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「実はその生物、日本にしかいないんです」“生物ハンター”が教える身近な生き物【テレビ寺子屋】

私たちの身の周りには様々な生き物がいますが、実は、日本にしかいない貴重な生物かもしれません。そんな日本の「固有種」を、外来生物の捕獲で知られる“生物ハンター”・加藤英明さんが紹介します。

7月9日に放送されたテレビ寺子屋

テレビ静岡で7月9日に放送された「テレビ寺子屋」では、静岡大学准教授の加藤英明さんが、日本でしか見られない生き物について話しました。

多種多様な地球上の生き物

静岡大学准教授・加藤英明さん:
この地球上には、200万種以上の生き物が存在しているとされ、私たちの確認していない種類も含めれば3000万種いるとも言われています。

地球には長い歴史があり、生命が誕生したとされるのが40億年前。その生命がずっと命をつないできて、この日本にもすごい生き物たちがたくさんいるのです。

「守ろう!日本の生き物」をテーマに、日本の「固有種」を紹介します。

日本には、30万種以上の生き物がいると考えられています。地球儀で見れば小さな国ですが、北から南まで長く細く多くの島が並んでいます。寒い環境から暖かい環境まで狭い日本の中に存在し、多様な環境があるため、いろんな生き物たちが暮らすことができるのです。

過去に大陸とつながったときにいろんな生き物が入ってきて、さらに多様化していって、この日本にしかいない固有種が誕生しました。「固有種」とは、特定の地域にだけ暮らしている生物種のことで、私たちの身近にも多くの固有種がいます。

キジもトカゲも・・・実は日本だけ

ほ乳類では「ニホンカモシカ」や「ニホンザル」。「ニホン」が名前についている場合は固有種のことが多いです。「ニホンモモンガ」や「ニホンリス」もそうです。

「アマミノクロウサギ」は奄美大島周辺の本当に狭い地域にだけ生息しているとても貴重な固有種です。

300万年も前に日本に渡ってきて、日本の環境で生き延びることができ、原始的な古い形が残ったウサギです。

次に「キジ」。日本の国鳥であるキジは、実は、最近固有種になりました。

キジの仲間は東アジアに広く分布していますが、DNAを調べたところ、この「キジ」は日本にしかいない特有な種であることが分かったのです。

昔から知られている生き物でも、遺伝子を調べてみたら実は日本にしかいない本当に貴重な生き物だったと分かることもよくあります。

は虫類は、「ニホンイシガメ」や「ニホンマムシ」。どちらも最近は日常生活ではなかなか会えません。

このように数を減らしてなかなか見ることができない固有種もいますが、「ニホントカゲ」は山の斜面などの日当たりの良いところに暮らしていて身近ですので、親子で観察するのにお勧めです。

私たちが環境を破壊してしまうと、彼らの生息地が失われてしまいます。乱獲、そして、外来生物が放されることも原因です。

例えば「ウシガエル」は「ホタル」や「チョウ」を食べてしまいます。外来生物をしっかり管理しないと、日本の生き物たちが姿を消すことにつながってしまいます。

日本の固有種を途絶えさせないために

まずは生き物を見つけたときに、どんな生き物か見分ける力をつけることが大事です。日本の生き物だと分かったら、どれほどの数がいるかなど興味を持って調べてもらうといいと思います。

決して好きとか嫌いとかで判断せず、大切に見守ってあげることが必要です。

長い日本の、地球の歴史の中で特殊な形態に進化してきた生き物たち。私たちの時代で美しい生き物たちが姿を消してしまうことがないように配慮する必要があります。日本の固有種たちの進化を邪魔せず、しっかりと見守っていきましょう。

加藤英明:1979年静岡県生まれ。農学博士。世界中のジャングルや砂漠を駆けめぐり生態系を調査。カメやトカゲの保全生態学的研究をしながら、学校や地域社会で環境教育活動を行っている。

※この記事はテレビ静岡で2023年7月9日に放送された「テレビ寺子屋」をもとに作成しています。

フジテレビ系列で放送中の番組。「子育てってなんだろう」。その答えは1つではありません。テレビ寺子屋では子育てや家庭のあり方について様々なテーマを元に毎回第一線で活躍する講師を招いてお話を聞きます。