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赤ちゃんの人生が決まる「最初の1000日」になにをすべきか【テレビ寺子屋】

赤ちゃんの人生を決めるという最初の1000日に親は何をしてあげられるのか。歌手で教育学博士のアグネス・チャンさんが説くのは脳の黄金期であるこの時期に、たくさんの刺激を与えることです。ではどう“刺激”を与え方たらいいのか、教えてもらいました。

11月12日にテレビ静岡で放送されたテレビ寺子屋

11月12日にテレビ静岡で放送されたテレビ寺子屋では、アグネス・チャンさんが子供の脳の発達と、幼い頃に無意識で体得したことが、人生にどう影響するかを語りました。

脳が成長する黄金期に“刺激”を

歌手・教育学博士 アグネス・チャンさん:
私はいまユニセフの大使を務めていて、ユニセフによると「命を授かってから1000日」、おなかの中にいる期間も含め2歳過ぎ頃までの1000日が人生を決めるというのです。

これは身体的にだけでなく、心理的にも頭脳的にもです。この1000日、いかにお母さんを大事にするか、そして生まれてきた赤ちゃんを大事にするかがとっても肝心です。いろいろな研究の中でも、そのことが証明されています。私も児童心理学を学び、「いかに0歳が大事か」ということをお伝えします。

この時期は成長の黄金期。特に頭脳です。脳細胞の数は、生まれたときはみなだいたい同じです。では何が違うのかというと、脳細胞同士をつなぐ「シナプス」です。つながって初めて脳が働きます。

生まれた時すでに赤ちゃんの頭の中には50兆の回路がつながっています。それが3歳になるまでに1000兆まで増え、80%の脳ができあがると言われています。だからこそ0歳のときがとても大切で、この黄金期は戻ってこないのです。

健康な体、丈夫な脳、しなやかな心を持てるように0歳からやってあげられることを始める、全然早くないのです。

赤ちゃんには実況中継で話しかける

では、脳をどうやって育てるのでしょうか。刺激をたくさん与えるのです。

シナプスは新しいものを見つけたとき、与えられたときにできます。いっぱい話しかけてください。「赤ちゃんだから答えてくれないし、聞こえているかどうかもわからない。話しても無駄でしょ」と言う人がいますが、無駄ではありません。

無意識にたくさん覚えているのです。そして必要とされた時に使うのです。答えてくれない赤ちゃんに話しかけるのは難しいと思うかもしれませんが、簡単です。

「ママ、いま歩いてるよ」「ここにテーブルがありますよ、ママさわってるよ。茶色いね、ツルツルしているよ」「わあ、本をペラペラめくったら風が吹くね」など、とにかくやっていることを言葉にして赤ちゃんに話すのです。

さらにシナプスを増やす方法

もう一つ、ものを教える時は「ああ、きょうは月がきれいね」と言っても、赤ちゃんは月がどこにあるのかわかりません。言いながら月を指さすのです。物は指をさして話してあげましょう。

外出してたくさんのものを見せることも大切です。外の世界は、赤ちゃんにとって限りなく大きな遊園地です。いろんな所へ行き、いろんな人と出会う。それによってどんどんシナプスが増えて赤ちゃんの脳が複雑になっていくのです。

そして、脳の成長はもちろんですが、自己肯定感を高めることも大切です。「自分は価値ある人間だ」「愛されるべき人間だ」といった基本的に自分を信じる心は、0歳のときから育てることができます。

「君を愛している。君が生まれてきて本当に幸せ」と、口に出して言ってあげてください。すると赤ちゃんは安心できます。限りなく愛情を注いでください。

どうやって歩き出した? 無意識の学び

自分が2歳前にどうやって物を覚えたのか、しゃべり始めたのか、歩き出したのか、ほとんどの人は覚えていません。覚えていないものは、無意識で学んだのです。

意識して学んだものは直しやすいのです。でも、無意識で学んだものは残ります。ですから、できるだけ笑顔やきれいな歌、ママの温もりやパパの掛け声、みんなの笑い声など「いいもの」をたくさん詰め込んでおくのです。

それが私たちの基本になります。人と接するときの自信、思いやり、辛いことがあったときに立ち直る強さ、幼いころに詰め込んだものが基盤となり支えてくれるのです。

アグネス・チャン:香港生まれ。1972年「ひなげしの花」で日本デビュー。上智大学、トロント大学を経て米国スタンフォード大学へ。現在、歌手活動のほか、ユニセフアジア親善大使、 日本対がん協会「ほほえみ大使」などとして活躍。

※この記事は11月12日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。

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