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チベット出身の声楽家・バイマーヤンジンさんを、来日当初悩ませたのは、「あかん」「かまへん」といった辞書にない言葉です。一方で日本の識字率の高さに衝撃を受けました。しかし、こうしたカルチャーショックが自分を成長させてくれたそうです。

テレビ静岡で2026年2月15日に放送されたテレビ寺子屋では、バイマーヤンジンさんが、日本で感じた3つのカルチャーショックについて語りました。
ややこしい! 日本語の豊富なバリエーションに苦労
チベット声楽家・バイマーヤンジンさん:
私は大学時代に日本人の夫と出会いました。結婚を機に日本に来て、もう30年になります。チベットの田舎で育った私が、日本で感じた3つの大きなカルチャーショックについてお話ししたいと思います。

1つ目は、「言葉の壁」です。私は日本語が全くわからないまま来日し、大阪で夫の両親・祖母と一緒に暮らし始めました。
必死に日本語を勉強しましたが、大阪では「あかん」とか「かまへん」とか、本で調べても出てこない言葉が返ってくるので大変でした。

また、漢字・ひらがな・カタカナがあって、初めはややこしく感じました。しかし日本語を学ぶにつれ、表現の豊かさがわかり、その面白さと奥深さに今でも驚くばかりです。
識字率ほぼ100% 日本の教育の力に感動
2つ目は、「日本社会の素晴らしさ」です。世界トップクラスの経済力、整備されたインフラ、高度な医療。
なかでも衝撃だったのが、識字率がほぼ100%ということです。私の故郷の村では、学校に行っていないため字を読めない人が多く、私の親も字が読めません。日本の教育水準の高さに触れ、教育が民族や国にとってどれほど大事なものなのかを実感しました。

そして、チベットの子供たちを学校に行かせたいと考え、以来30年近く学校建設と教育支援をしてきました。日本に来たことで故郷の足りない部分に気づけたのです。
ところが、学校建設や奨学金支援を行うなかで、子供たちに教育の機会を届けるためには社会や教育制度の問題など、故郷への愛情だけでは解決できないことに直面しました。

この壁を越えるために専門的な知識を身につけたいと思い、2025年に大学院に入学しました。3つ目のカルチャーショックはこの大学院生活で感じたことです。
我慢強く努力家 日本の若者たちへの尊敬
私は「日本は豊かで天国だ」とうらやましく思っていましたが、苦労しながら頑張ってる若者もいっぱいいるんです。
250円の交通費を節約するために大学から40分かけて歩いて帰る子もいれば、家族の事情で一度は受験を諦めたけれど、自分の夢のために一浪して入学してきた子もいます。

よく「今の若者たちは根性がない」という言われ方をする時もありますが、私は違うと思います。日本の若者たちは真面目で努力家で、社会の動きをよく見ています。それでいて控えめで我慢強い。
私は心から尊敬しています。彼らの頑張りを知ってもらいたいし、期待してほしい。そして、できたら励ましてほしいと思います。

日本で感じたカルチャーショックのすべてが、私を成長させてくれました。日本の言葉を学ぶことは私の適応能力を高め、視野を広げてくれました。
そして、日本社会の素晴らしさは、故郷に貢献するきっかけとなりました。大学では新しい学びとともに、若者を通して日本の知らなかった面に触れることができています。
いま日本に暮らすこの環境に心から感謝し、これからも学び続けていきたいと思います。

バイマーヤンジン:チベット・アムド地方出身。中国国立四川音楽大学卒業。名前はチベット語で「蓮の花にのった音楽の神様」の意味。1994年来日後、全国でコンサートや講演を行い、故郷チベットの学校建設や学生支援にも力を注いでいる。
※この記事は2026年2月14日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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