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「1年でのJ1復帰」を掲げながらも大事な場面での勝負弱さが響き、昇格の夢が幻と消えた清水エスパルス。Jリーグの“オリジナル10”として輝かしい実績も今は昔。歯車はどこで狂ったのか。エスパルスの1年を振り返る。
J1復帰が叶わなかった清水エスパルス
「大事なところで勝負弱いところを含めてエスパルス」と自嘲気味に笑うのは、落語家で“エスパルス・フリーク”を自認する静岡市清水区出身の春風亭昇太 師匠だ。
テレビ静岡の番組に先日、エスパルスのアカデミーヘッドオブコーチングを務める森岡隆三 氏と共に出演してもらった際も、そんな話をしていた。
とはいえ、エスパルスを応援する人の多くは長年、少なからず同じイメージを抱いているのではないだろうか。
特に2022年シーズンは、そんな“イメージ”を絵に描いたような出来事が続いた。リーグ戦第27節終了時点での勝ち点は31の11位。1桁順位も目指せる位置だった。
ところが、そこからシーズン終了までの7試合で1つの白星も挙げられず二度目のJ2降格。大事なところでの勝負弱さが露呈した。
チーム作りは順調もいざ開幕すると…
こうした中、クラブは2023年、「1年でJ1昇格」という目標と「STRONG WILL(強い意志)」というスローガンを掲げて走り出す。また、社長・GM・監督はいずれも留任となった。J2に降格したクラブが主要3ポストを誰も“代えない”という異例の状況下で、3人とも「目標を達成することが責任の取り方」と強い思いをのぞかせた。
シーズン前に複数選手の移籍があったものの、白崎や乾、鈴木義といった日本人の主力級とサンタナやカルリーニョスなどの外国人選手が数多く残留し、さらに新たに獲得した選手も含め“J1クラス”の戦力を維持。必然的に目標達成への期待は高まった。
ゼ・リカルド監督の留任にともない基本的な戦術は変わらず、このためキャンプでのチーム作りも順調そのもの。プレシーズンマッチでも勝利を重ね、目標はたやすく達成できると楽観的な空気すら漂っていた。
ところが、いざシーズンが幕を開けると、その空気が徐々によどみ始める。
開幕戦で対戦した水戸は、リーグ屈指の戦力を誇るエスパルス相手に“負けて元々”という高いモチベーションで積極果敢に挑み、引き分けに持ち込んだ。今季からエスパルスに加入したディフェンスの高橋は「水戸の選手は戦っている。見習うところがたくさんあった」と振り返る。
エスパルスは水戸戦も含め開幕から5試合連続で引き分け。さらに第6節で群馬に敗れると、続く第7節も甲府に黒星を喫し、順位は22チーム中19位まで落ち込んだ。リーグ戦に限ってみれば前年から14試合連続で白星から遠ざかりクラブワースト記録を更新。
5年連続…シーズン中の監督交代劇
決してチーム全体の調子が悪いわけではないのになぜか点が奪えず、勝ち点が積み上がっていかない現実にクラブは“変化”を求めた。
5年連続となるシーズン途中での監督交代。ゼ・リカルド監督に代わってチームの指揮を託されたのが、今季からエスパルスに加わり、かつては水戸を率いた秋葉忠宏コーチだ。
熱血漢で知られる秋葉新監督は、就任会見の第一声でアントニオ猪木さんばりに「皆さん元気ですか?元気があれば何でも出来る」と声を張り上げた。
これまで、どちらかと言えばクールな指揮官が多かったエスパルスにあって、明らかに“異質”な雰囲気の持ち主。この男がチームをどのように導き、どんな方向に進むのか?
期待と不安が入り混じる中、絶望的になりつつあったJ1昇格への新たなる戦いが始まった。
(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)
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