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静岡・三島市では毎年8月15~17日に「三嶋大祭り」が開かれます。頼朝行列、流鏑馬(やぶさめ)、などの催しがありますが、なかでも「しゃぎり」と呼ばれるおはやしを知ると、もっと楽しめること間違いなしです。
三嶋大祭りの概要をざっくり
三嶋大祭り(みしまおおまつり)は、三嶋大社の周辺で行われる一連のお祭りで、8月15日から17日の3日間開催されます。
注目されるのは「頼朝公旗挙げ行列」(16日・午後4時~)です。源頼朝が三嶋大社で祈願した後に挙兵した故事にちなんだ騎馬行列です。
2023年の頼朝役はお笑いタレントの「あばれる君」。なんだかおもしろい行列になりそうです。
そして各町が引き回す山車が祭りの主役です。その山車とともに演奏されるのが「しゃぎり」と呼ばれるおはやし。
毎年しゃぎりに参加しているという、三島市出身の弦間彩華アナウンサーに楽しみ方を紹介してもらいます。
しゃぎりの曲目や役割
テレビ静岡アナウンサー・弦間彩華:
しゃぎりを演奏するグループは、基本的には町内ごとの団体で、カネ、大太鼓、小太鼓、笛で構成されます。
いままで20年ほど続けていて、小学校4年生からは「笛」を担当しています。祭りの期間中は、子供から大人まで多くの三島市民が熱い「しゃぎり人間」になります。
自前の笛は3本あって、曲に合わせて選んで吹いています。吹き心地と音色が微妙に違うんですよ。
演奏する曲目は10曲ぐらいあって、「神楽昇殿(かぐらしょうでん)」「荷崩(にくずし)」「屋台(やたい)」「雷電(らいでん)」など、各町共通ですが、アレンジが加わることもあります。
演奏を引っ張るのは「カネ大将」と呼ばれるリーダーです。
通常、1曲4~5分演奏が続きます。曲の終わりが決まっていないものが多く、フレーズを何周か繰り返したのちに、カネ大将が頃合いをみて指示をして、笛の「ピピピ…」を合図に演奏を切ります。
このしゃぎりの音が、祭りの3日間を彩って、三島っ子の魂を刺激してくれるんです。
“しゃぎりシャワー”を浴びよう
祭りが始まると、毎年変わる当番町が市内を引き回す山車に加えて、市内各所にしゃぎりを演奏する「やぐら」も組まれていて、祭りの間は朝から晩までしゃぎりの音が絶えません。
初日の「山車しゃぎり大会」(15日午後3時~)では、当番町以外の山車12台が大鳥居前の大通り約1kmにわたってずらりと並んでしゃぎりを演奏。
山車の高さは約4m。上から降り注ぐ“しゃぎりシャワー”を存分に浴びてください。
しゃぎりの競り合いを聞こう!
醍醐味は、夜に待っています。毎晩午後8時から始まる「山車競り合い」です。
三嶋大社の前に5つ〜6つの当番町の山車が、鳥居に向かって放射状に集合し、「屋台」という曲を一斉に30分近く演奏します。
町内ごとに演奏スピードが異なるので、正直もう原形をとどめていません。
周りの音につられないように「我が町内こそが1番だ!」と言わんばかりに、音も大きく、振りも力強く演奏します。それが心臓の奥まで響くものすごい振動で、不ぞろいなのに、共鳴が起こるんです。
町内によって浴衣や髪の装飾など雰囲気にも色が出ているのも見どころのひとつです。
「三嶋大祭り」ならではのごう音を、ぜひ味わってみてください!
文/弦間彩華(テレビ静岡アナウンサー)