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サバの水揚げが盛んな静岡・焼津市に、江戸時代創業というサバ店「岩清」があります。看板商品の「鯖寿司」と、知る人ぞ知るサバのラーメンを堪能しました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへのぼり旗が誘う「鯖寿司」の店
焼津漁協や津波避難タワーのあるあたりから西へ入り、一方通行の狭い「中央通り」を進みます。
ふと目に入ったのぼり旗がありました。風になびくその旗には「鯖寿司」の文字。さらによく見ると、「らーめん」という文言も。

サバとラーメン。その組み合わせに期待が一気に高まり、青いのれんをくぐりました。
老舗を支える双子のような姉妹
出迎えてくれたのは、あかね色の着物に黄色い腰帯エプロンを着た姉妹。姉の岩崎智子さんと、妹の容子さんです。
双子と見紛うほど息のぴったり合った2人が笑顔で並ぶ姿は、店の温かな雰囲気そのものを表しているようです。

岩清・岩崎智子さん:
天保3年(1832年)創業なので、2026年で195年目です。江戸から続くサバ屋です
江戸時代から続くサバの老舗、「岩清(いわせい)」。
現在の店舗は大正初期に建てられたものですが、創業当時からこの場所で商いをしてきました。

弟が小川港で競りによってサバを買い付け、塩サバやしめサバなどに加工。関西方面のサバ寿司用のサバを主に手がけてきた、焼津を代表する魚加工の名店です。
店内では冷蔵ケースにパック詰めされた「しめ鯖」「塩鯖」「鯖糀漬」「鯖粕漬け」「鯖西京焼き」「鯖スモーク」などが、売られています。

どれも老舗の技が光る逸品で、水産庁長官賞や農林水産大臣賞を受賞しています。
看板商品「ラーメン&鯖寿司セット」
店内には飲食スペースもあります。人気なのが復刻メニューのラーメンと看板商品の「鯖寿司」がセットになった「ラーメン鯖寿司セット(1680円)」。

ラーメンは口に含むとまろやかで、優しい甘みが広がります。麺にしっかり絡むオリジナルのスープにはサバも入っているそうです。
岩清・岩崎智子さん:
サバと鶏と豚とオリジナルのタレです。サバの甘みがまるっと入っていると思います

「鯖寿司」は、炙りと生が1貫ずつ。
炙りは脂のりと、すっきりした酢飯の酸味との相性が抜群。香ばしさがプラスされるだけで、まるで別物のような味わいに変わります。

実は姉妹自身、「鯖寿司」に合うラーメンの味を追求して作り上げたとのこと。だからこそラーメンと見事に調和した、完璧な組み合わせのセットが誕生したのです。
ラーメンを販売するにあたって、姉の智子さんがラーメン店に弟子入りして修業をしたほどの力の入れよう。その行動力と探求心がこの一杯に凝縮されています。
小泉八雲ゆかりのメニュー「八雲さば」
看板商品を堪能したあと、さらに気になるメニューが飛び出しました。それが「八雲さば(1尾1000円)」です。

岩清・岩崎智子さん:
小泉八雲さんのレシピにそって開発したメニューです
小説「怪談」などで知られる小泉八雲は、避暑地としてたびたび焼津に滞在していました。
生前、文学者でありながら並々ならぬ食への関心を持っていた小泉八雲。特にアメリカや西洋の文化が詰まった「クレオール料理」に引かれ、文学以外にレシピ本も多く残したとされています。

岩清ではその八雲のレシピに沿って開発したメニュー「八雲さば」を提供しています。食べてみると、一瞬サバの塩焼きだと忘れてしまうほど西洋の香りが豊かです。
岩清・岩崎智子さん:
八雲さんは料理にも精通してたみたいです。香辛料を何種類か使っていて、シトラスでサバの臭みをマスキングし、脂をすり込んで、八雲さんのレシピに書いてあったように開発しました

さらに驚くのが、最新技術も取り入れている点です。「AIの技術も入っている」と話す智子さん。
静岡県立大学の伊藤圭祐准教授が開発したフレーバーオイルを使用しているのですが、そのフレーバーオイルはAIを活用して臭みを消し、香りを豊かにするよう設計されているそうです。このオイルが「八雲さば」の完成度をさらに高めています。

岩清・岩崎智子さん:
伊藤先生の講義を聴きに行って、こういった技術を持っていることを知り、使わせてもらえないかと相談しました。いろんな人に教えていただいて完成しました
「もう必死で」と笑う智子さんですが、妹の容子さんも「時々行動力にビックリすることがある」と話します。

江戸時代から続く老舗の技と、小泉八雲というこの地ならではの歴史、そして最新技術が交わる岩清。焼津のサバの奥深さをたっぷりと教えてくれました。
■店名 鯖御膳岩清
■住所 静岡県焼津市本町5-14-9
■営業時間 11:00~14:30(LO)
■定休 月~水 ※物販は水も営業 臨時休業あり
■問合せ 054-629-2025
■駐車場 あり
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