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【浜名区・なつめ】酒かすプリンや650円のサンドイッチ 時間を忘れるほど居心地のいい酒店+カフェ

居心地の良さについつい時間を忘れてしまう、浜名湖畔の酒店「蔵酒なつめ」とカフェ「蔵茶房なつめ」。酒かすを使ったプリンなど、あらゆるところへオーナーのこだわりが光ります。

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猪鼻湖ほとり“ 夏目さん”のお店

蔵酒なつめと蔵茶房なつめは、浜名湖の北側に位置する猪鼻湖のほとりにあるお店です。

1階に日本酒と焼酎の専門店である蔵酒なつめ、2階にカフェの蔵茶房なつめがあります。

なつめという名前は、オーナーである夏目厚司さんの名字から付けられました。

なつめの外観
駐車場から見た外観(浜松市浜名区三ヶ日町津々崎)

湖畔を走るドライブコースから見える、おしゃれな建物が「なつめ」です。

2階の蔵茶房では、猪鼻湖の景色を見ながら一服できます。

そして景色もさることながら、景色を引き立たせる空間もリピーターを続出させます。気づいたら長居してしまうほどで、カフェ好きのみならず、訪れた人たちの心をつかんでいます。

窓からの景色
猪鼻湖側の窓側の席

オーナーの夏目さんは、普段は1階の酒店にいて、お客さんを笑顔で迎え気さくにおしゃべりをしてくれます。

庭のお手入れも、手作業で整えるほど細部まで大事にしています。お店には、夏目さんのこだわりがちりばめられていて、どれもこれもすてきです。

蔵茶房なつめの席から猪鼻湖を眺める夏目さん

なつめ 会長・夏目厚司さん
祖父の時代から商店を始め、自分の代になってお酒を取り扱うようになり、21年前にこの土地にお店を構えました。こだわりは流通が限定されている商品です。蔵元さんとのお付き合いの上、取り扱うようになった商品、なつめオリジナルの商品などがあります

そのこだわりの商品を2階の蔵茶房でも使用しているそうです。

こだわりは“おもしろさ”

お店を建てた時、夏目さんがこだわったのは“おもしろさ”です。そのこだわりは店内各所、細部にまで見られます。

味のある木製のテーブルは、なんとお酒のもろみを造るときのタンクのふたです。

閉業した酒蔵で使っていたものを再利用しようと思いつき、テーブルにしました。

なつめ・夏目さん
テーブルがお酒のたるのふたと聞いたら見方が変わって面白いでしょう。長年大事に使われていたものだからぬくもりもあるんです。お店のものは、できるだけ加工せずに作られたものや、一つ一つ丁寧に作られたものを大切に使っています

もろみのタンクのふただったテーブル

そしてもう一つわかりやすいのが、はり。

太い一本木を古民家などで見かけますが、夏目さんはせっかくならちょっと違うはりを作ってみようと建築家に相談。建築家から提案を受けて菱形状に組んだ“はり”にしました。

建築を見るのが好きな方、木の組み方や窓などちょっとしたところにもセンスを感じるので、ぜひ隅々まで見てくださいね。

なつめ・夏目さん:
なんだろうと思ってもらえたら面白いです。いたるところに、大事にされてきたものをどう利用できるか考えた面白いものがあります。約20年前に新築で建てましたが、古民家や改修された建物だと思うお客さんも多いです

菱形状に組んだ天井のはり

他にも夏目さんの“見えない”こだわりがお店の中にあります。それは、時計を置いていないこと。

広い店内どこにも時計がありません。時間を忘れてのんびりしてもらいたいという思いからあえて置いていません。

時計のない壁 ゆったりとした席 奥にはコーヒー焙煎室

なつめ・夏目さん
なつめにいる時だけでも時間を忘れて、自分の時間、一緒にいる人との時間を楽しんでほしいという思いから時計を置いていません。たまにはスマホをオフにして、コーヒーを味わい、おしゃべりを楽しんでもらえたらと思います

1階は「蔵酒なつめ」

1階の蔵酒なつめでは、静岡県内のお酒や、浜松から近い豊橋など愛知県東部エリアのお酒も取り扱っています。

限定流通にこだわったお酒など、なかなか出回っていない商品にも巡り合えるかもしれません。

1階の蔵酒なつめ

奥にはギャラリーもあり、陶器やかばんなど、定期的に展示販売の内容が変わります。

このギャラリーの雰囲気が、とっても古く感じられるのは、石壁が200年前の物だからです。

お店を建てる時に、取り扱っていたお酒の蔵元の石蔵の壁を移築しました。

移築された200年前の石壁 奥にはギャラリー

自然と歩くスピードも一歩一歩ゆっくりとなる空間です。ぜひ一歩ずつゆっくりと回ってみてくださいね。

なつめ・夏目さん
石は今も呼吸しています。自然由来のものを使用することで、お店の居心地の良さを作っています。2階の壁も漆喰にわらが入っていて、呼吸しています。人間も呼吸をする生き物、呼吸をするもの同士が居心地がいいんです

2階は「蔵茶房なつめ」

蔵茶房は一度行ったらファンになること間違いなしというくらい、コーヒー、食べ物、お店の雰囲気、価格、景色、器など全てにおいてこだわりを感じさせてくれます。

例えば、ファンの多い「アイスコーヒー(650円)」の氷はコーヒーでできています。

氷で味がどんどん薄まるのを防ぐため、氷までコーヒーにしてしまったそうです。最後までアイスコーヒーを楽しめるのがうれしいですね。

アイスコーヒー(650円)

食べ物はスイーツと軽食があり、お酒が好きな人に絶対に食べてほしいのが「酒粕プリン(500円)」。

蔵酒なつめで取り扱っている「蓬莱泉」の酒かすを使用したプリンです。

吟醸の香りと、口の中に入れた時の風味、そして舌触りで分かる濃厚さ、今までに食べたことのないプリンに驚きますよ!

蔵酒なつめでは蓬莱泉のお酒の販売もあります。

酒粕プリン(500円)

プリンの他にも「吟醸アイス(500円)」、炭入りの「炭シフォンケーキ(550円)」や「赤糠ロールケーキ(650円)」、酒造りに使用する米粉を使用した焼き菓子など、スイーツメニューもいくつかあります。

作り方も味も丁寧さを感じる上、さらに面白さも感じるスイーツがなつめのスイーツです。

炭のシフォンケーキ(550円)

軽食はお値段に驚きのサンドイッチ「自家製パンサンドセット(650円)」もあります。

5種類あるサンドイッチは、ドリンクにプラス650円で注文できます。

なつめオリジナルのパンを使用し、650円とは思えないクオリティーで、サービス精神旺盛な夏目さんのサービスサンドだと筆者は思っています。

自家製パンのサンド(海老の胡麻クリーミー)

サラダと副菜が付き、もちもちした食感のパンに具だくさんのサンドは、午後2時までの限定です。

時間を過ぎても2種類のサンドを選べる「自家製パンのサンド(1500円)」を注文できます。

食事を彩る脇役たちにも、こだわっています。

なつめ・夏目さん:
提供する品はもちろん、入れ物なども楽しんでもらえたらと思います。例えばプリンの器は蓬莱泉と書かれたぐい飲み、コースターはお酒屋さんで使用されていた前掛けをカットして使っています。コーヒーカップやお皿は作家さんに頼んで作ってもらった作品です

工芸品や美術品鑑賞もお忘れなく

店内には工芸品や美術品もあるのでゆっくり店内を回ってみてくださいね。

1階には、筆者が夏目さんとお話しするきっかけにもなった、めずらしい版画があります。

夏目さんの曽祖父が日露戦争から帰還後、国から褒賞品としてもらい、地元の神社に奉納しました。

石壁の上に飾られた版画

100年以上前の版画がまだ色鮮やかに残っています。場所は石壁の上なので、気づかないと通り過ぎてしまいます。上の方を見てみてくださいね。

2階の蔵茶房なつめには、外からも入れますが、1階店舗の奥から2階へそのまま上がれます。

1階から2階へつながる階段

階段には、お酒のつぼなどが並んでいます。容器というよりは、作品。ぜひ陶器好きな方、鑑賞してみてくださいね。

サイフォンのお湯がふつふつとする姿、湖の水面がキラキラする姿、庭の木々の青葉が風に揺れる姿、アイスコーヒーの氷が泳ぐように溶けていく姿。

たまにはスマホをオフにして、日常にある面白さをなつめで感じてみてはいかがでしょうか。

■店名 蔵酒なつめ 蔵茶房なつめ
■住所 浜松市浜名区三ヶ日町津々崎342-2
■営業時間 酒蔵なつめ10:00~18:00
      蔵茶房なつめ09:00~18:00
■定休 木
■問合せ 053-524-2525

【もっと詳しく見る】蔵茶房なつめのホームページ

取材/麻衣子

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静岡生まれ静岡育ち。 神社仏閣伝承研究家。伝承にまつわる記事や地元で見つけたおいしいお店の紹介を書いています。 夢は伝承の脚本を書くこと。好物は和歌と本とコーヒー。 好きな歌 君ならで誰にか見せむ梅の花 色をも香をもしる人ぞしる  
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