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「ことば」と「認識」には密接な結びつきがあり、私たちは「ことば」によって世界を切り取っています。
テレビ静岡で8月9日に放送されたテレビ寺子屋では、明治大学法学部 教授の堀田秀吾さんが「ことば」が持つ力と、それを日常生活にどう活かすかについて語りました。
「ことば」が「認識」を作り出す
「私たちは“ことば”によって物事を認識している」と言えるほど、「ことば」と「認識」には密接な結びつきがあります。
パプアニューギニアにダニ族という部族がいます。彼らにとって、色を表す言葉は「濃い」と「薄い」しかなく、ピンクや紫などの中間色の区別が上手くできないそうです。

ところが、彼らに「この色は『ピンク』と言うんだよ」と教えると認識できるようになります。つまり「ことば」によって「認識」が変化したということです。
物事の存在自体や知覚そのものは普遍的ですが、物事をどのように区別するか、どこに着目し、どこを無視するかは「ことば」によって変化するのです。
実験が証明する「ことば」の影響力
実際に「ことば」によって「認識」に大きな差が出た実験を紹介します。
【実験1】
バスケットボール選手を見てもらった後に、①「どれくらい背が“高かった”ですか?」または②「どれくらい背が“低かった”ですか?」と質問したところ、①と②の答えの平均には約30cmの差がありました。
【実験2】
頭痛の頻度について、①「“頻繁に”頭痛になりますか?どれくらいの頻度でなりますか?」または②「“たまに”頭痛になりますか?どれくらいの頻度でなりますか?」と質問したところ、①の場合は平均で週に2.2回、②の場合は平均で週に0.7回と答え、3倍以上の差がありました。
このように、「ことば」ひとつで判断や記憶が大きく変わってしまうのです。
「ことば」は自らの健康にも影響
「ことば」を使って、自分の感情をコントロールすることもできます。
例えば、誰にでもイライラ・モヤモヤしてしまう時ってありますよね。その原因は、自分の理想や義務と現実との間にギャップがあるからです。
このイライラ・モヤモヤを解消する一番早い方法は、まず現実を受け止めること。その上で効果的なのが“メンタルディスタンシング”という心理学の考え方です。イライラ・モヤモヤすることがあったら、「このことで自分は3年後も怒っているかな?」と考えてみてください。遠い未来の視点で物事を捉えることで、ストレスやネガティブな感情が軽減されます。
また、「普段から他人を貶めたり、批判するようなネガティブな『ことば』を発したりしている人は、認知症のリスクが3倍になる」という研究結果もあります。脳は自他を区別しないという特徴があり、他人に対して攻撃的な「ことば」を使うと、自分が攻撃された時と同じダメージがあると言われています。ネガティブな「ことば」というのは想像以上に脳と心を傷つけているのです。
私たちは「ことば」によって物事を認識し、世界を切り取っています。より素敵で、彩りに満ちた世界になっていくよう、「ことばのチカラ」を理解し、どのような「ことば」を使っていくのかを考えることが大切です。
堀田秀吾:熊本県生まれ。シカゴ大学言語学部博士課程修了。心理言語学、法言語学、コミュニケーション論を専門とする研究活動に加え、著書も多数。テレビ・ラジオなど多彩なメディアで専門家としての視点を発信している。
※この記事は8月9日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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