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大切な我が子を前についつい過保護になったり、甘やかしたりしてしまうことはありませんか。子供の強い心を育むためには、家では「しつけ」、外では「辛い体験」が重要です。あなたは“転ばぬ先の杖”を出し過ぎていませんか。
12月10日にテレビ静岡で放送されたテレビ寺子屋では、思考力を重視する学習塾「花まる学習会」代表の高濱正伸さんが、強い心を育てるための秘訣について語りました。
家では「しつけ」外では「辛い体験」
花まる学習会代表・高濱正伸さん:
人間の土台となる部分には「自己肯定感」という心の部分があります。親として一番気をつけないといけないのは、ここが生き生きしているかということです。
例えば、ケンカをして泣いていたけれど、翌朝になったら「おはよう、お腹すいた!」というような回復力。「嫌なことはある、でも大丈夫!」。この感じです。
「自己肯定感」を持つためには、2つの要素が大切です。まずは「自分のことを絶対に愛してくれている」という確信を持てる人が誰か1人はいること。
もうひとつは、「強い心」があることです。この「強い心」を育てるために家でできることは「しつけ」、外では「つらい体験」をすることです。
時には冒険も必要
世の中に出れば揉まれるものだ、気の合わない人ともうまくやっていくしかないんだ、と思える「強い心」を育てるのが、とても苦手な時代になったと感じています。これはいまの日本の一番の弱点だと思います。困難を乗り越えてこそ人間は強くなるのに、そのつらい体験を除去しようとしています。
一番特徴的なものとしては、「過保護」「過干渉」です。「あぶないよ」「ほら、ケガするよ」。親は子供を守るつもりで悪気はありません。
もちろん安全は一番大事ですが、多少のリスクを取りながら遊んでいかないと広がりがありません。社会全体で、とにかく禁止禁止。だいぶ手前に線を引いて冒険や遊びから遠ざけてしまい、転ばぬ先の杖を出してしまう。
人間としてのバランスが、どんどん本来あるべき姿から遠ざかっているように思います。外で揉まれ、そして強くなるという経験は絶対に必要なのです。
しつけのポイントは“ブレないこと”
そして「しつけ」。これには夫婦のすり合わせが大切です。違う家庭のしつけで育った2人が夫婦になるのですから、それぞれの常識が合わないのは当然です。きちんと話し合って、「家訓」を作ってみてはいかがでしょうか。お互い決めたことだから守るし、何より子供が一番安心できます。
ブレないことが肝心です。お父さんとお母さんの言っていることが違うとか、前と言うことが変わっているとか、それが一番良くないです。
孤独な子育てになりがちな時代だからこそ、ちゃんとすり合わせて決めて書いておくというのが基本だと思います。
給食をきっかけに変化が
最後に、ある幼稚園を訪れたときのことをお話しします。以前訪れた時よりも、園児たちがきちんと座っているし、パッと集まってみんなで一斉に物事に取り組み始めていました。園長先生に理由を聞くと、「給食だと思います」と返ってきました。
その年から自園給食が始まり、最初に給食のしつけはきちんとしようということで、ちゃんと並ぶことや勝手に食べ始めないことなど厳しく言ったそうです。すると、他のこともきちんとできるようになったと。
食事って大切なんです。社会では我慢したり自分を抑制することも必要です。グッと抑える感覚を身につけることにもつながります。 どうやってしつけるべきか、見失いつつある親も多いと思います。ぜひ「食事のしつけ」から入ってみてください。
高濱正伸:1959年熊本県生まれ。東京大学・同大学大学院卒業。1993年思考力などを重視した「花まる学習会」を設立。その後本格的な学習方法を伝授する「スクールFC」を設立。子供の「生き抜く力」を育てることを重視した教育が好評。
※この記事は12月10日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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