富士山の山開きまで1カ月を切りました。初心者から上級者までさらには日本人だけでなく外国人の間でも人気が高い富士山の登山ですが、一方で気候が変わりやすく遭難と隣り合わせという現実もあります。
標高3776m。
海外の人からも日本の象徴として広く知られている富士山。
2026年は山梨県の吉田ルートと静岡県の須走ルートが7月1日に、富士宮ルートと御殿場ルートが7月10日に、冬期の通行止めが解除され、登山規制を設けた上で開山期を迎えます。
静岡県・鈴木康友 知事(4月27日):
規制内容は登山者に対するルール・マナーの事前学習、午後から翌午前3時までに入山する場合の山小屋の宿泊予約、入山料4000円の納付で、2025年と同様
富士登山は訪日外国人観光客からの人気も高く、2025年の登山者数は4ルート計20万5100人。
コロナ禍以降は20万人超が続いています。
一方、富士山は天気の変化が激しいだけに、毎年課題となるのが安易な判断や登山の強行に伴う遭難事故です。
県警察本部によると、2025年の開山期に発生した遭難事故は36件。
2024年から17件減ったものの、2日に1回は遭難事故が起きている計算です。
富士宮市・須藤秀忠 市長(5月11日):
自己責任になっていない。遭難したら助けてもらえばいい。それではとんでもない話
ただ、遭難事故が特に問題視されているのは夏山シーズン以外の閉山期。
4つの登山道はいずれも法律に基づき通行が禁止されているからであり、このため富士宮市・須藤秀忠 市長はたびたび、開山期以外の救助については有料とするよう訴えています。
富士宮市・須藤秀忠 市長:
県道(登山道)を歩かなければいいわけではない。登ってもらっては困る
とはいえ、現在の法律では警察や消防の救助活動について費用を請求することができません。
そこで、モデルケースとなり得るのが埼玉県です。
埼玉県は全国で唯一、山岳救助を有料化していて、指定された山や地域で県の防災ヘリによって救助された場合、燃料費に相当する手数料として5分のフライトにつき8000円を徴収しています。
なぜなら、防災ヘリについては法律の制限を受けないからです。
ところが…
静岡県 消防保安課・村井浩 課長:
本県で実施できるかどうかは課題が結構多く、課題の解決に向けていま頑張っているが、難しい
埼玉県が保有する防災ヘリは3機。
これに対して静岡県はわずか1機のみで、メンテナンスに加え災害などで別の現場へ出動している場合は警察に頼らざるを得ないからです。
静岡県・鈴木康友 知事:
一番いいのは、国から統一的なルール等を全国に発出してもらうこと。富士山だけの問題ではない。それが一番いいのではないかと国にお願いをしている
しかし、消防庁は「山の状況がそれぞれ異なる中、簡単なことではない」と指針の策定には後ろ向きです。
こうした中、日本を代表するアルピニストの野口健さんは、自身の経験から山岳救助の有料化には一定の効果が見込まれると話します。
アルピニスト・野口健さん:
有料・無料によって緊張感が変わる。私も経験があるが、何かあっても無料で来てくれるというのは無意識の中で緊張感がなくなる。それ(有料の救助)は結構リアルな話でドーンとくる
その上で閉山期の富士登山を一律に禁止するのではなく、許可制にするのが望ましいと考えています。
アルピニスト・野口健さん:
例えばアメリカの国立公園マッキンリーに行くと、まずカバンの中のチェックがあり、しっかりと装備を持っているか、申請する時には、過去にどういう山を登ってきたか自分の登山歴を全部書いて申請する。アラスカの現場に行ったら彼ら(担当者)が荷物チェックをして、彼らが大丈夫だと判断したら初めて山に登ることができる
救助費用の有料化を含め、閉山期の無謀な登山を防ぐための施策について、秋頃には方向性を出し、必要に応じて県議会12月定例会に関連する条例案を提出する考えを示している山梨県・長崎幸太郎 知事。
他方、静岡県・鈴木康友 知事は、「実務的にこれからまだ詰める必要がある」と慎重姿勢を崩していません。
静岡県・鈴木康友 知事:
今の時点で、12月に間に合うのか、その先までかかるのかは見通せない状況
