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あの「麗子」に会える! 「浜松ゆかりの洋画展」開催中【浜松市美術館】

細い目にパッツリ前髪の女の子! 洋画家の岸田劉生が娘の麗子を描いた絵ですが、あのインパクト強めの絵画を間近で見るチャンスです。浜松市美術館ではいま、浜松ゆかりの洋画家の作品と、その活動を援助した浜松の文化人を紹介する企画展が開かれています。

2週間前に描かれていた「麗子微笑像」

テレビ静岡などが主催する「岸田劉生・北蓮蔵・曾宮一念 -浜松ゆかりの洋画展-」では、日本を代表する洋画家たちの作品69点が展示されています。

中でも注目は「麗子」です。

岸田劉生が自らの娘を描いた重要文化財の「麗子微笑」は、美術の教科書で見たことがあるのでは?

左)麗子微笑像(上原美術館蔵)

実は「麗子微笑」を描く2週間前に描かれた「麗子微笑像」という作品もあるんです。今回は「麗子微笑像」が展示されています。

劉生の作品は、合わせて13点が展示されています。

フランス留学の資金に

岐阜県出身の北蓮蔵は、浜松経済界の重鎮たちの肖像画を描くことでフランスへの渡航費用を工面し留学したそうです。

「コンセルジュ」はフランス滞在中、アトリエのコンセルジュをつとめた老夫婦を描いた作品。横幅2mを超える大作「午の憩」もあります。北蓮蔵の作品は18点展示されています。

右)コンセルジュ(岐阜県美術館蔵)

光を失った画家が描く「毛無山」

静岡を拠点に全国各地を訪れ、その風景を描き続けた曾宮一念。

曾宮一念は78歳で失明してしまうのですが、「毛無連峯」は視力をほぼ失ってから想像で描いた作品です。

迫るように沸き立つ雲の奥に、天子山地の最高峰「毛無山」。

右)毛無連峯(静岡県立美術館蔵)

移り変わる自然の造形美を見出した多数の風景画を含む19点が展示されています。

浜松の文化人のおかげだった

3人の画家に共通しているのが、浜松の文化人の援助によって支えられていたことです。

岸田劉生の作品をかつて所有していたのが、現在の浜松市中央区和合町で綿織物業を営んでいた山本貞治郎です。山本は劉生の作品に魅了され、23点を収集しました。

文化人を紹介するパネル

北蓮蔵は現在の浜松市中央区連尺町にあった本目歯科医院の初代院長・本目快次郎と意気投合し、本目家の敷地内の土蔵にアトリエを構えました。

また、曾宮一念を援助したのは浜松の作家で眼科医の藤枝静男でした。曾宮は藤枝との交流をきっかけに浜松を訪れるようになり、浜松の画家や文化人とも交流を深めたそうです。

山本芳翠、和田英作などの作品も展示

その他、浜松市美術館所蔵の和田英作などの作品も展示されています。

同時開催の「ひっぱりだこ展」とは?

「浜松ゆかりの洋画展」と同時に1階で開催しているのは「ひっぱりだこ展」です。

浜松市美術館の所蔵品の中で、人気があり全国に貸し出されたことのある、“ひっぱりだこ”の作品を厳選した企画展です。

渡辺崋山の「蟲魚帖稿」は、岡田美術館所蔵の「蟲魚帖」の下描きです。

渡辺崋山の「蟲魚帖稿」

瓜に群がるハエを狙うカマキリ、糸を張り巡らせ獲物を捕らえようとするクモ。

動植物で弱肉強食の世界観を描いていますが、幕府を批判し自害した崋山が、国の行く末を嘆いて描いたのかもしれません。

オディロン・ルドンの作品(手前)

オディロン・ルドンの「マドンナ」はこの展示会唯一の外国人画家による作品です。

聖母マリアが白い花とともに淡く幻想的な雰囲気で描かれています。2019年に修復作業を終え、美しくよみがえりました。

今後の他都市の美術館への貸し出しも既に決まっていおり、まさに「ひっぱりだこ」な名品です。

池田学の作品(手前)

池田学の「再生」は、海に沈んだ苔むす戦艦です。1辺が160cmを超える大作ですが、緻密です。

4cm四方を描くのに1日かかったというから驚きです。

1月にカナダ・オデイン美術館から海を渡って帰ってきたばかりの、海外からも「ひっぱりだこ」な人気作品です。

月岡芳年「月百姿」シリーズ

「ひっぱりだこ展」は、浜松市美術館を代表するコレクション65点が勢ぞろいの豪華ラインナップです。

全国の名品を堪能できる「浜松ゆかりの洋画展」と、浜松市美術館の名品が堪能できる「ひっぱりだこ展」。この2つの展覧会を同時に楽しむことができるチャンス。浜松市美術館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

■イベント名
岸田劉生・北蓮蔵・曾宮一念 ー浜松ゆかりの洋画展ー
同時開催  ひっぱりだこ展ー全国行脚の浜美コレクションー
■会場 浜松市美術館(浜松市中央区松城町100-1)
■期間 6月2日(日)まで
■開館時間 9:30~17:00(最終入館16:30)
■休館 月(祝日の場合は翌日)
■観覧料 大人1200円、大学生・専門学校生・高校生800円、70歳以上600円、中学生以下無料 ※詳細は浜松市美術館のHP参照

【もっと詳しくみる】浜松市美術館のホームページ

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