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軽自動車が大破し1人死亡 追突した車の男は意識もうろう 持病を隠して免許更新か…罪深い”嘘” 静岡

追突された軽自動車ははずみで前のトラックにも衝突し、原形をとどめないほど大破。乗っていた男性は死亡した。

目撃者によると、追突した乗用車の男は「意識がもうろうとしていた」という。男は事故の4日前に免許を更新したばかりで、健康状態を尋ねる質問票に”嘘”の回答をし、持病を隠して免許を更新していたとみられる。

追突され前方のトラックにも衝突…大破

3台玉突き事故の現場(2023年7月・浜松市)

2023年7月10日午前11時頃、静岡県浜松市浜北区の国道152号で3台が関連する玉突き事故が起きた。

乗用車が前方に停車していた軽自動車に追突し、軽自動車ははずみで前のトラックにも衝突した。

軽自動車の男性は死亡

乗用車はかなりのスピードで追突したのだろうか…軽自動車はトラックとの間にはさまれ原形をとどめないほど大破し、運転していた男性(当時54)は死亡した。

また、トラックの男性と乗用車の運転手も軽傷を負った。

追突した乗用車

追突した乗用車の運転手は事故直後に「意識がもうろうとしていた」「けいれんしていた」との目撃情報があり、警察は持病の影響で事故を起こした可能性があるとみて捜査を進めた。

持病を隠して免許更新か

運転免許取得・更新の質問票(静岡県警HP)

そして約4カ月後の11月28日、警察は乗用車を運転していた浜松市の会社員の男(45)を逮捕した。警察は男の”嘘”が悲惨な死亡事故を引き起こしたとみている。

逮捕の容疑は道路交通法違反(免許証の更新及び定期検査)と自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷罪)だ。

男は事故の4日前の7月6日に免許を更新していた。

免許更新や取得の際には質問票への回答が義務付けられているが、「過去5年以内に病気を原因として意識を失ったことがあるか」という質問に対し、男は実際にはあるにもかかわらず「いいえ」と虚偽の回答をしていたとみられる。

道路交通法が定める免許証の更新の手続きに違反した疑いだ。

追突した乗用車の運転席

免許を更新したことで男は運転を続けたが、7月10日、乗用車を運転中に病気の影響で意識喪失の状態に陥り、前方に停止中の軽自動車などに追突して軽自動車の男性を死亡させ、トラックの運転手にもケガをさせたとみられる。

こちらが危険運転致死傷罪の疑いだ。

病気による事故を防ぐ質問票

運転免許取得・更新の質問票(神奈川県警HP)

運転免許の質問票は、2014年の道路交通法の改正により提出が義務付けられた。取得や更新の手続きをする全員が対象だ。

”一定の病気”にかかっているかを把握して免許の拒否や取り消しなどの行政処分を行い、”一定の病気”による交通事故を防止することが目的だ。

”一定の病気”とは、統合失調症・てんかん・再発性の失神・無自覚性の低血糖症・そううつ病・重度の眠気の症状を呈する睡眠障害・認知症などだ。

質問は5つで、前述の「過去5年以内に病気を原因として、意識を失ったことがあるか」のほか、「過去5年以内に病気を原因として、身体の全部または一部が、一時的に思い通りに動かせなくなったことがあるか」「過去5年以内に、十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず、日中 活動している最中に眠り込んでしまった回数が週3回以上あるか」などが含まれている。

運転免許取得・更新の質問票(静岡県警HP)

虚偽の回答をした場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金だ。

仮に質問票に「はい」と答えても、直ちに免許の取り消し等になるわけではない。運転免許の可否は医師の診断を参考に判断される。

嘘が人命を奪ったか…

3台玉突き事故の現場

警察は男の認否を明らかにしていない。

「運転免許を更新したい」という思いから”嘘”をついたとしたら、その代償はあまりにも大きい。危険運転致死傷罪の罰則は、人を負傷させた者は15年以下の懲役、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役だ。自分の人生を大きく変えてしまうことになるかもしれない。

そして、なにより何の落ち度もない人の命を奪ってしまった。

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