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静岡駅の「東照宮」と書かれた塔 正体を調べると100年も前のものでした

JR静岡駅を利用する人なら見たことがあるのではないでしょうか。南口に「東照宮」と書かれた大きな塔があります。ただ何のための塔なのか知っている人はあまりいないのでは? 正体を調べてみました。

家康公のお言葉が!

今回調査するのは、JR静岡駅南口を出てすぐ右手に建つ石碑。「東照宮」と書かれています。

にむらあつとリポーター

待ち合わせの目印に使う方も多いと思いますが、これが一体何なのか、みなさん知っていますか。 まずは駅前にいる人たちに聞いてみました。

「ここに石碑があることさえ、いま知った」「気にしたことがなかった」「東照宮と書いてあるから、東照宮の記念碑?」

市民は知らない?

正体を知っている人には出会えませんでした。

手がかりを求め、石碑をじっくり眺めてみると、久能山東照宮の社の絵があります。

久能山東照宮の絵が

さらに葵の御紋や文字がたくさん入った銘板も。

「人の一生は重荷を負いて遠き道を行くが如し(中略)慶長八年正月十五日家康(花押)」

有名な徳川家康の言葉です。

やはり家康公をまつる東照宮の、歴史的な建造物なのでしょうか。

全然読めない漢字も

どうやら石碑は、徳川家康や久能山東照宮に関係があるようです。

さらに気になったのは、久能山東照宮と書かれている横にある7文字の漢字です。

にむらあつとリポーター:
漢字が全然読めない!「じゅうぜ、なんとか、さと、ひろう、つぼ、まち?」石碑をつくった町の名前でしょうか

久能山東照宮が関わっていることは間違いない、ということで、静岡駅から車で約20分の久能山東照宮へ向かうことにしました。

久能山東照宮でサクッと解明

久能山東照宮の権禰宜(ごんねぎ)・海野貴嗣さんに教えてもらいました。

にむらリポーター:
静岡駅の前にある石碑について情報がないかと伺いました

久能山東照宮・海野貴嗣さん:
あれは東照宮“リテイヒョウ”というものになります。いまで言う道路標識のようなものです

久能山東照宮・海野貴嗣さん

リテイヒョウ? 耳慣れない言葉ですが漢字で書くと「里程標」。静岡駅から久能山東照宮までの距離を示した塔なんだそうです。

現代でいう観光地の「○○まであと○km」という表示、あのイメージです。

全く読めなかった漢字7字は「これより、二里十一町」と書かれており、現在の単位で表すと約9km。つまり「久能山東照宮までここから約9km」ということでした。

市民の願いで建てられた

しかしなぜ 静岡駅前に東照宮までの距離を示す里程標塔が建てられているのでしょうか。

塔は大正4年(1915年)の4月、久能山東照宮の300年祭にあたってつくられたそうです。

久能山東照宮・海野貴嗣さん:
当時家康公の遺徳(故人が残した徳)をしのんでたくさんの記念事業が行われました。その中でも特に市民の方からの要望が多かったのが、里程標塔の建築だと言われています。久能山東照宮が静岡にあることを広くアピールできるので望まれたのではないかと思います

海野さんによると、里程標は久能山東照宮が静岡市にあることを、 静岡市に来た人にアピールするため、建てられたのではないかとのこと。

側面にあった言葉は、家康公本人がいろいろな経験をする中で、後の人々のために残してくれたありがたい人生訓のようなものと伝えられています。「御遺訓」と言われる家康公の人生がつまった言葉でした。

撤去の危機もあった

実はこの里程標塔、これまでに度々撤去の話がありました。

しかし市民の強い要望により、場所を移転することで何度も撤去を免れてきたそうです。

昭和5年には駅の北西にありましたが、昭和9年に線路沿いに、そして昭和54年に現在の場所に写されました。

にむらリポーター:
今後は待ち合わせの時に静岡の方は「駅南の“東照宮里程標塔”前ね!」と言っていただきたい

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建設から100年以上経った今も、静岡駅前のシンボルとして 大切に残されている塔でした。

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