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擬音語・擬態語の「オノマトペ」は、人間関係を良くするためにも活用できます。専門家は、会話にオノマトペを交えることで、元気を与えたり信頼を深めたりする効果があるといいます。どう使えばより良い人間関係を築けるのでしょうか。

テレビ静岡で3月9日に放送されたテレビ寺子屋では、オノマトペ研究者の藤野良孝さんが、日常のコミュニケーションで使えるオノマトペについて教えてくれました。
オノマトペで人間関係が良好に
オノマトペ研究者・藤野良孝さん:
オノマトペとは、「にゃーにゃー」「キラキラ」といった擬音語と擬態語を総称した言葉です。私はこのオノマトペを発したり聞いたりすることで、脳や体にどのような影響を与えるのか研究をしています。

私たち人間は他者との関わりなくして存在しません。社会のなかで周りとうまくやっていく、そして人間関係をより良くするためには、コミュニケーションのスキルを上げていくことが必要になってきます。
日々のコミュニケーションでオノマトペを活用すると、相手に元気を与え、人間関係がぐっと良くなるのです。
笑顔で「に~」
人間関係を良くするオノマトペコミュニケーション、ひとつめは「笑顔」。

人は鏡の関係です。私が笑顔だと、皆さんも笑顔になる。皆さんが笑顔だと私も笑顔になるということなんですね。顔は自分からは見えません。
他人のために顔はついている、そういう意識を持って積極的に笑顔を作ってもらえたらいいなと思っています。

そこで、口角を上げてオノマトペの「に~」と言ってみてください。心の中で唱えるだけでもいいです。これをやっておくと、人のことを悪く言えなくなり、ネガティブな言葉が減ると思っていてください。
大事なことは、「『に~』ってするととっても気持ちがいい」と感じること。この気持ちがいいという実感を持つと、明日も気持ちがいいとなりたくなるので、未来へそれが持続していきます。
伝える・頼むときのオノマトペ
2つめは、相手に何かを「伝える」場面です。褒めたり頼んだりするときにも、オノマトペを上手に使ってほしいです。

例えば「この調子で頼むね」と言う場面でオノマトペを入れると、どんな気持ちになるのか。
「のびのび頼むね」と言ってもらえると、なんかリラックスできて自由に前向きにできそうだなって感じませんか?「ガンガン頼むね」の場合は、濁音が入ってるので勢いを感じます。

オノマトペは脳や体に働きかける言語なので相手の受け取り方や行動にも変化がつきます。
褒めるときも「メキメキ良くなってるね」というように、プレゼントに手紙を添えるイメージでオノマトペを使ってみてください。
相手の波長に合わせた聞き方
最後は、コミュニケーションで最も大事な「聞く」ことです。
ではどうやって聞くかというと、聞いた話を相手の波長と同期させながら、「うんうん」というオノマトペを返す。波長を合わせる、同期させる。これはコーチングの手法にもあり「ペーシング」と言います。カウンセラーも使っている技術です。

相手が遅口(おそくち)なら自分もゆっくり「うん・・・うん・・・」と返します。相手が早口なら自分も早くして「うん、うん」と返します。相手が頷いたら、自分も頷きます。
相手のペースや気持ちと合わせることで、相手から信頼されるようになります。人間はいつだって、自分のことを理解してもらいたい、わかってもらいたい、大切にしてもらいたいという心理があるからです。

「笑顔、伝える、聞く」どれも今すぐできるものばかりです。人間関係をアップするために、日々のコミュニケーションでオノマトペをじゃんじゃん使ってみてください。
1977年東京都生まれ。朝日大学保健医療学部教授。オノマトペの実態とその効能について多角的に研究。日々の暮らしの中でオノマトペを役立ててほしいと、書籍や講演などを通じて利用法の普及につとめる。
※この記事は3月9日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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