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話は耳でなく「胸」で聞け! 齋藤孝さん語る 会話術上達の極意は“受け”【テレビ寺子屋】

人と話す時に緊張感が生まれて、思うように会話が弾まないことはありませんか。「声に出して読みたい日本語」の著者・齋藤孝さんは、耳ではなく「胸」で相手の話を聞くようにすすめます。

テレビ静岡で1月5日に放送されたテレビ寺子屋では、明治大学文学部教授の齋藤孝さんが、会話術を上達させるコツを語りました。

リラックスして話すには

明治大学文学部教授・齋藤孝さん:
人と話す時に考えすぎてしまい、言葉に詰まってしまう人がいます。ちょっとリラックスできたらいいですね。

相手と向き合った時に緊張感が出てしまう場合は、「人格」対「人格」で向き合っていると意識しすぎない。2人の間は少しぼんやりさせて、「話題」を真ん中に持ってきます。その話題について話すことで人と人が向き合う緊張感から離れることができます。

話題は、性格や出身などパーソナルなことを聞こうとすると緊張してしまいますので、そうではなくて共通の話題や旬な話題、問題があまり起きないような話題がいいですね。

例えば、一番簡単なのは「天気」です。日本人は、暑いとか寒いとか一年中言っていますが、そういう共通の話題があると、和やかな「場」ができるんですね。

一対一で向き合うのではなくて、ふんわりとした場をまず感じてください。これは3人以上でも一緒です。

最も大事なのは「受け」

さらに、その場を維持するためのポイントは「受け」です。「面白い話をしてください」と振られたとしたら大変ですよね。知的で面白い話をいつも持っているわけではないとすると、一番大事なのは「受け」になります。

相手の話に興味・関心を持つ。相手の話を面白そうに「聞く」。これならばできるはずです。

「ああ言えばこう言う」ではなくて、「ああ言えばああ言う」「こう言えばこう言う」と、「私もそうです」というのを基本にします。そうしますと、相手の方は気分よく話し始めます。相手の関心のあることに対して質問すれば、どんどん話が盛り上がり、ずっと続けられます。

みんな実は話すのが好きなんですよ。ボールゲームで言うと「話す」ことは「ボール」です。1人がずっとドリブルをしていたら、他の人はつまらないですよね。

関心があることをアピール

「受け」で大事なのは「笑うこと」「驚く」ことです。ちょっとしたことに対しても笑ったり、「そうなんですか」と驚くと、相手は「この話題に関心がある」「新鮮な話題だと受け取ってくれている」と感じ、すごく話しやすくなり、別れた後に「いい人だったな、またあの人と話したいな」と思うわけです。

私も聞き上手な方と話しているとどんどん言葉が出てきます。ですから相手が話したそうな時には、例えば「あれはどうなりましたか」などと質問を上手にするといいのです。

そして、人の話はどこで聞くか。普通は「耳」で聞くということになりますが、それではあまり進歩はないです。話している人の方をしっかり向き、「胸」で聞く。相手が話している時に胸で聞こうとすると、全身で話を聞くようになります。すると、リアクションが良くなります。

うまくやり取りできていると安心感が生まれます。どんな球を投げても捕ってくれるキャッチャーのような感じで、「どんな話題でもこの人は受け取ってくれるな」と思うと、信頼関係ができたように感じます。仕事先や学校にそういう相手が一人いるだけで、行きたくなりますからね。

楽しい会話のある生活をぜひ送っていただきたいと思います。

齋藤孝:1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。「声に出して読みたい日本語」ほか、著書多数。

※この記事は1月5日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。

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