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伝統工芸が体験できる静岡市の「駿府の工房 匠宿」は2021年に全面リニューアル、おしゃれエリアに生まれかわりました。工芸体験や、地元の素材を使ったドリンク。県外の人にも自慢したいスポットです。
静岡発のアイドルグループ、fishbowl(フィッシュボウル)の新間いずみです。「しんま」ではなく「にいま」と読みます。Wasabeeで連載がスタートすることになりました。
名付けて新間旅。予算は毎回1万円! 新間いずみが行きたいところを旅します。
初回は私の出身「静岡市」
初回は出身地・静岡市の西部へ。
午前9時、まずはJR静岡駅からバスに乗ります。目指すのは駿河区丸子にある「駿府の工房 匠宿(たくみしゅく)」。
匠宿へは静岡駅北口7番乗り場から「中部国道線 藤枝駅行」に乗ります。
午前9時17分発のバスに乗ったら、車内は太陽の光が差し込んできてぽかぽか。
駅周辺の大きな建物から、安倍川が見える安倍川橋を抜け、どんどん窓の外の景色も変わっていきました。
バスに揺られること約30分。「吐月峰駿府匠宿入口」バス停に到着しました。
ここから匠宿までは歩いて約5分です。
[バス運賃 360円] のこり9640円
あそこにもここにも職人の技
駿府匠宿は2021年に通称を新たに「駿府の工房 匠宿」としてリニューアルしました。
静岡で盛んな伝統工芸の工房があって、それぞれの分野の第一線で活躍している職人さんがいます。
なぜ来たかったかと言うと、小学校の授業で駿河竹千筋細工の体験をしたことがあって、その繊細さに感動。機会があればまた触れてみたいと思っていたからです。
匠宿に到着すると、すごい自転車を発見!
匠宿がある丸子・泉ヶ谷エリアでは、12月7日まで現代アート展「SHIZUOKA ART VISION」が開催されています。
自転車は東弘一郎さんの作品で、先頭の自転車をこぐと、後ろの8つのタイヤも回ります。
エントランスでは静岡が誇る駿河竹千筋細工の大きな照明がお出迎え。
お茶染めのタペストリーもかかっていました。
匠宿のいろんな場所に、とっても自然に伝統工芸品が使われているんです。
エントランスを抜け中庭へ。
駿河竹千筋細工や染めもの「竹と染」、木工と漆の「木と漆」、陶芸の「火と土」などの工房が、中庭を囲んでいます。
窓から大きな焙煎機が見えるコーヒーショップ「The COFFEE ROASTER」や、焼き立ての香りが漂う「蓬きんつば ときや」もあります。
店の照明やのれんに、駿河竹千筋細工やお茶染めが使われていると教えてもらいました。
匠宿のいたる所に職人の技が隠れています。ぜひ探してみてください!
家康が愛した竹細工
いよいよ最大の目的、駿河竹千筋細工の体験をします。
小学校の頃、地元の伝統を学ぶために、駿河竹千筋細工の職人さんが学校に来てくれたことがありました。
その時に花器を作ったのですが、竹ひごの曲線や繊細さに引かれました。今も花瓶は大切にしています。
駿河竹千筋細工は、虫の音や蛍の光を楽しむために竹細工でかごを作ったのが始まりと言われています。
あの徳川家康も愛用していた?!
タカ狩りが好きだった家康は、タカのエサになる虫を入れるために竹かごを使っていたそう。
職人が竹ひごの角をとって丸くし、虫が傷つかないように工夫したんだそうです。
コースター作りに挑戦
竹の花器やペン立てなどが作れます。体験料は作るものによって変わり、1800~6000円です。
所要時間は30分から1時間10分、時間や予算に合わせて体験コースを選びましょう。
さて今回挑むのは約30分でできる「コースター」です。
教えてくれるのは職人歴10年の黒田雅年さん。父親も職人で、上皇さまの前で技を披露したことがあるそうです。
まず、まるい竹枠に合わせて底の部分をハサミで切っていきます。
竹の素材をハサミで切るのは固くて、少し苦戦しました。
切れたら竹枠にはめて、ぴったり収まるように金づちでたたいていきます。
この瞬間、自分が少し職人さんになれた気がしました!
次は竹ひごを小さな穴に差し込んでいきます。力加減で折れてしまうのではとヒヤヒヤしました。
それにしても、職人さんの手で一本一本作られた竹ひごは、しなやかによく曲がります。
黒田さんの家の倉庫から出てきたという約60年前のコースターも見せてもらいました。
本物のチョウの羽が挟まれていて、月日が経っているとは思えないほど、しっかりしています。
繊細で美しいのに、壊れにくい。こんな作品が作れるようになりたいです。
私のコースターも、接着剤で固定したら完成です。
駿河竹千筋細工の繊細さに手で触れて感じながら作ったコースター。愛着がわきました。
このコースターを読者のみなさんに抽選でプレゼントします。旅の最後の記事で応募方法をご紹介するので、お見逃しなく。[コースター体験料 1800円]のこり7840円
プラモデル王国らしい「模型工房」
さらに最新情報をご紹介します。
静岡の大手模型メーカー「タミヤ」が監修する模型工房が、2023年8月に匠宿にオープンしました。
工房に入ると模型作りに使う工具や、ミニ四駆が飾ってありました。
ミニチュアのスイーツは軽量粘土でできているとは思えないほど、1つ1つリアルに色が塗られています。
「プラモデルが伝統工芸?」と思うかもしれませんが、静岡市には多くのプラモデル・模型メーカーがあるんです。その技術は元をたどれば、静岡に職人さんがたくさんいたから。
そんな模型工房ではミニ四駆、ロボクラフト、プラバンキーホルダーの製作や、模型の色塗り、プラバンを立体的に加工してアクセサリーを作る体験ができます。
体験料は作るものごと変わりますが500~2500円です。時間は30分から1時間半ほどかかるものもあります。
実際に恐竜プラモデルの色塗りをタミヤの社員で工房長の大石寿昭さんに見せてもらいました。
まず全体を筆で塗り、その上からにアイシャドウのようなパウダー状の塗料で仕上げていきます。
パウダー状の塗料が濃淡を引き出し、リアルな味がある恐竜の肌感に。まさに職人技でした。
地元の紅茶とハチミツ
最後におしゃれな飲食エリアを1つご紹介します。
工芸体験のあと開放的な雰囲気のカフェ「HACHI & MITSU」で、ひと休みすることにしました。
ここにも駿河竹千筋細工の照明。体験の後だとまた見え方が変わって、より親しみが湧きます。
カフェでは地元・丸子で作られた紅茶と、村本養蜂場のハチミツを使ったスイーツやドリンクが楽しめます。
「丸子ミルクティー(550円)」を注文。店内でも飲めますが、日の当たるテラス席で。
甘すぎず鼻を抜ける紅茶の香りがすっきり。ミルクとハチミツがまろやかでおいしかったです。
[丸子ミルクティー 550円] のこり7290円
匠宿は以前来たことがあるという人も、多いのではないでしょうか。そんな人もすっかり変わった匠宿に驚くこと間違いなし。
初体験の私も、伝統工芸や地元の味を五感を使って楽しめ、ゆったりと過ごすことができました。
次回はランチにおすすめ、名物「とろろ」の満腹コース! 東海道の歴史あるグルメをリポートします。■施設名 駿府の工房 匠宿
■住所 静岡市駿河区丸子3240-1
■営業時間 10:00〜19:00
■定休 月
■問合せ 054-256-1521(10:00〜18:00)
■駐車場 無料
取材/新間いずみ
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