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玉露の産地である静岡・藤枝市岡部町にある朝比奈地区に、作法を気にせず玉露の魅力が学べて味わえる場所があります。伝統的な茶室を完備した観光施設「玉露の里」でどんなことができるのか、体験リポートします。
自然豊かな山間にある施設
静岡市の市街地から車で約30分の場所にありながら、緑豊かな美しい山間の風景も楽しめる朝比奈地区。
すぐ脇には美しい朝比奈川が流れるこの場所に、日本庭園と茶室を完備した「玉露の里」があります。
道の駅でもある玉露の里には、和食レストランやカフェ、地元の農産物やお土産品を販売する売店があります。
レストランでは、地元でとれたイノシシ肉を使った定食や、玉露の茶葉をソースに使ったパスタ、玉露のソフトクリームなど、玉露の里らしさが感じられるオリジナル料理やスイーツが味わえます。
【藤枝・うさぎの隠れ家】モチモチ冷製パスタランチ!緑豊かな玉露の里で隠れ家カフェを発見風鈴の音が響く夏の日本庭園
食事処・物産館「茶の華亭」を後にして、朝比奈川に架かる橋を渡り西側に行くと、茶室「瓢月亭」へ行くことができます。
日本庭園は無料ですが、瓢月亭の茶室体験は有料なので、日本庭園の入口にある長屋門でチケットを購入しましょう。今回は、玉露と抹茶が両方味わえるWチケットを購入しました。
■入館料 510円 (玉露または抹茶、茶菓子付き)
820円 (玉露と抹茶の両方付くWチケット)
日本庭園を進み瓢月亭入り口まで来ると現れるのが、期間限定で設置されている風鈴の小径。約200個の風鈴が、瓢月亭までの道を彩り、涼しげな音色を奏でてくれます。
日本らしい風情を感じる風鈴の小径は、9月18日まで公開されています。写真映えするスポットで、朝比奈の夏を楽しんでください。
茶室「瓢月亭」で玉露と抹茶
ひょうたん池に浮かぶ茶室から、山の向こうに月が美しく見えたという理由から名付けられた瓢月亭。その名前にちなんで、建物の至る所にひょうたんや月が隠れています。
例えば入り口の引き戸の取っ手部分は、ひょうたんの形をしています。玄関や茶室の中など、いろんな場所にひょうたんや月が隠れているので、ぜひ探してみてください。
瓢月亭に上がると和室に通されます。椅子も用意されているので、足が悪くて畳に座ることができないご高齢の方も安心です。
好きな場所に座り、特に難しい作法などは気にせずに、思うようにお茶と菓子を味わってくださいとのこと。
玉露は二煎出してくれます。一煎目は40℃程のぬるいお湯で入れてあります。人肌程度で飲みやすいのですが、味は慣れ親しんだ緑茶と異なり、まるで昆布のだしを飲んでいるかのようなうま味を感じます。
二煎目は50℃程。一煎目よりもタンニンの渋みがやや強めに感じられ、よりお茶らしさが味わえます。一煎目と二煎目の違いにも注目して、玉露を楽しんでください。
場所を変えて、茶室に移動し抹茶をいただきます。
茶室には三つの入り口があり、茶を入れる主人が使う「茶道口」、料理などを運ぶ際に使う「給仕口」、そして客人が茶室に入る「にじり口」です。
本来客人は「にじり口」から茶室に入るのですが、手間を省いて、今回は一番高さがあって入りやすい「茶道口」から失礼しました。
茶室の中はしんと静まり返り、まるで時間が止まっているかのよう。
厳かな雰囲気の中、庭の虫の声だけが響き渡ります。
しばらくすると抹茶が運ばれてきます。
本来は器を回して柄を見たりと、決まった作法があるようですが、ここでも細かい作法は気にせず、抹茶を楽しんでくださいとのこと。
お茶は薬として広まったと言われており、薬を服用するという意味と同様、お茶を飲むことを「一服する」と言うそうです。
抹茶はお茶の苦味がダイレクトに感じられます。抹茶の濃厚な味を堪能しながら、当時に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
後継者不足に悩む朝比奈の玉露生産者
玉露の里では、朝比奈地区で作られた玉露の販売も行っています。生産者によって風味や味わいが異なるので、飲み比べてみるのも楽しそう。
そんな朝比奈地区の玉露農家は今では10軒程しかなく、高齢化も進んでいます。このままだと朝比奈の玉露が飲めなくなってしまう日が来てしまうかもしれません。
90歳を超えてもなお玉露作りに励む名人もいて、それは素晴らしいことですが、この素晴らしい技術を後継者が後世に伝えていって欲しいと思います。
季節ごとにイベントも開催されており、お茶摘みなどの体験や、ワークショップ、夏祭り・秋祭りなど、ワクワクする催し物が盛りだくさんです。
朝比奈地区の豊かな自然に囲まれて、玉露の味を楽しんでみてください。
■施設名 玉露の里 瓢月亭
■住所 静岡県藤枝市岡部町新舟1214-3
■問い合わせ 054-668-0019
■営業時間 9:30〜17:00
■定休 なし
【もっと詳しくみる】玉露の里の公式サイト インスタグラム
取材/よれちゃん