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【清水町】家康も隠居を望んだ地  貴重な自然の宝箱「柿田川」を見に行こう

静岡・清水町の中央を流れ、富士山の地下水が湧き出す柿田川は、国指定の天然記念物に選定されています。貴重な自然の宝箱である「柿田川」の魅力を紹介します。

水源は湧水 日本で最も短い一級河川

清水町は、柿田川、黄瀬川、狩野川に囲まれた水資源の豊かな町ですが、その中でも柿田川は湧水を水源とする全国でも珍しい川で、長さ1.2kmの日本で最も短い一級河川です。

富士山周辺で降った雨水や雪解け水が地面にしみこみ、地下水となって富士山の噴火で流出した溶岩(三島溶岩流)の中を通り、長い年月をかけて流れてきて湧き出しています。

水の湧き出し口を「湧き間(わきま)」と呼びますが、湧き間の数は一説には百カ所を超えるとも言われ、大小多数の湧き間から1日約110万立方メートルもの水が湧き出しています。

柿田川公園(第一展望台より)

ご存じですか?柿田川のあれこれ

柿田川は日本名水百選などに選ばれている、清水町民が愛する大切な川です。

◆1983年 21世紀に残したい日本の自然100選
◆1985年 日本名水百選
◆1989年 ふるさと いきものの里 100選
◆1991年 静岡県のみずべ100選
◆2011年 国指定 天然記念物
◆2018年 伊豆半島ユネスコ世界ジオパーク認定(柿田川)

川の水温は、年間を通じて15℃前後と安定しています。そのため夏はひんやりと冷たく、冬はほんわかと川霧が立ち上ります。

柿田川(川霧)

柿田川の水は、水の汚れの度合いを表すBOD(Biochemical Oxygen Demandの略で、生物化学的酸素要求量)の値が概ね1mg/リットル以下のとてもきれいな水です。水の有機物汚染が進むほど値が大きくなり、基準値は類型により異なりますが1~10mg/リットル以下と定められているので、いかに柿田川がきれいかわかります。

水質が良く湧水量が安定している柿田川は、飲料水として沼津市、三島市、熱海市、清水町、函南町に給水されているほか、工業用水、農業用水としてたくさんの人の暮らしを支えています。

動植物にも愛される柿田川

町の鳥として制定されているカワセミ、晩秋になると遡上して産卵するアユ、日当たりのいいきれいな水でないと育たないミシマバイカモ、県内では柿田川流域にしか見られない極めて珍しいアオハダトンボなど、貴重な動植物が生息しています。

公園内の散策路をサワガニが横切ることもあるので、足元にご注意ください。

柿田川(ミシマバイカモ)

町民憩いの場 柿田川公園

清水町の宝である柿田川の保護・保全やコミュニティ広場の確保を目的に、1986年4月に開園したのが柿田川公園です。

2カ所ある展望台では、湧き間を見ることができます。特に第二展望台は通称「ブルーホール」と呼ばれ、季節や時間帯によって色が変化するコバルトブルーの湧き水が人気です。

柿田川公園(第二展望台)

徳川家康が隠居を望んだ 泉頭城跡

現在、柿田川公園がある場所には、かつて泉頭城(いずみがしらじょう)という平城がありました。

泉頭城は、弘治年間(1555~1558年)頃に、北条氏が今川・武田両氏に対する城として築城したと言われています。今川義元の死後に和議が崩れ、攻め込んだ武田軍により焼き払われてしまい、元亀年間(1570~1573年)に再建されたものの、天正18年の豊臣秀吉の小田原征伐の際に、廃城になったとされています。

「駿府記」によると、部下に三島付近で隠居所を探すように命じ、三島に立ち寄った際に泉頭を気に入って、隠居を決めたという記述があります。

残念ながら計画は中止となり泉頭への隠居は実現しませんでしたが、家康も隠居生活を夢見た地で、歴史に思いを馳せて散策してみてはいかがでしょうか。

■施設名 柿田川公園
■住所 静岡県清水町伏見71番地の7(国道1号沿い)
■問い合わせ 055-981-8239(清水町産業観光課観光振興係)
■駐車場 隣接する町営駐車場あり(普通車1台200円、バス等1台1000円)
■アクセス 車:東名沼津ICまたは新東名長泉沼津ICから約10分
バス:JR三島駅南口から「柿田川湧水公園前」で下車

【もっと詳しくみる】柿田川公園(清水町ホームページ)

文/清水町

清水町は、静岡県の東部に位置し西に黄瀬川、南に狩野川、町の中央部には湧水柿田川が流れ、温暖な気候に恵まれた緑と清流の美しい町です。
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