
町立の幼稚園と私立の保育園を統合し、認定こども園へと再編する計画を進めてきた静岡県河津町。ただ、開園予定の4カ月前に突如として“ご破算”になった。一体なにがあったのか?
伊豆半島の南端に近い東海岸に位置する静岡県河津町。
町の北東部から北西部にかけては天城の山々が連なっている。
人口6163人(4月1日現在)のこの小さな町では、町立さくら幼稚園と私立わかば保育園を統合し、認定こども園に再編することを目指していた。
背景には著しい少子化の影響で、わかば保育園の運営が財政的に厳しさを増していたことがある。
町は子供たちの適切な保育環境を維持するために検討を重ね、行き着いた答えが“こども園化”だった。
このため、2024年8月から国や県に対して再三にわたって問い合わせをしてきたものの、明確な回答を得られないまま時間だけが経過。
そして、2025年12月になってようやく示されたのが「原則不可」との見解だ。
なぜなのか?
それは町が照会していた計画内容に隠されている。
河津町が想定していたのは0歳児から2歳児は現在のわかば保育園の園舎に、3歳児から5歳児は現在のさくら幼稚園の園舎に通うという分園方式。
さくら幼稚園にはすべての園児を受け入れるだけのスペースがある一方で給食設備がなく、反対にわかば保育園には園児全員が活動できるだけのキャパシティがないからだ。
とはいえ、分園方式自体に問題があるわけではない。
国が指摘したのは運営面で、河津町は町立の幼保連携型認定こども園でありながら、0歳児から2歳児クラスについて、現在わかば保育園を運営する社会福祉法人に委託することを予定していた。
ところが、現在の制度では責任所在の明確化の観点などから分園の運営委託は認めていない。
このため、国が出した結論も「幼保連携型認定こども園における分園の運営委託は原則不可」というものだった。
もちろん、河津町も現行制度は理解していたという。
だからこそ、県を通じて国に相談を投げかけていたし、仮に認められないのであれば次なる手立てを考える必要があった。
河津町によれば、分園の取り扱いについて、こども家庭庁に初めて照会したのが2024年10月。
同年11月には県に進捗状況を確認したが、この時点で国からの返答はなかった。
こども家庭庁からは12月になっても見解が出てこなかったことから、電話で直接問い合わせると、「県にメールで回答する」と返されたそうだ。
その後も何度か電話で進捗を確認するも応答すらなく、県への連絡もなかった。
状況は年が明けた2025年1月になっても変わらず、河津町は再び照会をかけるとともに県も同様にこども家庭庁へ問い合わせをするに至る。
ようやく、こども家庭庁から県に連絡があったのは翌2月。
しかし、その内容は「公立認定こども園に関わる分園の運営については現在も照会中」という事実上のゼロ回答だった。
河津町としても国の態度は曖昧でありながら、こども園の設置に向けた準備は並行して行わないわけにはいかず、5月には届け出などに関する事務手続きについて県に確認した上で、こども家庭庁に再照会を求めるメールを送付。
この時も、こども家庭庁からは県に対しても町に対しても回答がなかったが、12月になって突如として通達されたのが前述の方針だ。
これにより2026年4月の認定こども園開園は断念せざるを得なくなった。
河津町からすれば、そうであるならば「なぜもっと前に結論を出してくれなかったのか?」というのが本音であり、川尻一仁 副町長も「もう少し早く回答してもらえれば違う対応ができた。子供のことを第一に考えてもらいたかった」と肩を落とす。
一方、仮にこの先、町側の要望が認められたとしても、年齢差によっては兄弟・姉妹で別々の園に通うことになり、送迎面で保護者の負担が増すことが予想されるなど賛否両論ある。
それでも河津町は既に町の協議会や保護者説明会でも了解を得ていることから、あくまでも方針を変えることなく、来年度からの“こども園化”に向けた協議を国としたい考えを示していて、場合によっては分園の直営化も検討していくという。
