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伊豆半島の山奥に、知る人ぞ知る金鉱が眠っています。安土桃山時代に採掘が始まった「がんつき天正金鉱」では金の採掘体験ができ、450年前の坑道も見学できます。有名観光地「土肥金山」の近くですが、また違った味がある展示解説にハマること間違いありません!
【画像】天正金鉱の坑道内の見取り図など ギャラリーページへ金の価格は20年で最高値に
金の価格が急上昇しています。約20年前から上昇し始め、2024年に最高値を記録しました。

タイムマシーンがあれば20年前に戻りたい!
これほど金が注目される理由は何なのでしょうか。
450年前の“知られざる金鉱”へ
かつて伊豆半島には、金銀鉱山が点在していました。
現在、一般に公開されているのは2カ所だけ。
ひとつは佐渡金山に次ぐ金の生産量を誇った伊豆最大の「土肥金山」。これは有名ですよね。

しかし、今回注目するのは山を隔てた場所にある「がんつき天正金鉱」です。
天正金鉱の歴史は古く、戦国大名・北条氏政の時代に開かれたと伝わります。

金鉱を所有する山田雄之さんが、自ら案内してくれます。
天正金鉱は江戸時代から山田家が所有していて、もはや現当主の山田さんが何代目かは?
天正金鉱・山田雄之さん:
わかりませんね

天正金鉱の入場料は、大人800円・中高生600円・子供400円で、見学にはガイドが付いてくれます。
どんな体験ができるのでしょうか。約450年前のゴールドラッシュの痕跡を見に行きましょう!
坑道の前にも見どころ満載
まず案内されたのは、50年前に発見された金銀の精錬場跡です。
二つ残っており、大きい方は塩を取るための塩釜だったそうです。

金と銀を分離する際に塩を使用するため、その塩を取っていたのです。
金を採掘するだけではなく、ここで実際に精錬して金を取り出していたことがわかります。
続いて山の中へ。

すると突如、ガラスケースに入ったジオラマが現れます。鉱石から金銀を選別する作業をしているジオラマでした。
ここで山田さんが金銀採掘にまつわる「豆知識」を披露してくれました。

かつて金銀鉱石のことを「ネコ」と呼んでいました。ネコの目玉は光るので、金銀がきらめく鉱石をそう呼んだそうです。
そして鉱石から金銀を選別していた女性たちは「ねこばば」と呼ばれていました。

いま「ねこばば」は、人のものを取ってしまうような悪い意味で使われています。
これが「ねこばば」の言葉の由来なのかは不明ですが、山田さんが言うには「ねこばばさんからすれば、いい迷惑」。ねこばばさんは真面目に金鉱を支えていた人たちです。
お次は資料館へ。

金に関する豆知識から伊豆半島の歴史まで。山田さんの軽快なトークで、時間があっという間に過ぎていきます。
狭い! 深い! 坑道へ
いよいよ実際に金を掘っていた坑道へ向かいます。にむらリポーターも、腰をかがめて進まなくてはならないほどの狭さです。

坑道の奥行きは約60m。これを手掘りで完成させたのですから、すごい!
下に向かって降りていくようにトンネルは続いています。足元に気を付けて進みましょう。

途中に説明書きもあって、山田さんの軽快な解説トークも続きます。
金づちで叩く音を軽減するための壁「半音装置」。
高さ23mの換気口「竪坑」。

450年前の技術の高さが伺える貴重な文化財となっています。
すると、次に現れた説明書きは「オールナイト」。この意味は?
天正金鉱・山田雄之さん:
一晩中という意味ですよ。(24時間掘り続けていたから?) そうそうそう

クセと言うか味がある解説に、だんだんハマってきませんか?
そして、ついに名前の由来となった最深部までやって来ました。
当主・山田雄之さん:
これが「がん」です

「がんつき天正金鉱」のがんは「龕」という文字で、神様を祭る祠を表します。
一番奥の天井をよく見ると、アーチ形にきれいに削られています。
天正金鉱・山田雄之さん:
正面の石の割れ目が鉱脈ですよ。鉱脈を神様として祭っているんです。(Q.この先掘り進めば金がある?)あるわけ。だけどここは文化財だから掘れない

残念! 祭られている金銀鉱脈は掘れないので、別の場所で採掘体験をさせてもらいましょう。
大変さがわかる金の採掘体験
がんつき天正金鉱では、金の採掘体験もできます。
ノミと金づちで、いざ挑戦!
しかし岩盤は固く、なかなか石を削り出すことはできません。

ひたすら続けること5分。やっと小さな石のかけらを削り出すことができました。
この小石の中にも、金や銀が含まれているそうです。細かい粒子で入っているため、肉眼では見分けづらいですが、これを精製すれば金が取れるのです。

■店名 龕附天正金鉱
■住所 静岡県伊豆市土肥2851
■営業時間 8:00~16:30
■定休 年中無休 ※臨時休業あり
■入場 大人800円
中高生600円
子供400円
■問合せ 0558-98-1258
世界一大きな金塊
ここまで来たらやっぱり金塊が見たい! やって来たのは、有名観光地の「土肥金山」です。
入場料(坑道・黄金館)は大人1000円、子供500円。

ここの名物は、出ました!「世界一の巨大金塊」です。
重さは250kg、その価値はなんと35億円。
金塊が製造された2005年当時は4億円ほどだったそうですが、金価格の上昇に伴い、価値も大きく上がっています。

改めて、なぜいま「金」はここまで価格が上がっているのでしょうか。
土肥金山・勝呂淳さん:
「有事の金」と言われるように、世界情勢が荒れてくると金の相場が上がるのです

金の価格が上昇する理由は、世界情勢の不安定さにあります。多くの人が安定した資産として金を求めるため、需要が高まり価格が上昇していくのです。
35億円の金塊は、ケースの穴から手を突っ込んで触ることができます。

価格はさておき、巨大金塊はさわれば運気が上がりそう。あなたもいかがですか?
■店名 土肥金山
■住所 静岡県伊豆市土肥2726
■営業時間 9:00~17:00
■定休 年中無休 ※臨時休業あり
■入場 大人1000円・子供 500円 ※坑道・黄金館
■問合せ 055-898-0800
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