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人生において、誰しも人に助けてもらわなければならない場面があると思います。しかし、本人が何で悩んでいるのか分からなければ、周りも助けることができません。そんな時に大切なのが、人から助けてもらう力、受援力です。

テレビ静岡で1月26日に放送されたテレビ寺子屋では、スポーツ心理学者の田中ウルヴェ京さんが、助けてもらう力について語りました。
人から助けてもらう力
スポーツ心理学者・田中ウルヴェ京さん:
皆さん持っている「人を助けてあげる力」。「力」と言わないまでも、ちょっと困っている人がいたら助けてあげたり、何かしてあげたという経験ありますよね。けれど実は「人から助けてもらう力」が人生においてとても大切なんです。
「助けてあげる」じゃなくて「助けてもらう力」、「受援力」とも言われます。

例えば、初めて社会に出た「新入社員」と呼ばれる人たち。
何を聞いていいか、「分からない」と言っていいのかどうか分からない。もっと言えば、何が分からないかも分からない。要は経験がない時、「助けてください」すら言えない。助けてもらっていいことなのに言いにくいみたいなことありますよね。

あとは子育てで誰かの手が必要だなという時に、「これやってもらえますか?」と言うのは少し勇気がいる。お金を支払って助けてもらうことはできるんだけど、「あなたには何もしてあげられないが、私にだけこれをしてもらいたい」みたいな時はますます言いにくい。
「一人でやらなきゃいけない」「私が頑張らなきゃ」と感じることあると思います。
ゴールが見えない中で何を選択するか
私はよくメンタルトレーニングという立場でアスリートとご一緒するのですが、実はこのアスリートと呼ばれる人たちにとって、引退後に「人から助けてもらう力」が必要だという研究がたくさんあります。

スポーツは自分のゴールが他人からも見えやすい。見えやすいゴールを持っている時は、助けてもらいやすいと言われています。
でも引退するとそのゴールがなくなる。選手たちは、どのような人生を選択すればいいのか、人生をどのように作っていけばいいのかと悩むのです。

選択が多すぎる状況って、人はとても困るものです。これはアスリートに限らず、退職後の人生の作り方にも共通することだとお分かりいただけると思います。
何で悩んでるかわからない人には、周りもどうやって助けていいかわからない。その時に「助けてもらう力」が必要になる。
困ったときにするべきこと
まずやってほしいのは、「知らない自分を知ってみよう」ということです。
自分の領域の中ならば、助けを求める力がある人が多いと思います。だからこそ、困ったときには自分のことを知らない領域の方に「私はどう見えますか」「助けてください」と聞いてみる。

自分が普段生きている領域じゃない、全然違う職種や生き方の人に聞いてみるというのがコツです。
少し俯瞰してみると、自分がどんな人間かがわかるようになります。「助けてもらう力」というのは、人生を作るときに自分を客観視できるすてきな力です。
お互いに助け合う関係へ
そしてもう一つ。これは助けてもらい続けるとだんだんわかってくるものですが、人から助けてもらうことを増やすと、「助けてもらう力」が付き、「助けてあげる力」も増す。
助けてもらうって申し訳ないなんて最初は思っていたのに、助けたり助けられたりの間柄になっていく、こんなすてきなことないですよね。

「助けてもらう力」は生きていくうえで必要なものだと研究でわかっています。人から助けてもらう練習をしてみましょう。
田中ウルヴェ京:1967年生まれ。ソウル五輪シンクロ・デュエットで銅メダルを獲得。米国の大学院で心理学を学ぶ。トップアスリートや経営者など、幅広く心理コンサルティングに携わっている。
※この記事は1月26日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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