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人生山あり谷あり。谷は必ずしも悪いものではなく、人間としての器を広げるために大切です。山も1つの山ではなく連峰と考えると、より豊かな人生に。まずは自分の人生のアップダウンを描いて見える化してみましょう。
テレビ静岡で10月13日に放送されたテレビ寺子屋では、教育改革実践家の藤原和博さんが、人生を山に例え、人間の器を広げるための人生観について語りました。
エネルギーカーブで人生を可視化
教育改革実践家・藤原和博さん:
「人間の器」という表現があります。「器が小さい」などと言いますが、どういう器なのでしょうか。「人生のエネルギーカーブ」というものを描き、自分の人生を見える化しながら、どうしたら器を広げることができるのかというイメージをつかんでもらいたいと思います。
横長の紙を用意して、そこに自分の人生の山や谷を描いてください。
縦軸はエネルギーレベル。知力、体力、精神力の総合力と考えてもいいし、その時点でのモチベーションの高さでもいいです。
横軸がライフスパン。紙の一番左に「生(生まれる)」、そして一番右に「死」と書き、だいたい45歳を真ん中にするという感じで捉えてください。
そこにエネルギーカーブを描きます。現時点まででも今後の見込みまで描いてもいいです。
人生観を問い直した大きな谷
僕が描いてみますと、小学生の時は「遊びの王者」と呼ばれてすごく盛り上がりました。でも、中学では入りたかったサッカー部がなく、しかも反抗期真っただ中の暗黒時代で谷でした。
一転して高校は盛り上がります。入ったバスケ部もすごく楽しかったですし、バンドのリードボーカルをやっていてモテました。
ところが大学受験の後、五月病で気力を失い急降下、底まで行きます。
就職して盛り上がりましたが、メニエル病を発症し5年ぐらい後遺症が残り、30歳にして人生観を問い直さざるを得ない経験をしました。
と、こんなふうに山があれば谷がある。山だけの人は、ほぼいないんじゃないかと思うんです。人生のひとつの真理です。
深い谷は人生の武器になる
エネルギーカーブを描いてみると、谷が深い方が人間の器を広げるような気がしませんか?
どういうことか。人生の前半において谷が深いほど、後半の人生のパワーとして逆転していくということがわかります。
谷の部分が深ければ深いほど話のネタをいっぱい仕込んでいるようなものなので、それをユーモアをもって話せれば友達が集まってくる、エネルギーが集まってきます。
逆に山の話ばかり、自慢話ばかりみたいな人は、おそらく友達がサーッと引いていきます。
人生の山はたくさんあるといい
もう一つ、すごく大事なことがあります。多くの人が人生を一つの山という感じでイメージしています。「30代から50代が仕事盛りで60代以降は下っていくだけ」というイメージをもっている方には、そういう人生が訪れると思います。
その人生観はたった今、捨ててください。60代からでもまだ登る裾野が絶対にあるはずです。
仕事など自分の主軸に取り組んでいる最中に、さまざまなコミュニティにも参加してください。
コミュニティに加わって自分の居場所ができるのに5年や10年はかかりますから、25歳から55歳ぐらいまでに裾野を4、5本作っておくというのが、その後の人生の山並みを豊かにするために非常に大事なことなのです。
被災地支援のコミュニティでもいいし、テニスや囲碁でもいい。どんどん参加し乗り換えていく。
「富士山ひとやま主義型から八ヶ岳連峰型の人生観へ」ということを心掛けていただくと、人生が豊かになるのではないかと思います。
藤原和博:1955年生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。2003年より5年間、東京都内では義務教育初の民間人として、和田中学校校長に。著書「坂の上の坂」は12万部を超えるベストセラー。
※この記事は10月13日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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