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静岡県内でも各地で海開きを迎えている一方、毎年、後を絶たないのが水難事故だ。どうすれば安全に、そして楽しく水遊びができるのか。また専門家は水遊びには“もう一つ”気をつけるべきことがあると指摘する。
◆水辺に到着したタイミングに“要注意”
日本列島を襲う連日の猛暑。静岡県内でも各地で最高気温が30℃を超える毎日で、いよいよ夏のレジャーが本格化する季節がやってくる。
子供たちにとっては楽しみな水遊び。だが危険とは常に隣り合わせで、県内では2022年、53件の水難事故が起きている。長岡技術科学大学大学院の教授で一般社団法人 水難学会の斎藤秀俊 理事は、特に海や川、プールに到着してすぐのタイミングを重要なポイントとして挙げ「子供だけで先に飛び込み、足がつかずにおぼれてしまう事故が一番多い」と指摘する。
その上で大切なのは、水辺に着いたらまず親子で一緒に「深さ」を確認することで、海や川では「水深がひざ下よりも低い場所」で遊ぶことを推奨している。斎藤理事は「ひざよりも下の水深であれば何があっても流されることはない」と話し「川の流れや海の離岸流で流された子供を追いかけた親がおぼれ死ぬ事故が毎年繰り返されている」と警鐘を鳴らす。
また水難事故は一瞬のうちに起こることから、言うまでもなく子供から目を離さないことや子供だけで遊ばせないようにすることも必要だ。
◆水難事故だけではない水遊びに潜む“危険”
一方、幼児教育を専門とする常葉大学・保育学部の石田淳也 助教は別の視点から子供の水遊びに潜む危険に目を向ける。
それは水辺での着替えだ。石田助教は「更衣室の無い海や川、また公園には盗撮を目的に訪れる人もいて、親の知らぬ間に我が子の児童ポルノが製造されているおそれもある」と注意を呼び掛ける。
警察庁のまとめによれば、2022年に児童ポルノの被害を受けた児童は1487人と2013年からの10年間で2.3倍になった。
このうち282人が未就学児・小学生で、その約4割が盗撮による被害とのことだ。
近年では保育園や幼稚園などでも「裸」に関する意識教育が進められているが、石田助教は「『身体は大切なものである』という教育を家庭内でしていくことも大切」と話し、屋外で水遊びをする前後は「ドアやカーテンを閉め車内で着替えるか簡易テントを活用してほしい」としている。
「まだ子供だから」「まだ小さいから」と油断することなく、幼い頃から「自分を大切にすること」を繰り返し伝え行動し続けていくことが、子供を犯罪から守ることにつながるはずだ。