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静岡・藤枝市で「黄金まんじゅう」という名前で親しまれる菓子。その正体はみんなが良く知っているものでした。なぜ藤枝市では呼び方が違うのか調査。さらに独自の進化を遂げた、おかず系の黄金まんじゅうも発見しました。
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半世紀以上続く黄金まんじゅうの店
今回調べるのは、静岡・藤枝市で長く親しまれてきたという人気のローカルフード。昔は広く売られていたという「黄金まんじゅう」です。
訪れたのは藤枝市高柳にある1976年創業のシラハタ製菓。

金色の文字で「黄金まんじゅう」をアピールする看板やのぼりが目印です。
黄金まんじゅう=今川焼き
入ってみると、レジ横の棚には黄金まんじゅうがずらりと並んでいました。

あんこ、白あん、マロンなど種類はさまざまですが、どこかで見たことがあるこのフォルム。
これは、大判焼きや今川焼きにそっくりな見た目、と言うか全く同じものでは?
シラハタ製菓の白幡徳寛さんに教えてもらいました。

シラハタ製菓・白幡徳寛さん:
今川焼きと全く一緒ですが、黄金まんじゅうと呼んでいます
白幡さんによると、藤枝では大判焼きや今川焼きと呼ばれるものを、黄金まんじゅうと呼び販売していました。
来店客にも聞いてみましたが、口をそろえて「黄金まんじゅう」と呼んでいます。
藤枝在住の客:
高校生の頃から黄金まんじゅうと呼んでいるので、その呼び方の方がむしろメジャーなのかと思っていました

藤枝では黄金まんじゅうと呼ぶのがスタンダード。今川焼きとは言わないのです。
おかず系メニューも充実
親子で通う人も多く、お店がある地域を中心に広く浸透する黄金まんじゅう。
冬場の土日には、1日で1200個から1300個も焼くという人気ぶりです。

それほど親しまれてきた理由は、シラハタ製菓にはバラエティ豊富な味の種類があるからでした。一番人気のあんこだけでなく、全14種類の中にはおかず系も充実。
中でも、若い方から年配の方まで人気だという「ポテトウインナー(170円)」を食べてみました。

ほんのり甘い皮とマヨネーズの相性が抜群で、ボリュームもあり満足できる一品でした。同じくマヨネーズを使った「マヨネーズコーン」も人気です。
創業者に名前の由来を聞く
ところで、なぜ藤枝では黄金まんじゅうと呼ぶのでしょうか。白幡徳寛さんの父で創業者である白幡雪雄さんに詳しく話を聞いてみました。
お店を始める前に、いろいろなお店を見学した雪雄さん。

当時、黄金まんじゅうと呼ぶお店は多く、6割方はその名前で販売していたといいます。
シラハタ製菓 創業者・白幡雪雄さん:
浅間神社(静岡市)などメインの通りにも、黄金まんじゅうと呼ぶ立派なお店があったんですよ

白幡さんが店を始めた約50年前には、静岡市や焼津市にも「黄金まんじゅう」と呼ぶ店が多くあったそうです。かつては、比較的メジャーな呼び名だったことが分かりました。
しかし肝心なその名の由来は、白幡さんも長年調べてきたそうですが「残念ながら知りません」とのこと。

日本全国さまざまな呼び方が
謎を解明しようと調査を続けてみると、同志社女子大学の元教授が書いたコラムに、黄金まんじゅうの文字を発見。

どうやら、全国の大判焼きや今川焼きを調べ、まとめているとのことで電話取材してみることにしました。
元同志社女子大学教授・古海直人さん:
同じ商品に関して、地方やお店で名前がかなり違います。30以上あるというケースや300以上あるという人もいます

古海さんによると、全国的に広く呼ばれるのは大判焼きで、2番目に呼ぶ人の多い「今川焼き」は一番古い名前なのだそう。東京・神田駅のそばにある今川橋付近で売られていたことに由来しています。
元同志社女子大学教授・古海直人さん:
江戸時代から売られていたので、今川焼きという呼び方が最も古いのは間違いありません。

そして名前の由来についてもわかりました。
元同志社女子大学教授・古海直人さん:
黄金まんじゅうの由来は、おそらく焼いたときの色。黄色に焼けることが元になっていると思います
藤枝で売られている黄金まんじゅうは、大判焼きや今川焼きと同じものでした。その名前が定着しているのも、地元のお店ががんばり続けているからかもしれません。シラハタ製菓ならではの豊富なランナップを、制覇してみるのも楽しそうです。
■店名 シラハタ製菓
■住所 静岡県藤枝市高柳1595-5
■営業時間 08:30~18:00
■定休 火
■問合せ 054-635-5589
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