目次
新入学児童の保護者のみなさん。子供と離れている時に、もしも大地震が起きたらと思うと心配ですよね。 いざという時のための“3つのチェック”をお忘れなく!
子供だけで行動する不安
園の頃と最も大きく異なるのは、“子供だけ”の登下校が始まることです。
これまでは24時間、必ず誰か大人がそばで見守っている状況だったのが、はじめて子供だけで行動するようになります。
在校中ならまだしも、登下校のタイミングで大地震が発生した場合に、保護者にとっては「子供が今、無事かどうか分からない」というのが、最大の恐怖と言えます。
例えGPSで居場所が分かっても、安全を確保することができなければケガの恐れがあります。
また、その場で待機するのか、自力で帰宅するのか、事前の約束事がなければピカピカの1年生本人が、その場で適切な判断をするには無理があります。
親も子も、どんな時でも落ち着いて行動するために、事前にできることをしっかり整理してみましょう。
チェックポイントは3つ
新1年生の学校生活における災害対策のチェックポイントは3つです。親だけでなく、子供自身や同居の家族も全員で確認しましょう。
その1【歩いてチェック】
通学路に危険はないか?
その2【読んでチェック】
震度いくつでお迎え? 引き返すならどこ?
その3【順番をチェック】
お迎えは上の子から? 下の子から?
その1【歩いてチェック】通学路に危険はないか?
最低限、把握しておくべきことは、自宅~学校までの「ルート」と「子供の足での所要時間」です。
親が一緒の時には自家用車で登校する、というご家庭でも、一度は確認の意味で子供と同じ手段で移動してみてください。
徒歩なのか、路線バスなのか、電車なのかによっても対策は異なりますが、多くの場合は「徒歩」ですね。
できれば入学前、もしくは入学後の早い段階で、子供と一緒に通学路を歩いて、危険箇所の確認、子供の足での所要時間の把握、安全な場所、迂回ルートなどの確認をしましょう。
まずは、どんな危険があるのかを見つけながら、そこから離れることを教えましょう。
<ここが危険!>
●倒れそう =高い塀や、自動販売機、倒れそうな木
●落ちてきそう =瓦や室外機、看板
●感電 =切れた電線
こういった場所は危険なので、離れるように伝えましょう。
危険箇所の確認と同時に、安全箇所の確認もしましょう。
<ここが安全!>
●コンビニなど店舗やマンションの駐車場、公園・公民館など広い場所
●信頼できる大人がいる場所(かけこみ110番の店舗など)
公園や駐車場などで一時的に危険を回避し、周囲の人たちと一緒に余震が落ち着くのを待つのもひとつの方法です。
ただし、海に近い津波の浸水想定エリアの場合は、迷わず高い建物か、高台へ避難することを伝えておきましょう。
次に、子供の足での所要時間を把握しましょう。
そうすれば、GPSを持っていなくても、自宅を出た時刻や、学校の終了時刻から計算して、子供が今いる場所のおおよその見当をつけることができます。
その2【読んでチェック】震度いくつでお迎え? 引き返すならどこ?
次に、学校側のスタンスについてです。
入学前の保護者の説明会等で、学校から「災害時における学校の対応について」といった内容の案内が配布されると思います。
台風や、雪について書かれているものもありますが、今回は地震について確認してみてください。
震度5弱以下、5強以上の対応について、「登校前」「登校途中」「在校時」「下校途中」に分類されて書かれています。
お迎えについて(在校中に災害発生)
一般的に「震度5強 以上」なら学校から連絡がなくてもお迎えに行く、「震度5弱 以下」は状況に応じてとなっていることが多いです。(地域によって異なる場合があります)
いざという時には気持ちが動揺していて、わかっているはずの事がわからなくなる場合もありますので、いつでもすぐ確認できる場所に保管しましょう。
学校から配布された資料でやりがちなのが、ファイルにとじて棚にしまってしまうこと。しまった本人以外はファイルのありかが分からないし、ファイルを見つけても、入学時の膨大な資料に埋もれて、探し出すのに手間取ります。
情報をデジタルデータで保管するのもよいですが、スマホは常に充電しておく意識が大切です。デジタルデータと紙の、両方を臨機応変に活用する方がよいでしょう。
また、データは同居家族全員にシェアしましょう。
引き返すポイントについて
登下校中の対応として「家に近ければ家に帰宅する。学校に近い場合は学校へ向かう」という文面があります。コレだけでは不十分。
新1年生にその場でどちらに近いか判断させることは現実的ではありません。
親子で事前に「この踏切」や「この赤い屋根のおうち」のように、引き返す具体的な目印を定めておきましょう。
また引き返すポイントですが、単に、学校と自宅を結んだ道のりを2分割すればいいというものではありません。
たとえば、途中に倒れそうな塀があるとしたら、せっかくそこを通り過ぎていたのに、また危険を承知で戻るのが果たして正解かどうか疑問です。
大切なのは、どうするかの「やくそく」を家族で話し合ってしっかり決めておくことです。
その3【順番をチェック】お迎えは上の子から? 下の子から?
地震発生が在校時の場合は、登下校途中に比べればかなり不安は少ないと言えます。
慌てずに自分の安全を確保した後に、お迎えに行きましょう。その際「徒歩」に限定されていることが多いので、事前に確認しておきましょう。
さて、もしもあなたに、小学生と中学生の子供がいたとしたら、どちらを先に迎えに行きますか。
答えは「上の子(中学生)」から先に迎えに行きます。
想像してみましょう。お迎えは原則「徒歩」です。
もしも小学生を先に迎えに行くと、その後、中学校をまわり、自宅へ戻るという全ての道のりを、危険を回避しながら徒歩で移動することになります。体力的にも大変ですね。
中学生を先に迎えてから、小学生を迎えに行くのがいいでしょう。
しかし、これも自宅と学校の距離や位置関係によって変わるので、家族でよくよく相談しておきましょう。
子供への声かけNG編とOK編
以上、新1年生の登下校の防災対策について、3つのチェックポイントをまとめてみました。最後に、日頃の声掛けについての注意点です。
日頃から、災害時の対応について子供に話す際に、「すぐに迎えに行くからね」は、NGです。
前の章でもふれたように、下の子の順番は後になるので、待ち時間が長くなる可能性は十分あります。保護者が外出先で帰宅困難となり、お迎え自体ができない恐れもあります。
日頃から「すぐ来る」と言い聞かされていると、周りが次々とお迎えに来てもらっている中、「ウチだけがまだ来ない」という焦りと不安は増すばかりです。
ですので、日頃からの声かけは「どんなに遅くなっても、必ず迎えに行くからね」と伝えましょう。
そうすれば、お迎えが遅くなっても「必ず」迎えに来るという強い気持ちで、落ち着いて待つことができます。
まとめ
まとめると、新1年生を守るために大切なのは2つ。
・親から子へ、どこにどんな危険があるのか教えておく
・親は子供がどこにいるのか、おおよその検討がつく情報を持つ
そして日頃から、いざという時に助け合えるママ友パパ友作りや、顔の見えるご近所付き合いを心がけておくのも大切です。
最後は、あまり過保護になりすぎないよう、子供の力を信じて笑顔で送り出してあげてください。
文/ママ防災アドバイザー・髙良綾乃
【もっと見る! 家庭の防災記事】