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事故からわずか4日前についた嘘が1人死亡という重大な結果に…持病を隠して免許更新 男を起訴 静岡

事故があった浜松市の現場(2023年7月)

虚偽の申告で運転免許証を更新し、その4日後に事故を起こして軽自動車を運転していた男性(当時54)を死亡させたなどとして、静岡地検浜松支部は浜松市に住む会社員の男を起訴した。

嘘ついて免許更新…その後に死亡事故

被害車両(2023年7月)

2024年6月5日に起訴されたのは浜松市在住の会社員の男だ。

男は2023年7月6日、運転免許証の更新にあたって質問票に虚偽の事実を記載して提出した道路交通法違反の罪に問われているほか、4日後の7月10日、浜松市内で車を運転中に持病の発作によって意識を失い、赤信号で止まっていた車に追突して、運転していた男性(当時54)を頭蓋底骨折に基づく出血性ショックにより死亡させたほか、はずみで衝突したトラックの運転手の男性(当時42)に打撲などのケガをさせたとして、危険運転致死傷の罪でも起訴された。

起訴状によれば、男は過去5年以内に持病の発作により意識を失ったことがあり、医師から車の運転を止めるよう言われていたにも関わらず、免許更新の際に提出が必要な質問票に記された「過去5年以内において、病気(表記の治療に伴う症状を含みます。)を原因として、又は原因は明らかでないが、意識を失ったことがある」、「過去5年以内において、病気を原因として、身体の全部又は一部が、一時的に思い通りに動かせなくなったことがある」、「病気を理由として、医師から、運転免許の取得又は運転を控えるよう助言を受けている」との質問に対して、いずれも「いいえ」と虚偽の回答をしていたと見られている。

提出が義務付けられた質問票とは?

警察庁によれば、質問票は2014年6月に改正道路交通法が施行されたことに伴い運転免許の取得時や更新時に提出が義務付けられ、当然のことながら提出がない場合には手続きすることが出来ない。

これは“一定の病気”等に関わる運転者対策として実施されたもので、虚偽記載には罰則があり、発覚した場合には「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科せられる。

なお、一定の病気とは統合失調症・てんかん・再発性の失神・不整脈・無自覚性の低血糖症・重度の眠気の症状を呈する睡眠障害・そううつ・脳卒中・認知症などを指すが、質問票の記載内容によって直ちに運転免許が取り消しになるわけでなく、最終的には医師の診断が運転可否の判断材料となる。

また、仮に回答や医師の診断を踏まえて取り消し等になった場合でも、病状が回復し運転免許を再取得することが出来る状態になった際には、取り消しとなった日から3年以内に限って試験の一部が免除されることになっていて、警察庁は一定の病気等に心当たりがある人やその家族に対して、まず各都道府県警に設置されている「運転適性相談窓口」へ相談するよう呼びかけている。

男は裁判で何を語るのか?

被疑車両(2023年7月)

今回の事件について、検察は男の認否を明らかにしていない。

このため、現在のところ事件の背後関係について表に出ていないことも多いが、裁判が始まった際に男は被告人質問で何を口にするのか。

「なぜ医師から止められていたにも関わらず運転したのか?」

「なぜ質問票に虚偽の記載をしたのか?」

想定される質問は多数あるが、男が何と答えようとも失われた命が戻ってくることはない。

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