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【葵区・賤機山編】「静岡」の由来となった低山にチャレンジ!

今回登るのは「賤機山」です。賤機山といえば、ある地名の由来となった場所(答えはのちほど!)。静岡市民&県民なら、登らないわけにはいきません。4つのピークからなる賤機山に挑戦しました。

難読地名、読めますか?

静岡市葵区の静岡浅間神社付近から鯨ヶ池(くじらがいけ)付近まで、約7kmにわたって続く、南北に細長い山。それが賤機山です。「しずはたやま」と読みます。

賤機山には4つのピークがあり、静岡浅間神社側から順に、浅間山、賤機山、茶臼山、福成山と呼ばれています。

地図提供:YAMAP 【詳しくみる】YAMAPとは?(外部サイト)

4つのピークをすべて制覇する「賤機山縦走」も人気なのですが、低山登山をはじめたばかりの筆者は体力にやや不安があったため、今回は浅間山・賤機山・茶臼山の3山に登って市街地にゴールするコースを選択しました。

●今回の低山登山DATA
登った山:賤機山
標高:浅間山140m、賤機山171m、茶臼山191.8m
タイム:約2時間14分
距離:約3.9km 

家康公とゆかりが深い静岡浅間神社からスタート

スタート地点は静岡浅間神社(しずおかせんげんじんじゃ)です。

静岡浅間神社は神部(かんべ)神社、浅間(あさま)神社、大歳御祖(おおとしみおや)神社の3社の総称で、地元では「おせんげんさま」の通称で親しまれています。

静岡浅間神社は徳川家康公とゆかりが深いことでも知られており、大河ドラマ「どうする家康」の影響もあって、メディアで見かける機会が増えました。

麓山神社につづく階段

まずは神部神社、浅間神社にお参りして登山の安全を祈願。つづいて境内社である八千戈(やちほこ)神社にも参拝し、八千戈神社の向かって左にある階段を上ります。

新緑×朱色の対比が美しい

上った先にもまたまた神社が。こちらは麓山(はやま)神社です。

麓山神社は、主神として大山祇命(おおやまつみのみこと)をお祀りしています。大山祇命は山の神様。登山するなら、あいさつしないわけにはいきません。

二礼二拍手一礼して無事のゴールを願い、左手にあるゆるやかな階段を進みます。

静岡浅間神社の参拝のついでに訪れる人も

5分ほど進むと東屋があり、静岡の東西の街並みを一望できました。

左奥にうっすらと富士山

浅間山で静岡の東西の街並みを一望

しばし眺望を楽しんだら、浅間山(せんげんさん)の山頂を目指します。尾根沿いの登山道は勾配はゆるやかで、ところどころで眺望が開けた箇所もあり、かなり快適です。

市街地の中に見える丘陵が以前ご紹介した谷津山 
【こちらも読む】日帰り低山登山にチャレンジ!【静岡市・谷津山編】

麓山神社から歩くこと約20分、浅間山の山頂に到着!

山頂は大きな広場になっていてベンチもあります。眺望もよく、静岡の東西の街並みを一望できます。休憩にはうってつけのスポットです。

菩薩像に向かって右手に賤機山山頂への登山道があります

また、静岡空襲の犠牲者を弔うために建立された慰霊碑と救世観音菩薩像もあります。しばし黙祷を捧げ、低山登山再開です。

浅間山から賤機山までのルート上には仮設トイレがいくつか設置されています。ここから先にはトイレは見当たらなかったので、必要な人は利用するといいでしょう。

「静岡」の地名の由来となった賤機山

ちょっと熱帯雨林感があります

10分ほど下ったところで、樹形がずいぶんとパワフルな木がありました。ここから、再び上りです。

見た目ほど勾配はきつくないので大丈夫

勾配はそれほどきつくありません。また、見晴らしがよい箇所もあるので、低山登山初心者の私でも、登山を楽しむ余裕があります。

安倍川方面を一望できました

浅間山山頂から約15分、2つめのピークである賤機山山頂に着きました! 賤機山山頂は浅間山山頂に比べるとあまり開けていませんが、かつてここには今川氏が築いたとされる賤機山城があったとか。

賤機山の山頂に到着

ところで、この賤機山が「静岡」の地名の由来となっているのはご存じでしょうか。

静岡市はかつて、駿府または府中と呼ばれていました。しかし、廃藩置県を控えて改称することになり、賤機山にちなんで「賤ヶ丘」にしようという案が出されます。賤ヶ丘は、賤機山の別名です。

その後「賤」を「静」に変え、「静ヶ丘」つまり「静岡」が候補となりました。

昭和60年以降に実施された静岡県史編纂時には、「静岡」、「静(しず)」、「静城(しずき)」の3案から明治政府が静岡に決めたとする資料が見つかったそうです。

茶臼山山頂 富士山を見ながら休憩

気持ちのよい道 周囲には畑が

賤機山山頂を過ぎてからしばらくは、なだらかな下りがつづきます。この日は天気に恵まれて木々の緑が美しく、心が洗われるようでした。そのおかげか、足どりもいたって軽やかです。

途中、お地蔵様があり、道が2つに分かれていました。茶臼山山頂へはお地蔵様に向かって左にあるルートを進みます。

向かって左のルートに進みます 帰りは右へ

お地蔵様を過ぎると再び上りになりますが、それほど急ではありません。途中で「三本杉」の札がかかった立派な杉の木を見つけたら、山頂はすぐそこ。5分ほどで茶臼山山頂に到着です!

三本杉 札には「樹齢100年」

山頂にはベンチがあり、鯨ヶ池方面と富士山を見ながら休憩できます。前述のとおり、賤機山山頂はあまり開けていないので、景色を見ながらひと休みしたいのなら、茶臼山山頂まで足を進めることをおすすめします。

休憩していると、数人の登山者が北に進んでいきました。鯨ヶ池まで縦走するのでしょう。自分もいつかは鯨ヶ池まで行って福成山も制覇しようと誓いつつ、今回はここで引き返します。

中央に富士山が見えています 右手は「一本杉」

来た道を戻り、往路で出会ったお地蔵様のところで方向転換。来たときとは反対、お地蔵様に向かって右のルートを行きます。

10分ほど下ると、大岩3丁目の住宅街に出ました。今回の低山登山はこれにて終了です!

一度の登山で3山クリアのお得感

浅間山から賤機山、茶臼山にかけての今回のルートは、勾配がきつくないうえに眺望もよく、これから低山登山をはじめてみようという方にもおすすめです。3山をいっぺんに踏破できるのも、なんだか得した気分です。

また、今回は大岩の住宅街をゴール地点としましたが、静岡浅間神社まで戻って、静岡浅間通り商店街で休憩したり、クラフトビールを飲んだりするのもいいかもしれません。

梅雨の晴れ間に、静岡の地名の由来になった賤機山に登ってみてはいかがでしょうか。

!CAUTION!
◎各所に案内看板がありますが、道迷いの可能性がまったくないわけではありません。特に分岐では、地図や登山アプリなどでルートを確認するのを忘れないようにしてください。
◎低山とはいえ、山は山です。適切な服装と装備で楽しんでください。
◎時期や天候によってコースの状況が変わっている可能性があります。インターネットなどでできるだけ最新の状況を確認するようにしてください。
◎気温、湿度ともに高くなってきました。熱中症、日射病対策もお忘れなく!

取材/小川結子

東京生まれ伊豆育ち、フリーライター歴1×年以上。「休日に早起きなんて無理。でも、少しだけ自然に触れたい。あわよくば体重も落としたい」という怠惰な理由で低山登山はじめました。ウイスキーを少々たしなみます。神社検定2級