見つけた

【清水区・清々庵】築100年の長屋が貸し切り宿 日本一の職人が作る10年待ちの布団を体験

興津駅周辺・旧東海道沿いで見つけた風情ある木造の長屋。そこは築100年の長屋をリノベーションした宿泊施設でした。興津の和菓子職人が作る生菓子や、日本一の布団職人が手掛ける極上の布団を体験することができるんです。

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清々庵の表外観
清々庵(静岡市清水区興津中町)

いつも見慣れた街並みも裏を巡れば、そこはまるで別世界。静岡県民必見の裏スポットをお散歩します。今回は、JR興津駅周辺、歴史的な建造物も多くある 旧東海道を散策しています。

旧東海道沿いにたたずむ風情ある木造長屋

JR興津駅から海側に徒歩3分、旧東海道沿いで趣のある建物が目に留まりました。

風情ある木造の建物は、外観から歴史を感じます。のれんが掛かっていますが、どんな店なのかは想像できません。

入り口に「OPEN」と書いてあったので入ってみましたが、中に人はいませんでした。

清々庵の入り口

表の入り口からは想像できませんでしたが、実はこの建物かなり奥行きのある長屋でした。

裏側にものれんが掛かっているのが見えたので、まわってみることにしました。

特徴的な造りの長屋

表と裏に入り口がある「清々庵」は2つのコンセプトの宿

裏の入り口にまわってみると、またのれんを発見しました。

民家の表札を思わせるような小さな看板には「清々庵」と書かれています。

清々庵 の裏の入り口
裏側にも入り口を発見

さっそく中に入ってみると、玄関まで飛び石が続いていました。

古き良き日本家屋です。一体どんなお店なのか、さらに謎は深まります。

入り口から玄関まで続く飛び石

建物の中に入ると、木のぬくもりと香りを感じるスペースでした。

土間があり、広い小上がりにはどっしりと落ち着きのある黒いソファーが。

建物の中の様子

迎えてくれたのは、「清々庵」の牧田裕介さんです。

清々庵・牧田裕介さん:
ここは1日1組限定の貸し切り宿です

表と裏の両方に入り口があるこの建物は、「清々庵(せいせいあん)」という宿だったのです。

清々庵・牧田裕介さん

清々庵・牧田裕介さん:
細長い建物の半分を1組5人まででお貸ししていて、真ん中で区切って2つの部屋として運営しています

表と裏に入り口があった理由が分かりました。

長屋を半分で区切った2棟の貸し切り宿

建物全体が「清々庵」という名前で、「anco(あんこ)」と「momen(もめん)」の2スペースがあります。

表の入り口には「anco」と書かれた看板が。裏には「momen」と書かれた看板が掛かっていました。

ancoとmomenの表札

一つの建物をコンセプトを変えて2つに区切るとは、面白い発想です。

真ん中の扉を開けると、10人まで泊まれるようになっており、最近ではこの規模の予約が増えているそうです。

築100年の長屋をリノベーションした宿泊施設

清々庵は築100年の長屋をリノベーションした宿泊施設です。年季が入って重厚感がある柱が立派です。

築100年の長屋をリノベーション

清々庵・牧田裕介さん:
この長屋は解体予定でしたが、もったいないので、何かできないかと考えました

牧田さんは、取り壊されるはずだった長屋を、宿泊施設としてよみがえらせました。6年前から隣町の蒲原での町屋の一軒貸し切り宿の経営をしています。

改修をしたりお客さんが入るよう運営したり、大変とのことですが、そこにやりがいを感じているそうです。

解体予定だった長屋をリノベーションした宿泊施設

「清々庵anco」のコンセプト

さっそく、「清々庵 anco」の部屋から見せてもらいます。

リビング=居間は、昔にタイムスリップしたような雰囲気です。

清々庵 anco リビング・居間

タンスや神棚。家具などは改修前のものをそのまま使用。

昔の雰囲気を体験してほしいという思いが詰まっています。

家具などの一部は改修前のものをそのまま使用

「anko」にはどんなコンセプトがあるんでしょうか。

清々庵・牧田裕介さん:
興津の町が“あんこのふるさと”と言われているんです。そのあんこをテーマにして、地元の和菓子屋さんとコラボした宿にしました

興津は、製あん業発祥の地。旅館では、客室に着くとお菓子が置いてあることが多いと思いますが、「anko」では、職人がその日に作った生菓子を提供しています。

興津ならではの生菓子を提供している

生菓子と一緒に提供しているお茶にもこだわりがありました。

清々庵・牧田裕介さん:
静岡県中山間100銘茶協議会の会長(茶師・本多茂兵衛)が作るこだわりのお茶を急須で入れてもらえるよう準備しています

静岡ならではのおもてなしが感じられます。

茶師・本田茂兵衛が作る静岡茶を急須で提供

「清々庵momen」のコンセプト

次は「momen」。どんなコンセプトなのでしょうか。

清々庵・牧田裕介さん:
実は、興津には日本一の布団職人がいるんです。チャールズ国王や岸田文雄元首相にも贈られているようなすごい人なんです。 momenでは、その布団を使用しています

いま頼むと作るのに10年かかってしまうほど人気な、興津が誇る布団職人・新貝晃一郎さん。

興津が誇る日本一の布団職人・新貝晃一郎さん

地元でも、そんなにすごい布団職人がいることを知らない人も多いとか。

momenの2階にある寝室に案内してもらうと、5枚の布団が並んでいました。一見普通の布団に見えますが、素材にこだわっています。

清々庵・牧田裕介さん:
浜松市の伝統工芸品「遠州綿紬」という綿100%の生地を使っています。中の綿はインド産の世界最高級の天然木綿100%、日本では新貝さんしか仕入れていない素材です

予約10年待ちの極上布団

個人でオーダーメードする場合は、綿の入れ方も利用者の体に合わせて量や位置を調整しているとのこと。

布団の角はしっかり綿が詰まっていないと型崩れしてしまいますが、新貝さんの布団は、角までパンパンに詰まっていて弾力があります。

布団の四隅がピンと伸びるように綿がつまっている

約10年予約待ちの極上布団で実際に寝させてもらいました。徐々に体になじんでいくのを感じます。

低反発で柔らかさと弾力が絶妙なバランスで体を支えてくれる感覚がありました。

寝た人を包み込むように計算された綿の詰め方で、朝まで寝るとより効果を実感できるそうです。

新貝晃一郎さんが作る布団

興津の町に隠れていた素晴らしい価値を掘り起こし、宿泊者に伝える「清々庵」。

日本一の布団職人が作る布団を体験したり、地元の生菓子とお茶を味わったりと、ここでしか味わえない特別な体験ができる宿でした。

■店名 清々庵(anco・momen)
■住所 静岡市清水区興津中町103

【詳しく見る】清々庵のサイト(KAI堂)

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