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高齢になっても熱く芸術に没頭する人たち「超老芸術家」の展覧会がこの夏、静岡から長野県池田町の「北アルプス展望美術館」へ。あふれる出るパワーが県境を越えます。初めて超老芸術に出会う人もこの記事を見れば良くわかる! 超老芸術展の見どころをご紹介します。
超老芸術展は2023年に初開催
2023年10月に静岡市で初めて開催された超老芸術展は、全国の超老芸術家22組が魂を燃やして制作した作品が来場者を圧倒。大きな話題となりました。
その情熱は2024年県境を越え、長野県池田町へ。
北アルプス展望美術館で7月6日から8月25日まで「超老芸術展in池田町」が開催されることになりました。長野を含む7組の作品約500点が展示されます。
ゼロからわかる「超老芸術」
「超老芸術」の名付け親は、アーツカウンシルしずおかのチーフプログラム・ディレクター・櫛野展正さんです。櫛野さんは全国各地で人知れず創作を続ける高齢者を発掘してきました。
あなたの近くにもいませんか? プロではないけれども、かなり激しい熱量で芸術に没頭する高齢の人が。
ある人は高齢になってから突然絵画に目覚め、ある人は退職後にますます作品作りに没頭し、家の中は寝室まで作品だらけ。
美術の専門教育を受けたわけではなく、独学で創作しているのが特徴で、その作品はどれも“個性強め”なのです。
奥深き超老芸術の世界を、今回の出展者たちを例にさらに詳しくご紹介します。
「ミクロの海物語」
一ツ柳 外史春(ひとつやなぎ としはる)さんは1949年生まれ。
長野県諏訪郡で「ヘア・サロン ヒトツヤナギ」を営む理容師です。
一ッ柳さんが作るのは海の風景のジオラマです。水槽の中には海辺の風景が“ミクロ”に再現されています。
岸壁で賑やかに開かれているお祭り、それに対して水中では魚がゆったり泳いでいます。
誰一人として服や顔が同じ人はいません。泳いでいる魚の種類まで事実に忠実に、リアリティーを大切にしています。
アーツカウンシルしずおか・櫛野展正さん:
一ッ柳さんは魚の釣りの道具を加工するなどして、水槽内全ての素材を手作りされています
ぜひ会場では、目をこらして何で作られているのかもミクロに観察してみてください。
「危機を描く俯瞰図」
超老芸術の代名詞とも言えるのが、静岡県富士市に住む稲田泰樹(いなだ やすき)さんです。1949年生まれです。
街に襲いかかるのは、巨大なクモ、カニ、あるいはニャンコ・・・
本格的に絵を描き始めたのは退職後、67歳からです。
巨大な生物が街を襲う絵画「クライシスシリーズ」を見れば、緻密な俯瞰図に驚くことでしょう。その腕は、大手電機メーカーで図面を描いてきたことで培われたそうです。
アーツカウンシルしずおか・櫛野展正さん:
今回の展示では「スーパームーン」など1mを超える大作も複数展示されます
スーパームーンは「ふじのくに芸術祭」の2021年入賞作品で、街に落ちてきそうな巨大な月がクレーターの一つ一つまで緻密に描かれています。ぜひ会場で稲田さんの“脅威”の世界を感じてください。
「配食サービスがつなぐ表現」
「ARTWINGLABEL(アートウィングレーベル)」は長野で高齢者への配食サービスをしている会社です。
昼晩、定期的にご飯を届けに行くことは、一人暮らしの高齢者の見守りにもなっています。
配達先の高齢者と仲良くなると、詩を書いたり、絵を描いたり、それぞれの超老芸術を咲かせている人たちがいることに気付きました。そこでフリーペーパー「えんがわ」に作品をまとめて紹介しています。
今回はえんがわに掲載された作品の現物が展示されます。
信州アーツカウンシル・野村政之さん:
ARTWINGLABELさんの「えんがわ」に掲載された高齢の方の表現や実作品をご覧いただきながら、鑑賞者の皆さんの身近に住む、独り暮らしの高齢の方にも思いを馳せていただければ幸いです
関連イベント コンサートとギャラリートーク
最後に期間中に行われるイベントのご紹介です。いずれも事前の申し込みは必要ありません。直接会場にお越し下さい。
「いのちの記(しるし)コンサート」
高齢者がつくった詩や短歌、手紙などを曲にして、音楽ユニットの「雅音人(がねっと)」がお届けします。雅音人はアートウィングレーベル所属のアーティストで、配食サービスにも関わっています。
■日時 7月14日(日) 14:00~14:40
8月11日(日) 14:00~14:40
■会場 喫茶ラウンジ
■参加費 無料
ギャラリートーク&ダイアローグ
超老芸術の名付け親・櫛野展正さんなどが会場を巡りながら解説を行うとともに、地域におけるアートの役割について話し合います。
■日時 8月18日(日) 14:30~16:00
■会場 企画展示室
■参加費 無料(観覧料は必要です)
「老」のイメージが変わります
超老芸術展は肩肘張らずに見られる作品展です。作品とともに、作家の背景も紹介されているのが面白く、年を積み重ねてきたからこそ知る人生の悲喜こもごもを、昇華させるように作品にぶつけています。
超老芸術を見れば、「老」のイメージが変わるかもしれません。
作品からは放たれる熱を浴びに、ぜひ会場に足を運んでみてください。思わず笑顔になっちゃう作品が待っています。
■イベント名 超老芸術展in池田町
■会場 北アルプス展望美術館(池田町立美術館)
■住所 長野県池田町大字会染7782
■期間 7月6日(土)~8月25日(日)
■開催時間 9:00~17:00
■休館 月(7月15日・8月12日は開館)・7月16日・7月30日・8月13日
■観覧料 一般600円 高大生450円 中学生以下無料
アクセス
北アルプス展望美術館へは、長野自動車道 安曇野ICより13.5km。公共交通機関の場合はJR大糸線安曇追分駅よりタクシー約6分(3.2km)。
sponsored by 北アルプス展望美術館