目次
今回は、静岡市葵区にある杉ノ沢山と、かつて安倍城があったという標高435.2mの山をプチ縦走します! 安倍城址(じょうし)からは静岡市が一望できました。
杉ノ沢山・安倍城址ってどんな山?
今回登るのは、安倍川の西側にある杉ノ沢山と、その北側にある標高435.2mの山です。“標高435.2mの山”とわざわざ書いているのは理由があり、どうやらこちらの山、名前がないようなのです。
ただ、山上にかつて安倍城があったことから、「安倍城址」(あるいは「安倍城跡」)と呼ばれているようす。そこでこの記事でも、杉ノ沢山の北側にある山を「安倍城址」と呼ぶことにします。
【詳しくみる】YAMAPとは?(外部サイト)前置きが長くなりました。
杉ノ沢山と安倍城址に至るルートはおもに、静岡市葵区羽鳥にある「久住山 洞慶院」の裏手から登るルートと、西ヶ谷総合運動場方面から登るルートがあり、今回は洞慶院方面からアクセスしました。
●今回の低山登山DATA
登った山:杉ノ沢山、安倍城址
標高:杉ノ沢山410m、安倍城址435.2m
タイム:約3時間31分
距離:約4.1km
安倍城址登り口からスタート
静岡市葵区羽鳥にある「久住山 洞慶院」の裏手に、「安倍城跡登り口」の案内板があります。ここから低山登山スタートです!
登山道を進んですぐのところに、観世音尊像碑が立っていました。最初の石碑には「第一番」と記されています。じつはこちらの登山道には、33の観世音尊像碑が安置されているのです。
もう一つ、こちらの登山道には特徴があります。それは登山コースが2つあること。
例えば一方は階段になっている「直登コース」。斜度がきついかわりに、距離は短くなっているようです。
もう一方のコースは「ジグザグコース」。斜度はゆるやかですが、そのぶん、歩く距離は長くなっているようです。
2つのコースは最終的には合流するので、どちらを選んでもかまいません。ただ、観世音尊像碑は基本的にはジグザグコース沿いに設置されているようです。観世音尊像碑をすべて見たい人はジグザグコースをおすすめします。
体力にまったく自信がない筆者は、もちろん、ジグザグコース一択です!
観音様を道標に直登コースを行く
さあ、ジグザグコースをひたすら歩きます。木立の密度が高めなせいか、見晴らしがよい場所はあまりありません。でも、石碑の番号が1つずつ増えていくのを見ると、着実に進んでいるのを実感できます。
第三十番、第三十一番、第三十二番。スタートから約50分、ついに第三十三番の石碑に到着しました!
なお、ここはゴールではありません。杉ノ沢山の山頂でもありません。ベンチでひと休みして、先へと向かいます。
杉ノ沢山に到着! でも本番はここから!
第三十三番から先はコースは1つです。山頂目指し、がんばって足を前に出します。
第三十三番の石碑から約26分、杉ノ沢山の山頂にたどり着きました。やりました!
が、眺望もベンチもありません。倒木に腰かけて息をととのえます。
なお先にお伝えしておきますと、ここから先がかなりキツイ道のりとなります。安倍城址を目指す方は、杉ノ沢山の山頂できちんと休憩をすることをおすすめします。
さあ、はりきってまいりましょう。杉ノ沢山の山頂のすぐ先、けっこうな急斜面を下ります。
やれやれ転ばずに下りられたと思ったら、今度は急斜面を登ります。汗だく&息を荒げつつ登ること約15分、開けた場所に出ました。安倍城址です。
がんばった“ごほうび”は絶景
【関連記事】「静岡」の由来となった低山にチャレンジ!安倍城址は、杉ノ沢山とは打って変わって眺望がすこぶる良好です。安倍川以東の静岡市街を一望できました。
あいにく今回は雲に隠れて見えませんでしたが、雲がなければ富士山も見えるようです。
ところで、安倍城はどんな城なのでしょうか。石碑の裏には説明が書かれていました。
安倍城は狩野介貞永の築城と考えられています。貞永は南北朝時代に活躍した武将で、安倍城を本拠地とし、南朝の勢力拡張を図りました。安倍城を中心に、出城や砦を広範囲に築いたそうです。
低山とはいえ、山道を登って山の上まで石材や木材を運び、城を築くのはさぞ大変だったに違いありません。当時の人たちも、休憩時には山上からの景色を楽しんだのでしょうか。
帰りは来た道をひたすら戻ります。第三十三番の石碑から先は、往路で選ばなかった直登コースを通って下山しました。
きつくても体感時間は短め。眺望も抜群!
コースが2つあったり、石碑があったり、杉ノ沢山から安倍城址への道のりがなかなかの急勾配だったりと、今回はかなりメリハリのある低山登山となりました。
そのおかげでしょうか、いつも通り疲労困憊になりつつも、登っている時間は実際よりも短く感じられました。なにより、安倍城址からの眺望は最高です!
夏の暑さもやわらぎ、これからは低山登山に適したシーズンです。お城や歴史に興味がある方、静岡市街を一望できる絶景を楽しみたい方は、ぜひチャレンジしてみてください。
!CAUTION!
◎各所に案内看板がありますが、道迷いの可能性がまったくないわけではありません。特に分岐では、地図や登山アプリなどでルートを確認するのを忘れないようにしてください。
◎低山とはいえ、山は山です。適切な服装と装備で楽しんでください。
◎時期や天候によってコースの状況が変わっている可能性があります。インターネットなどでできるだけ最新の状況を確認するようにしてください。
◎気温、湿度ともにまだまだ高めです。熱中症、日射病対策をお忘れなく!
取材/小川結子
【もっと見る! 低山登山の記事】