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2024年3月、日本の民間企業がロケットを打ち上げるという初めての挑戦は残念な結果に終わったが、2月にはJAXAがH3ロケットの発射に成功し、更にその1カ月前には小型探査機「SLIM」が世界で5カ国目となる月面着陸に成功した。
宇宙開発への機運が盛り上がり見せる中、「SLIM」プロジェクトに協力してきた大学教授にその意義や今後の抱負を聞いた。
世界で5カ国目 月面着陸に成功
2月17日に成功したH3ロケットの打ち上げ。
その1カ月ほど前に日本が歴史的な快挙を成し遂げたのが、無人探査機「SLIM」の月面着陸成功だ。
旧ソ連、アメリカ、中国、インドに続く5カ国目の快挙となった。
その後、月面の岩石の撮影に成功するなど 宇宙の解明に向けた研究の前進に期待がかかっている。
こちらは静岡県浜松市にある静岡大学工学部の研究室。静岡大学はSLIMの月面着陸の研究に協力していた。
研究室では宇宙ゴミの除去や宇宙と地球をつなぐエレベーターの実現に向けた人工衛星の開発などの研究が行われている。
研究室の学生の1人が「モノを測る紐状のメジャーを小型衛星に搭載して、それを宇宙空間で伸展させどのような動きをするのか検証する」と研究課題を教えてくれた。
学生を指導しているのは能見公博 教授だ。
能見教授は研究室での指導について「若い発想でまずやってみたいということもあるので実験室で実験して、うまくいったよとなったら次のステップへということが多いですね」と話してくれた。
若い世代ならではのアイデアを大切にしているのだ。
能見教授自身も「STARS(スターズ)プロジェクト」として超小型衛星を宇宙空間に打ち上げてきた。
また、JAXAの前身である航空宇宙技術研究所の研究員として活動した経験もあり、約20年にわたって携わった月面計画には期待も大きかったと言う。
着陸は大成功だが「逆立ちは失敗」
能見公博 教授:
長く付き合っているので、非常にワクワクして楽しみにしていた感じです。日本の得意技を生かしてピンポイント着陸、SLIMって結構 小型なんです。それで狙ったところにいけたというのは世界最先端技術なので大成功だったと思っています
今回、静岡大学はSLIMの月面へ着陸についての研究にも協力してきたため、着陸については気になった点があったようだ。
「安定した着陸という意味ではうまくいっていない。逆立ちしていましたから」と説明してくれた能見教授は「大学はそういう失敗から学んでいくところは得意とするところなので今回の着地をしっかり解析して、次につなげることもできる」と続けた。
逆立ちのような姿勢で着陸したものの月面の岩石を撮影することにも成功し、月の地質などの解明に役立てられることになる。
そして、能見教授は「JAXAが実験を進める月面基地建設に向けて重要なステップになった」と話す。
夢は学生が作る超小型衛星の月面着陸
能見公博 教授:
今まではとりあえず月に行きたいというだけだったのですが、これからは基地をつくる。家を建てるときは当然 地質調査とかするじゃないですか。そこも含めて日本は国際的に活躍できていけるのかな
国際的な研究にも大きな意義を持つ今回の着陸だが、大学での超小型衛星にも生かせる部分はあるそうだ。
そして、研究の成果をやがては月面へと夢は広がっているようだ。
能見公博 教授:
超小型衛星も(最初の打ち上げから)もう14年ほど経っているが、地球の周りでやって習熟した技術を月や火星とかにもっていきたいと思っています。学生がつくったものが着陸するというのは1つの大きな夢として挑戦したい
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