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実は静岡市清水区の興津が“あんこ”のふるさとだと知っていましたか。JR興津駅周辺の旧東海道を歩いていると、「宮様まんぢう」の看板が掲げられた和菓子店を発見。興津エリアでは古くから親しまれている老舗に、皇族が愛した名物のまんじゅうがありました。
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いつも見慣れた街並みも裏を巡れば、そこはまるで別世界。静岡県民必見の裏スポットをお散歩します。今回は旧東海道の歴史的建造物が今も残るJR興津駅周辺を散策しています。
旧東海道にある和菓子の老舗
JR興津駅から旧東海道を西へ歩いて約8分。
「水口屋興津脇本陣」という外壁が頑丈な建物が目に入ります。

かつて参勤交代の大名が宿泊した脇本陣で、現在は興津に関する資料を展示しているギャラリーです。こうした東海道の歴史を感じさせてくれる建物が興津にはあります。
「宮様まんぢう」。
水口屋から歩いてすぐの場所で、目を引く看板の和菓子店を発見しました。

お店の人に聞いてみると、店の名前は「潮屋(うしおや)」といい、明治30年創業の長い歴史を持つお店でした。
看板に大きく書かれている「宮様まんぢう」についても聞いてみました。

潮屋・小澤仁美さん:
「宮様まんぢう」は看板商品です
壁に掲げられた昔のお品書きには、皇太子殿下お買い上げの品として「宮様まんぢう」が、皇后陛下お買い上げ品として「清見寺羊羹」が当時の値段と共に書かれていました。

このお品書きの中でいま残っている商品は宮様まんぢうだけになっているそうです。
潮屋・小澤智弘さん:
この興津という土地には、昔の政治の要人たちが別荘を構えていて、天皇のご兄弟がいらっしゃった時にお出しした和菓子なんです。宮家の方々に召し上がっていただいたことから「宮様まんぢう」と名付けられました

「“あんこ”のふるさと」と呼ばれる理由
また、興津は「“あんこ”のふるさと」と呼ばれるほど和菓子作りが盛んな土地柄なのだそうです。
潮屋・小澤智弘さん:
製あん機を作って広めた人が興津の出身で、ここから製あん業が機械化されて広まっていきました。人口の割には和菓子屋さんも多いと思います
製あん機の技術を確立したのは、興津出身の北川勇作、そして同じく興津出身の内藤幾太郎が全国にその技術を広めたそうです。
皇族のために作られた「宮様まんぢう」
さっそく、看板商品である「宮様まんぢう(20個入り880円)」を食べてみることにしました。
宮様まんぢうは、見た目は白くて小ぶりなまんじゅうです。

潮屋・小澤仁美さん:
皇室の方は大きい口をお開けにならないので、このサイズでも一口ではないそうです
大きな口を開けなくても食べられるサイズということで、小ぶりなまんじゅうが誕生したそう。
実際に食べてみると皮がしっとり、中にはあんこがぎっしり詰まっており、甘さは控えめで優しい味わい。
酒まんじゅうですが酒の香りもほんのりで、子供でも安心して食べられるので、地域の保育園のおやつとしても使われているそうです。

夏にぴったりな「柚子蜜」のあんみつ
看板商品を堪能した後は、夏にぴったりというメニュー「あんみつ・柚子蜜(450円)」。
透明な器に入ったわらび餅や求肥、そしてあんこ。見た目は清涼感たっぷりです。
添えられた「柚子蜜」をお好みでかけて食べてください。

この柚子蜜は黒蜜にも変更することができます。
一口食べると思わず「うまい!」と声が出るほどの爽やかさ。わらび餅の食感もよく、暑い夏にはぴったりの涼やかなデザートです。
黒蜜好きは多いものの、「柚子蜜」もおいしいことを知ってほしいと話す仁美さん。

歴史ある旧東海道で出会った宮様まんぢうの上品な甘さと、あんみつの爽やかさは、夏の暑さを忘れさせてくれる絶品和スイーツでした。
あんこのふるさと興津ならではの和菓子文化を味わえる、すてきなお店でした。
■店名 宮様まんぢう本舗 潮屋
■住所 静岡市清水区興津本町27-1
■営業時間 8:00~18:30
■定休 火
■問合せ 054-369-0348
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