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12月2日深夜、気象庁は津波注意報を発表し、静岡県内では10cmの津波が、東京都八丈島では最大40cmの津波が観測されました。果たして数十cmの津波の危険性とは。どう行動すべきか、情報を整理してみましょう。
避難する? どうする?
ママ防災アドバイザー・ふじのくに防災士 髙良綾乃:
2023年だけを見ても津波注意報は10月に2度、そして今回と合計3回発表されています。
<2023年に発表された津波注意報>
●10月5日 鳥島近海の地震(M6.5)により伊豆諸島を中心に発表(約2時間後にすべて解除)
●10月9日 鳥島近海の地震(M速報値で不明)により伊豆諸島、九州各地、房総半島に発表(約6時間後にすべて解除)
●12月2日 フィリピン付近の地震(M7.7)により太平洋沿岸の広い地域に発表(約9時間後にすべて解除)
「警報」ではなく「注意報」だと、危険なような大丈夫なような、あやふやなイメージではありませんか。注意報をどうとらえたらよいのでしょうか。
20cm以上で「津波注意報」
気象庁の発表には津波注意報、津波警報、大津波警報があります。
予想される津波の高さが20cm以上1m以下の場合は津波注意報です。
20cm未満の場合は、津波という言葉を使わずに「海面変動」などと表現します。
では20cm以上1m以下の津波とは、一体どれくらいのものなのでしょうか。
海水浴客 釣り人 即避難!
気象庁は次のように示しています。
「海の中では人は速い流れに巻き込まれ、また、養殖いかだが流失し小型船舶が転覆します。海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れてください。」(気象庁HPより)
成人でも、膝よりも高い流れる水の中を歩くのは大変です。転倒したり、流れてきた漂流物にぶつかってケガをする恐れもあります。
風で海面付近に発生する波と違い、津波は「水の塊」です。海底から海水全体が塊となって押し寄せるのです。そのエネルギーは膨大で、50cmで人命の危険、1mでは木造家屋を部分破壊させるとされています。
結論、津波注意報が発表されたらどうすべきか? 津波を見てから逃げても間に合いません。海水浴中の人、海岸付近にいる人の避難はもちろん、海沿いに住んでいる人は念のため安全な2階以上に移動しておくなど、警戒をしてください。
津波の心得5カ条
最後に、防災アドバイザーの髙良綾乃が呼びかけている津波の心得5カ条を紹介します。
その1)レジャーのときも、天候や地震の情報をキャッチできるように備えましょう。
海にでかける際には、スマートフォンやラジオなどで津波情報をキャッチできるようにしておきましょう。また、津波を知らせるサイレンや津波フラッグにも注意しましょう。
ただし、地震を感じた場合は、誰かの指示を待たずに自分の判断ですみやかに避難しましょう。
その2)ライフジャケットを着用しましょう。
波に巻き込まれてもライフジャケットがあれば、浮かんで救助を待つことができるかもしれません。マリンレジャーの最低限の装備として、常にライフジャケットは着用しましょう。
でも、そうならないようにすみやかに避難することがもちろん肝心です。
その3)引き潮を待たずに避難を開始しましょう。
よく「津波の前には引き潮になる」といった話を耳にしますが、必ずしもそうではありません。2003年十勝沖地震のときも、2004年スマトラ沖地震のときも、潮が引くことなく突然大きな津波が押し寄せています。
「潮が引かないから津波は来ない」と間違った判断をしないようにしてください。
その4)津波が来た後も海岸付近には戻らないようにしましょう。
津波は何度もくりかえし押し寄せます。また第一波が最も大きいとは限りません。津波注意報や津波警報が解除になるまでは、決して海岸付近に戻らないようにしましょう。
その5)「空振り」という概念を捨てましょう。
「避難しても何事もなかったら空振り(損をする)」という発想はやめましょう。何事もなければ、それはそれでよかったことですし、そう思えるのも命があるからです。子供は大人の行動に影響を受けます。あなたが避難の大切さを、行動をもって教えてあげてください。
文/髙良綾乃
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