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「先の見えない時代」と言われる今、それは「自分なりの人生の作り方をしていい」という意味でもあります。そんな時代を生きる日本人トップアスリートが共通して話す、日本人特有の結果の出し方とは何でしょうか。

テレビ静岡で2026年1月11日に放送されたテレビ寺子屋では、スポーツ心理学者の田中ウルヴェ京さんが、トップアスリートから学ぶ「日本人ならではの結果の出し方」について語りました。
どんな結果が幸せなのか?
スポーツ心理学者・田中ウルヴェ京さん:
今は「先の見えない時代」と言われ、「こうなれば人生は成功だ」という決まった道がなくなってきました。それは悪く考えることもできるけれど、「自分なりの人生の作り方をしていい」という意味でもあります。

つまり、「どんな結果を出し続けることが自分にとって幸せなのか」を自分で選び、作ることができるのです。
トップアスリートは、結果を出すための「心の作り方」を日常的に意識しています。諸外国の研究を集めて調べたところ、面白いことに「日本人ならではの結果の出し方」があるらしい、ということが分かってきました。

自己評価の習慣をつくる
そもそも、結果とはなんでしょうか? 例えば「試合で勝つ」、これは目に見える結果です。
一方でたとえ勝ったとしても、「自分の中では満足できていない、自分に負けた」と感じることもある。つまり勝敗などにかかわらず、「自分のベストの力を出せたかどうか」、これもひとつの結果と言えます。
「ベストの力を出せたかどうか」という感覚は自己判断であり「主観」です。つまり結果を出すには当日だけではなく、「毎日どれくらいベストを出せたか」という「自己評価の習慣」が必要なのです。

例えばアスリートなら「今日は腹筋を50回やる」という目標を立て、できたらチェックをする。これは仕事や子育てにも応用できます。
「子供が自分で意思決定できるようになるために、支えられるお母さんになる」といった目標を持っておくと、「今朝は寝不足で気分がよくなかったけれど、怒らずに子供を送り出せた」という自己評価ができます。

こうして毎日、自分の力をどのくらい出せたかを確認する。「自己評価」という言葉は「自分に厳しくする」と思われがちですが、大切なのは「できたときに自分を褒める」という自己評価です。
「つながる力」でベストの力を
ところが自己評価を毎日続けても、本番でベストの力を出せる人と出せない人がいます。
その差はどこかというと、「レジリエンス」が大事な要素として挙げられます。「レジリエンス」とは、困難やストレスに直面したときに「それでも、自分のベストを出すにはどうすればいいか」という方向にもっていける心のしなやかさのことで、「挽回力」や「回復力」を意味します。

この「レジリエンス」について、日本のトップアスリートから共通の話が聞かれました。困難に直面したとき、「つながること」が大事だと言うのです。
何につながるのかというと、「家族」や「恩師」といった人とのつながりもあれば、「ご先祖様」「水の神」「ゴールの神」という人もいます。この感覚はどうやら日本人ならではのもので、「つながることで、『大丈夫だと思える』『温かい気持ちになる』『気付かせてもらえる』ことがある」ようです。

「自分からつながろうとする習慣を作る」。すると、勝つか負けるかは分からないけれど、自分のベストを出すことができる。それが日本人ならではの「結果の出し方」のようです。
根拠はないけれど、自分にだけは分かることがある。それは言い換えれば「心に軸を持つ」ということです。そういう人は自分で自分を幸せにする力を持っていると思います。

田中ウルヴェ京:ソウル五輪シンクロ・デュエット銅メダリスト。米国大学院修士修了、慶應大学にて博士号取得。さまざまな競技のトップアスリートや経営者など、幅広く心理コンサルティングに携わっている。
※この記事は2026年1月11日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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