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土日・祝日は山で撮影 平日は観光 露天風呂盗撮は女性客が多い日に…盗撮犯の9月連休の過ごし方

露天風呂盗撮グループの主犯格に、懲役2年10カ月の判決が言い渡された。彼らの18件の盗撮は、ほとんどが土日・祝日だ。2021年9月のシルバーウイークには兵庫県内の温浴施設付近に長期間滞在しながら、盗撮は土日・祝日だけで平日は観光などをしていた。露天風呂に女性客の多い日を選んでいた。

◆車内のノコギリが端緒 13人が逮捕

職務質問が行われた国1藤枝バイパス駐車場

一連の事件の発覚のきっかけは2021年10月、静岡県藤枝市の国道1号線バイパスの駐車場で仮眠をとっていた男へ職務質問だった。

押収されたノコギリ(藤枝警察署)

車に積んでいたノコギリの用途を問い詰められ、男は「盗撮に邪魔な木を切るため」と答え、銃刀法違反の現行犯で逮捕された。

神奈川県で盗撮をして、岡山県の自宅に帰る途中だった。この逮捕をきっかけに、公務員・新聞社勤務の男、会社役員など16人が検挙された。

押収された迷彩服や望遠レンズ、カメラ

グループは盗撮画像を投稿するインターネットの掲示板などで知り合った。

男たちは、北海道・茨城県・神奈川県・岐阜県・兵庫県で、温浴施設から100~300m離れた山中に潜み望遠レンズを使い盗撮を繰り返していた。“魔改造”と称し裸と着衣姿を見比べる画像を編集し、データを共有していた。

そのグループの主犯格は茨城県の無職の男(51)で、盗撮の場所や方法を仲間に教えたり、知人を露天風呂に連れてくれば盗撮できるなどと伝えていた。

◆土日・祝日は盗撮 平日は観光

裁判所が認定した主犯格の盗撮18件

2023年6月30日の判決公判で、静岡地裁は男の18件の罪を認定した。いずれも盗撮を行った5道県の迷惑防止条例違反だ。

仲間を変えつつ行った18件の盗撮をみるとわかることがある。温浴施設周辺の山に潜み盗撮をした日時と場所を、時系列で列挙する。

押収された迷彩服や望遠レンズ

2020年
・3月14日(土)午後1時34分頃~午後2時24分頃 兵庫県
・8月25日(火)午後0時12分頃~午後0時47分頃 茨城県
・8月25日(火)午後3時45分頃~午後4時01分頃 茨城県
・10月23日(金)午後4時06分頃~午後4時11分頃 兵庫県
・10月24日(土)午後3時27分頃~午後3時39分頃 兵庫県  
・11月22日(日)午後1時01分頃~午後1時11分頃 兵庫県 

山から温浴施設を盗撮

2021年
・3月14日(日)午後1時52分頃~午後2時02分頃 兵庫県
・5月3日(月祝)午前10時50分頃~午後6時44分頃 岐阜県
・5月4日(火祝)午前10時40分頃~午後6時49分頃 岐阜県
・7月25日(日)午前11時18分頃~午後5時57分頃 北海道
・9月19日(日)午前10時18分頃~午後6時09分頃 兵庫県
・9月20日(月祝)午前10時10分頃~午後6時15分頃 兵庫県
・9月23日(木祝)午前10時10分頃~午後6時18分頃 兵庫県
・9月25日(土)午前10時23分頃~午後6時05分頃 兵庫県
・10月2日(土)午前6時39分頃~午後5時43分頃 神奈川県
・10月3日(日)午前5時53分頃~午後5時21分頃 神奈川県
・10月9日(土)午前6時40分頃~午後5時30分頃 神奈川県
・10月10日(日)午前6時21分頃~午後5時22分頃 神奈川県

犯行日は18件中15件が土日か祝日だ。初めの頃は平日にもしていたが、平日は露天風呂に多くの女性客の来訪が見込めないとわかり、土日か祝日の犯行に切り替えている。

主犯格の男は平日は会食や観光

主犯格の男は2021年9月19日~25日のシルバーウイークは兵庫県内の温泉施設周辺にいたが、平日の21・22・24日は盗撮をしていない。
平日には会食や観光をしていたという。

山に約12時間潜むことも

また盗撮時間も最初は1時間未満だったのが徐々に増え、逮捕される直前の2021年10月には約12時間に及ぶこともあった。

犯行の最後の10月10日に一緒に盗撮をした男が帰宅途中に前述の職務質問で逮捕され、主犯格も逮捕された。

◆「相当に悪質」懲役2年10カ月の判決

男が乗る警察車両

裁判で検察側は懲役3年を求め、弁護側は「本人は反省し家族が監督していく」として「執行猶予のついた判決が相当」と主張した。

男は18件の犯行を認め、最終陳述では「実刑でも仕方がないと思っています」と語っていた。

裁判官「常習性は著しく、相当に悪質な部類」

6月30日の判決公判で静岡地裁の谷田部峻裁判官は、「中心的な立場で非常に重要な役割を果たしている。常習性は著しく、同じような事案でも相当に悪質な部類」と厳しく非難した。
そして「相当期間の実刑に処するのが相当」と、懲役2年10カ月の実刑判決を言い渡した。

押収されたカメラなど

男は盗撮の罪などで2013年にも有罪判決をうけ、その執行猶予期間4年間が終わってから2年3カ月後に再び盗撮をしていて、こうしたことも踏まえての判決だ。

◆盗撮犯が狙う施設の特徴は?

警察が盗撮事件の捜査から分析

一連の事件を捜査した静岡県警は、検挙した男たちの供述などから盗撮犯が狙う施設の特徴をまとめ、施設側に注意を呼び掛けている。

・日帰り入浴が可能
・男湯と女湯が入れ替わる
・見通しを妨げるものがない
・山に撮影可能な場所がある
・山の出入り口に防犯カメラなし

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