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子育ての難関と言えば、イヤイヤ期や反抗期。しかしこれらは、子供が自己主張できるようになったという成長の証なのです。斬新な教育法を唱える沼田昌弘さんは、「反抗期」という呼び方は世界にはあまりないと話します。
テレビ静岡で3月10日に放送された「テレビ寺子屋」では、斬新な教育法で注目を集める小学校教諭の沼田晶弘さんが、子供の視野の広がりについて語りました。
視野を広げるには
東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘さん:
みなさんが物事をどこから見るか? これを「視座」と言います。この視座に立った時に見えるものが「視野」で、視野の中に打ったどの点で見るかというのが「視点」です。
よく「視野を広げなさい」と言いますが、同じところから動かずに視野を広げようとするから難しいのです。視座を高くしたり、もう一つ違うところに視座を立てたりできれば簡単ですね。
視座を増やすためには、どこかに旅行をするといいと言います。いろいろな人と出会えばいろいろな視座が立ち、視野が広がります。
視野が広くなったらそこにたくさん点を打ちたくなりますよね。そうすると、いろんな点から物事を見られるようになります。その一つが「反抗期」です。
「反抗期」は親目線の言葉
そもそも「反抗期」は、世界的に見るとそんなに存在しません。どういうことかと言うと、子供はだんだん大きくなると親の考えや主張からはみ出ます。はみ出たら子供は「お母さん、これ違うよ」と自分の主張を始めます。すると、いままで言うことを聞いていた子が聞かなくなったから「反抗的だ」となるわけです。
つまり「反抗的」は「親目線」の言葉です。子供からしたら、ただの「自己主張」です。自分の考えが親と違うということを述べているだけです。
考えてみてください。子供が自己主張しなかったらどうしますか? 12歳や思春期のころに自己主張したら、「反抗期だ」と言って抑えつけておいて、大人になると「本当に最近の若者は主張が少ないな」と言うのです。みなさんが抑えてきたのにです。
「イヤイヤ期」も同じです。2歳ぐらいになると、自分が嫌なものは嫌と言います。きのうまであんなに豆腐を食べてたのに、ある日突然食べなくなる。「あら、イヤイヤ期!」ではないんです。子供は「これ、やっぱり好きじゃなかった」と主張したわけです。喜ばしくないですか? 必死の自己主張期なんです。
新たな出会いが視野を広げる
ところで「詰め込み教育」とは何だろうと考えたときに、視座が低くて一つしかないから、視野が狭い。狭い中に「たくさん視点を打ちなさい」と教えるから、詰め込みになるのだと思います。
無理やり視野を広げるのではなくて、どんどん新しい視座を獲得させたいですよね。そのためには子供たちに新しい場所や新しい人、違うことを考えている人に会わせたり見せたりしてあげたいのです。
例えば外国の人が友達にいれば、外国の視座が入ってくるので一気に視野が広がります。それからプロ野球やプロサッカーを見に行くのもいいかもしれません。やっぱり本物はすごいですから。テレビ番組でも本でもいいかもしれない。それを見た時に一緒に「これってこうなのかな」と話してみることも大事です。それがまた一つの学びを生みます。
大人の力で、ぜひ子供たちにたくさんの視座を立てていただきたいと思います。
沼田晶弘:東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカの大学院で学ぶ。スポーツ経営学の修士を修了。児童の自主性、それを引き出す斬新でユニークな授業が数多くのメディアで話題となる。著書多数。
※この記事は3月10日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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