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【静岡×焼津・満観峰編】眺望“満”点! 「家康ベンチ」で将軍気分 登山客で賑わう人気の山へ

低山登山に関心がある方なら、「満観峰」(まんかんほう)の名を一度くらいは聞いたことがあるかもしれません。静岡市・焼津市にまたがる満観峰は、登山者が絶えない人気の山。頂上からは、その名のとおり“満”点な眺望が“観”られます。

【画像】満観峰山頂からみた富士山(2022年5月撮影)この記事のギャラリーページへ

満観峰ってどんな山?

満観峰は静岡市と焼津市の境に位置する、標高470mの山です。山頂には広々とした広場があり、富士山に伊豆半島、駿河湾、南アルプスまで、静岡の絶景を一望できます。

地図提供:YAMAP
地図提供:YAMAP
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人気の山だけあって登山コースも豊富ですが、今回は花沢の里からスタートする王道コースを歩きました。

●今回の低山登山DATA
登った山:満観峰
標高:470m
タイム:約3時間40分
距離:約6.6km 

歴史的景観を楽しめる花沢の里からスタート

国の重要伝統的建造物群保存地区

今回のスタート&ゴール地点である花沢の里は、江戸時代から続く山村集落です。自然豊かな街道沿いに石垣と板張りの建物が並ぶ風景をお目当てに、観光客も多く訪れます。

のどかな風景を楽しみながら、登山道入り口へと向かいます。

いよいよ登山スタートです

スタートから約15分、登山道入り口に到着しました。実は筆者、満観峰に登るのはこれが2度目です。2年前、この満観峰で低山登山デビューを果たしました。

もう少し傾斜がきつい箇所もあります

当時はペース配分がまったくわからず、唐突にはじまった傾斜に息も絶え絶えになった記憶が。

今回はその轍を踏まないよう、周囲の景色を楽しむ余裕を保ちつつ登っていきます。

鞍掛峠 ベンチに座って休憩できます

登山道に入ってから約25分、鞍掛峠に着きました。鞍掛峠で道は分岐していて、北に進むと満観峰、南に進むと高草山になります。今回はもちろん満観峰方面へ。

次回は高草山にも

静岡ならではの大パノラマを一望

傾斜はわりとゆるやかです

鞍掛峠から山頂までの道のりは、距離こそあるものの傾斜はそれほどでもありません。

登山客やトレランをしている人とあいさつを交わしながら、マイペースで登ります。

ベンチ横の箱には「桜日記」と書かれたノート

途中でベンチがありました。サクラの時期には、ベンチに座ってサクラを眺められるようです。すてきですね!

満観峰は手作り感あふれる道標も多く、この山が多くの人に愛されていることを実感しました。

焼津方面を望む

頂上まであと少し、眺望がよくなってきたら山頂が近い合図です。

鞍掛峠から約40分で頂上に着きました!

標高は470m


この日は黄砂の影響で景色が少々ぼんやりしていますが、駿河湾と富士山が見えています。

晴れていれば伊豆半島や南アルプスもはっきり見えて、静岡らしい大パノラマを一望できます。

初めて登った2022年5月には富士山に雪はほとんどありませんでしたが、きれいに見えました。

山頂はとっても広くて、芝生が敷かれています。いつも登山者で賑わっていますが、座れないということはないぐらい広々。

あずまや、テーブル、ベンチもあり、皆さん思い思いにお弁当や飲み物を楽しんでいました。

開放感あり のんびりと過ごすにはうってつけ

日本一の展望地 「家康ベンチ」でひと休み

登山コースが多数あります

では下山です。以前、満観峰に来た際は往路と同じコースで下山したので、今回は日本坂峠を経由して花沢の里に戻ることにします。

右側は以前は茶畑だったのかもしれません

「日本坂」の名前は東名高速道路を通る「日本坂トンネル」でおなじみですが、古くはトンネルより上を通るこの険しい峠道でした。

昔の交通の要所、日本坂峠に向かいましょう。道標の「花沢山」方面に従って南へと向かいます。

満観峰~花沢山は東海自然歩道にもなっています

ずっと下りというわけにはいかず、多少、登らなければならない箇所もあります。けれど上りの距離は短く、眺望が開けているところが多いのもあって、それほど苦になりません。

45分ほど下ったところで「日本一の展望地 家康ベンチ」なるものを発見!

「家康ベンチ」の名に引かれてすぐに座ってしまいました

このベンチを設置をしたのは、ハイキングコースの整備をしてくれている地元の方々だそうです。「家康のベンチ」と命名したのも、地元の方々とのこと。

文献などを調べたところ、家康がこの場所を歩いて静岡に向かう途中で一服した際にとても眺めが良い場所があったと書かれており、ベンチを設置した場所も眺めがよかったため、「家康のベンチ」と命名したのだとか。

「日本一の展望地」の称号は伊達ではありません。気持ちのよい景色です。

家康ベンチからの眺め

東名高速道路を走る車が足元の山に次々と入っていく様子から、現代でもこの地が交通の要所だとよくわかります。

家康のベンチから少し下っていくと日本坂峠に到着です。登山道が峠で十字に交差しています。

日本坂峠には、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が通ったという伝説があります

東に35分ほど進むと花沢山山頂のようです。

ちなみに、花沢山と満観峰、そして鞍掛峠を南に進んだ先にある高草山は、「焼津アルプス」と呼ばれているそうです。いつか焼津アルプスを縦走できるようになりたいと思います。

焼津辺展望台 こちらも休憩にもってこいです

さらに進むと焼津辺展望台がありました。焼津辺(やきつべ)は、「焼津の辺り」という意味です。

「焼津」という地名は奈良時代にはすでにあったようで、春日蔵首老(かすがのくらびとおゆ)が詠んだ「焼津辺にわが行きしかば駿河なる 安倍の市道に逢ひし児らはも」という一首が万葉集に掲載されています。

ちなみに上記の歌は、「焼津付近を訪れた際に、安倍の市に向かう道で出会った娘がいたけれど、どうしているのかなあ」といった意味だとか。

法華寺の東側に出ました

焼津辺の風景を堪能したら再び下ります。山頂から約1時間20分、花沢の里に続く道に出ました。

これにて本日の低山登山は終了です。お疲れさまでした!

その人気に納得 一度は登っておきたい

登山道は全体的にかなり歩きやすいです

静岡県中部エリア屈指の人気の山・満観峰は、登山道は整備され、道標も充実しています。ところどころにベンチも設置されているので、快適に休憩できます。

そのおかげで、運動不足の筆者でも安全安心に登ることができました。また、何と言っても山頂は開放感抜群、見晴らしも満点です。

花沢の里では無人販売も多く 登山のおやつによさそう

これからの季節は、本記事に掲載している写真より、緑がもっと鮮やかになっているはずです。梅雨がはじまる前に、多くの人に親しまれている満観峰にぜひお出かけしてみてください!

!CAUTION!
◎各所に案内看板がありますが、道迷いの可能性がまったくないわけではありません。特に分岐では、地図や登山アプリなどでルートを確認するのを忘れないようにしてください。
◎低山とはいえ、山は山です。適切な服装と装備で楽しんでください。
◎時期や天候によってコースの状況が変わっている可能性があります。インターネットなどでできるだけ最新の状況を確認するようにしてください。
◎静岡県内でもクマが目撃されています。低山でも油断せず、クマ鈴、クマ撃退スプレーを携帯しましょう。

取材/小川結子

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東京生まれ伊豆育ち、フリーライター歴1×年以上。「休日に早起きなんて無理。でも、少しだけ自然に触れたい。あわよくば体重も落としたい」という怠惰な理由で低山登山はじめました。ウイスキーを少々たしなみます。神社検定2級