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富士山のふもとに位置する静岡・富士市には、多くの湧き水スポットがあります。その一つ、多くの人が水を汲みに訪れる人気スポット「 法雲寺(ほううんじ)」です。「わきみず寺」の愛称で親しまれる 法雲寺を調査します。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへさすが湧水は冷たい! 田宿川で水に浸かる

まずは富士市の街中を流れる田宿川からスタート。
水中には「ナガエミクリ」という水草がゆらゆらと揺れています。これは、きれいな川にしか生息しないと言われている貴重な水草です。

毎年7月下旬には「田宿川たらい流し川祭」が開かれていて、たらいに乗って川下りをするのが風物詩です。
川まで下りて足を浸せる場所があったので、入ってみました。これは「涼しい」を通り越して「冷たい」!
田宿川の水温は16℃。外気温が31℃なので、20℃の温度差があります。それもそのはず、この川の水源は湧き水なのです。

富士山のふもとに位置する富士市には、多くの湧き水が存在しています。富士山に降った雨や雪が地下を通って、富士市の平野部でこんこんと湧いているのです。
この地域では、昔から炊事・洗濯・お風呂など日常生活で利用したり、富士市の経済を支える「製紙・パルプ産業」に活用したりしてきました。湧水はなくてはならない存在です。
多くの人が訪れる「わきみず寺」

そんな湧き水スポットの一つ、富士市今泉にある「瑞龍山 法雲寺」。
山門の脇には「わきみず寺」の看板があります。訪れると、ポリタンクを持った人たちがひっきりなしに訪れて水をくんでいました。

一度にくめるのはペットボトル10本までとなっています。
地元の女性は週に1回、この湧き水を汲みに来ているそうです。
水をくみに来た女性:
この水はコーヒーやお茶に使っています。とてもおいしいですよ。甘みというか、柔らかい感じがします。友達が来ても「お茶がおいしいね」と言ってくれるので、調子に乗っています

この湧き水にはミネラルの一種・バナジウムが豊富に含まれています。
飲用だけではなく、ご飯を炊いたり、氷を作ったりする人も多いようです。
にむらあつとリポーターも、コップにくんで一杯飲んでみました。
にむらあつとリポーター:
うまい! 冷たいしまろやかですね。見た目もキレイで、水草も青々としています

住職が語る地名が付いた理由
「わきみず寺」の愛称で親しまれている法雲寺は、1353年に創建されました。湧き出る水の清らかさに感動した開祖が、この地にお寺を開いたと言われています。
寺の前から湧き出して流れる、湧き水の川「法雲寺川」。

法雲寺の住職・藤田文峰さんと副住職・藤田至道さんにお話を聞きました。
法雲寺・藤田文峰 住職:
この湧き水は石の間から湧いています。実は富士山の1合目がここなんです。富士山の水が伏流水として内部を通って、最終的にこの溶岩の隙間から出てくるのです
諸説ありますが、地名の「今泉」も、この場所に多くの泉があったことが由来となりました。1662年に今泉村と改名されたそうです。

水の美しさを物語る水草「バイカモ」
法雲寺の水路には「バイカモ(梅花藻)」という水草が生えています。
法雲寺・藤田文峰 住職:
このバイカモは清らかな水の中でしか咲かないとされ、生活排水が少しでも混じると花が咲かなくなります。100%湧水の場所にバイカモは育ちます。
水中に白い小さな花を咲かせる姿は、まさに水質の良さを証明していました。

今泉ではバイカモは法雲寺川にしか生えていません。
法雲寺の湧き水は無料でくむことができますが、水をくんだ方々はお気持ちを寄付しているそうです。初夏にはホタルも現れるというこの場所は、富士市の自然の恵みを肌で感じられる貴重なスポットでした。
■スポット名 瑞龍山 法雲寺
■住所 静岡県富士市今泉5-6-48
■問合せ 0545-52-0830
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