及ぶ膨大な予算資料の中にはわずかな説明があるだけで、予算の編成概要を記した資料には記載がない。

また、2月定例会の本会議で県当局が万博への出展について言及したことはなく、所管する常任委員会(産業委員会)でも当時の経済産業部長が「令和7年度に開催される2025年日本国際博覧会に出展し、本県の富士山などの美しい自然や高品質な農林水産物の魅力を世界に向けて発信し、観光誘客、県産品購入や交流人口の拡大を図ってまいります」と述べただけで、このため今日に至るまで5000万円を超える事業であることに気付かなかった県議もいるという。

課題山積の大阪・関西万博

大阪万博をめぐっては、誘致した際に算出されていた会場建設費が1250億円だったものの、設計変更や暑さ対策などにより2020年に1850億円へと増え、2023年10月には資材価格や人件費の高騰を理由に2350億円となった。当初見込みの約1.9倍だ。

さらに、会場整備とは別にパビリオン「日本館」の建設費用などで国の負担が837億円に上るほか、大阪府・大阪市万博推進局が2023年12月に全国6000人を対象に実施したインターネット調査によれば、万博に「行きたい」「どちらかといえば行きたい」と答えた人は全体で33.8%と前年度から7.4ポイントも下げ、前売り券の販売状況は6月5日時点で262万8085枚と1400万枚という目標の2割にも満たないなど課題が山積している。

こうした中で、静岡県が支出を予定する事業費は費用対効果が高いのか低いのか…6月定例会を含め、計画内容について県議会で厳しい議論が行われる見通しだ。

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