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【中央区・浜松まつり会館】初だこは100万円以上かかる?! 祭りの歴史からお金事情までわかるスポット

大きいもので一辺が約3.5mにもなる浜松まつりのたこ。なぜこうした祭りが生まれたのでしょうか。浜松まつり会館では、約400年の歴史を持つ祭りの裏側を知ることができます。さらに自分で作ったたこを空高く揚げる体験も。知られざる祭りの世界をのぞいてみましょう。

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毎年5月に開催される浜松まつり

いつも見慣れた街並みも、裏を巡ればそこはまるで別世界。静岡県民必見の裏スポットを巡ります。今回は、熱気あふれる浜松まつりが行われる中田島砂丘です。

まずは中田島砂丘をお散歩

まず向かったのは、中田島砂丘。日本三大砂丘の1つとして知られるこの場所は、アカウミガメが産卵に訪れる場所としても有名です。

中田島砂丘

そしてここは浜松まつりのたこ揚げ合戦会場でもあります。

潮風も心地よいので、散歩してみてはいかがでしょうか。

ただ、ちょっと砂が靴に入ってしまうので、ご注意を。

ほぼ毎日たこを揚げている人を発見

砂丘では、たこをイチから手作りしているという名人の皆さんに出会いました。

ふと空を見上げると、かなりの高さにたこが一基あがっています。糸をたどっていくと、数人の男性がいました。

胸の高さぐらいまである大きなたこを持っています。

浜松だこ

たこ揚げをしていた男性:
これは「浜松だこ」と言います。浜松まつりのたこの小さいやつです

祭りの時期以外も、ほぼ毎日たこを揚げているそうです。その匠の技を見せてもらうことに。

たこ揚げ名人たち

たこが軽やかに風に乗って高く舞い上がる様子は圧巻でした。

簡単に揚げているように見えますが、糸をさわらせてもらうと、引っ張られる力にびっくりします。

たこ名人たちがほぼ毎日たこ揚げ

名人たちは最高で400~500mも糸を伸ばすことがあったそうです。そんな高さまで揚げると、たこが見えなくなってしまうほどです。

だからこそ、浜松まつりのたこは、遠くから見てもわかりやすい、シンプルな柄になったそうです。

シンプルなデザインのたこが上空を舞う

圧倒される展示「浜松まつり会館」

次に中田島砂丘から徒歩2分の場所にある「浜松まつり会館」へ。

浜松まつりのすべてを知ることができるミュージアムとして、1985年にオープンしました。

浜松まつり会館の外観

会館の中に入ると、天井いっぱいにたこが展示されており、まるで空に舞い上がっているかのよう。

その数約40。臨場感あふれる展示に圧倒されます。

天井まで覆う大だこ

「初だこ」の見分け方

中村敏幸 館長から浜松のたこ揚げについて詳しく教えてもらいました。

浜松のたこ揚げは約400年の歴史があると言われています。

浜松まつり会館・中村敏幸 館長:
「初だこ」は、基本的に右下に子供の名前・左上に家紋が入ります。入っていないものは「町だこ」と言って合戦用です。糸を絡ませて相手のたこの糸を切ってしまいます

子供の名前が入った初だこ

「初だこ」と呼ばれるのは子供の誕生を祝うもので、「町だこ」「地域だこ」は合戦用のものです。

浜松まつり会館・中村敏幸 館長:
家康が入ってくる以前の時代、城主に世継ぎが生まれたとき、お祝いに揚げたのが始まりだと言われています

浜松まつり会館・中村敏幸 館長

今のたこ揚げのスタイルが築かれたのは近代になってからだそうです。

初だこ費用は驚きの100万円超!?

展示されているたこの大きさには驚きますが、その値段にも興味津々です。そこで館長から驚きの裏話を聞くことに。

この大きさのたこを作るには、いくらかかると思いますか?

6帖のたこ お値段は?

一辺が2.9m、最も祭りで一般的な6帖のたこで考えてみましょう。

5万円でしょうか、15万円でしょうか。

浜松まつり会館・中村敏幸 館長:
大体相場で行くと1帖あたり3万円。6帖だと18万円です

6帖で18万円とのこと。ところが、それだけでは終わらないのです。

そもそもたこは家族が自分たちで揚げるのではなく、町の人に揚げてもらいます。

浜松まつり会館・中村敏幸 館長:
お祝い事で人にものを頼んだら、出すものがありますよね。初練りに来てくれた人にも接待をします。初だこを揚げると最近では100万円を超えると言われています

たこを揚げる町の人たち

初だこを揚げた家の前で、町の人たちが集まって「初練り」というお祝いの練りをします。その数は100人~200人。この人たちに酒や食べ物を振る舞って接待をするのです。

初だこを揚げるのは、大変なことなのですね。

浜松まつり会館・中村敏幸 館長

糸も高額! 14万円分が風に舞う

たこ合戦にまつわる驚きの話はまだあります。たこを揚げる際に使う糸の価格についてです。

浜松まつり会館・中村敏幸 館長:
たこを揚げるとき糸は大体400mぐらい出します。たこ糸の価格が高いんです。200mで大体7万円します

つまり400m出すということは、切れた時点で14万円分の糸が風とともに飛んでいってしまうということなのです。

意外に高いたこの糸

浜松まつり会館・中村敏幸 館長:
取りに行くのが遅いと、どこかの町に持っていかれてしまうんです

空でも地上でも合戦が起こる。思ったより過激な祭りだということが、だんだんわかってきました。

昼はたこ揚げ 夜は御殿屋台

浜松まつりは、昼間のたこ揚げが終わると、祭りの中心は浜松駅周辺に移動し、御殿屋台が街を彩ります。

御殿屋台の展示

会館には市政80周年を記念して作られた豪華な御殿屋台も展示してあるので、そちらもチェックしていきましょう。

自分でたこを作って大空へ

会館ではたこ作り体験もできます。随時受け付けていて料金は600円です。所要時間はたったの10分程度。

クレヨンを使って思い思いの絵を描き、揚げ方のレクチャーを受けた後、いざ大空へ。

たこ揚げ体験 自分でたこに絵を描く

たこが風をとらえて舞い上がる瞬間は、大人も子供も関係なく胸が高鳴ります。

手作りのたこが青空の中を舞う姿を見ながら、浜松の人々が大切にしてきた伝統を肌で感じることができるのです。

大空高く舞い上がった手作りだこ

浜松まつり会館は、約400年の歴史を持つ浜松まつりの全容を知ることができる貴重な場所です。祭りの時期に限らず、浜松の文化に触れたいという方にはぜひ訪れてほしいスポットです。

■スポット名 浜松まつり会館
■住所 浜松市南区中田島町1313
■営業時間 9:00~16:30
■定休 無休
■問合せ 053-441-6211
■駐車場 あり
■料金 大人400円 たこ作り体験料600円

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