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2023静岡の軌跡#5 行政区の再編案がまとまった浜松市 新年から「中央区」「浜名区」「天竜区」に

2023年2月に行政区の再編案がまとまり、新年からは新たに区割りへと変わる浜松市。市の歴史の中で大きな節目を迎える中、市民の生活にはどのような影響が出るのだろうか。

2023年2月。浜松市では鈴木康友 市長(当時)や議会などが10年以上にわかった議論を続けてきた行政区の再編案がまとまった。

これにより、2024年1月1日からは現在7つある区が3区に統合・再編され、中区・東区・南区・西区・北区の三方原地区が「中央区」に、浜北区と三方原地区以外の北区が「浜名区」となり、天竜区はそのまま「天竜区」として残る。

区長などの職員を減らすことによる人件費削減や事務作業の集約により、年間 約6億5000万円の削減効果があるとされるが、馴染み深い名前が“無くなる”ことに寂しさを覚える市民もいる。

浜北区の住民:
“浜北”が無くなるのはちょっと寂しいかな

浜北区の住民:
最初は戸惑う。子供の頃から馴染んでいるので、そういうものだと思っているから

また、区の面積が広くなることで区役所までの距離が遠くなることを懸念する声もある。

東区の住民:
東区役所はそんなに遠くないし、立派な物があって行きやすいが、そういう面では面倒くさくなるのかなと思っている。

こうした行政サービスについてはこれまでの議論の中でも問題視され、無くなってしまう4つの区役所は「行政センター」として残すことで従来通りの行政サービスを受けられるようになる。

浜北区の中村公彦 区長は1月からは浜名区長を務めることになっていて、スムーズな移行に向けて準備を進めている。

浜北区・中村公彦 区長
今は最終的な移行に向けて異論がないように準備を進めているところ。いずれにしても区の再編がいいきっかけになればと考えている

一方、区の名称が変わることで浜北区の杉森印刷では12月に入って名刺の発注が2022年の同時期と比べて約3倍に。

インボイス制度の導入も重なったことで伝票などの発注は約2倍になっているという。

杉森印刷・杉森由崇 社長:
11月の中旬~終わり頃くらいから住所変更の意識が出てきて徐々に増えてきた。毎日残業等して対応している

手掛けるのは名刺や伝票だけではなく、商品のパッケージや例年この時期に発注が増える年賀状も…。スタッフがフル回転で作業を進めている。

杉森印刷・杉森由崇 社長:
社員一丸となってなんとか年内で完全に納品できるように努力している

西区にある和地協働センターで行われていたのは、区の再編によって新たに制度化される「地区コミュニティ協議会」の設立に向けた準備だ。

これは市の付属機関である区協議会の下部組織として条例に基づいて新設されるもので、地区ごとに任意で設置し住民の意見や要望を行政に届ける役割を担う。

ただ、住民としては新たな負担となる意識もあり、市がアンケート調査を行った50地区のうち44地区は設置に後ろ向きな回答をしているのが現状となっている。

和地地区自治会連合会・浜井卓男 会長:
単位自治会それぞれの要望があっても、地区コミュニティ協議会全体で共有して要望することで重みが違ってくるのではないかと思う

こうメリットを話すのは、すでに住民主体でイベントや協働センターの運営などに取り組む和地地区自治会連合会の浜井卓男 会長だ。

これまでの経験を活かし地区コミュニティ協議会“第1号”として、地区全体でコミュニケーションを取りながら、その声を行政に届けていきたいと意気込んでいる。

和地地区自治会連合会・浜井卓男 会長:
悩みも全部話し合って、こういうことはコミュニティ協議会として市に要望していこう、提案していこう、それができる。(区が)大きくなる半面、この地域をもっとみんなでよく知って、どう良くしていこうかとみんなで話合う。本来のコミュニティを作っていくには非常にいい制度だと思っている

2005年に12市町村が合併して誕生した浜松市。

行政区の再編をこれまで以上に住みよい浜松市するために、行政も市民も地域の魅力を活かしたまちづくりを進めていくことが求められている。

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