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静岡市と甲府市とをつなぐ、しずてつジャストラインの高速バス。普段はマイカー派の筆者ですが、使ってみるとバスならではのメリットが見つかりました。秋の行楽シーズンに役立つこと間違いなし! バス旅を徹底リポートします。
バス・鉄道・マイカーを比較
まず3つの交通手段、バス・鉄道・マイカーを値段や所要時間などで比較してみました。
◆値段・所要時間のバランスがいい「バス」
しずてつエクスプレスの静岡甲府線はJR静岡駅から出発します。片道2600円ですが、往復だと割引され4680円となり、520円もお得です。土日祝日のみの運行で、静岡発・甲府発が1日各2便(山梨交通との共同運行)。所要時間は約2時間です。
◆本数多く利便性が高い「鉄道」
鉄道の場合は特急「ふじかわ」を利用すると片道4000円以上かかります。所要時間は約2時間15分と、意外にもバスと差がありません。ただし、毎日複数本あるので、利便性は鉄道の方が高いと言えそうです。
◆時間でみると強い「マイカー」
マイカーの場合は新東名・新静岡ICから高速に入り、中央道双葉スマートICで降りると片道1870円。ガソリン代は含んでいませんが、バスより安くなります。運転しなければならない負担はありますが、所要時間は1時間40分程度と最も早く到着できます。
それぞれ長所と短所がある中、普段はマイカーで行くことがほとんどですが、今回はあえてバス旅を体験してみることにしました。
旅先で使った便利な交通手段とあわせてご紹介します。
指定席なので焦らなくて大丈夫
予約はインターネットか電話、窓口からできます。今回はインターネットで予約しましたが、支払いや座席指定も1度にできて、10分程度で完了です。
朝と夕方の便がありますが、午前8時発の便に乗ることにしました。乗車する静岡駅17番バス停は松坂屋静岡店側にあるので注意してください。
バスが来たのは出発の5分ほど前です。座席指定もしてあるので、焦って早く来る必要はなかったようです。
インターネットで予約をした人は、ここでモバイルチケットをスマートフォンに表示させておきましょう。乗車時に運転手に見せて、予約した席に座ります。
座席の快適性をチェック!
座席は左右に2席ずつ。シートが厚めで振動が伝わりにくい長距離向きです。頭上にも荷物を置くスペースがあるので、座席は広々使えます。
リクライニングを少し倒して着席。運転手からアナウンスがありますが、高速道路を走るためシートベルトは着用しましょう。
乗車したらすぐに出発となりました。なお高速に入る前に、新静岡、三松、沓谷にも停車します。
途中から乗って来る人も多くいました。
席の横にはUSB充電ポート。足下にはフットレスト。車両前方には案内モニターがあって、いまどこを走っているか常にわかります。
空調はちょっと寒めでした。寒がりな人は1枚羽織れるものを準備した方がいいでしょう。
しずてつエクスプレスには4列シートと3列シートがある
甲府線にはありませんが、静岡から関西へつながる高速バス「しずてつエクスプレス」の中には、3列の独立シートの車両もがあります。
3列シートの特徴
3列の独立シートは隣席と通路を挟んでカーテンが設けられているため、プライベート性が高いことが特徴です。さらに、リクライニングシートになっているため、ゆっくりと眠りながら移動したい方におすすめです。3列シートは一部の夜行便で採用されています。
4列シートの特徴
4列シートも、「ゆったり幅広4列シート」という幅が広いシートを多くの車両で採用しているという特徴があります。通常のバスより前後がゆったりとしているため、車中はゆっくりとリラックスして過ごせるでしょう。
ゆったり4列シートが採用されている路線は以下の通りです。(2024年2月現在)
- 渋谷・新宿ー静岡(静岡新宿線)
- 東京駅ー清水(東京清水線/しみずライナー)
- 横浜・羽田空港ー静岡(静岡横浜線 羽田空港線)
- 渋谷ー相良・藤枝(相良渋谷線/渋谷ライナー)
- 甲府ー静岡(静岡甲府線)
- 藤枝・焼津・静岡-東京ディズニーリゾート(東京ディズニーリゾート線)
※車両により一部の仕様及び車内設備が異なる場合があります。
マイカーではできないこと2つ
これまで何度も中部横断道をマイカーで運転してきましたが、できなかったことは「外の景色をじっくり見ること」です。
東には富士山が、西には雪をかぶった南アルプスの山々まで見えました。山好きにはたまらない眺めです。
そして最大のメリットは「昼寝」ができること。移動中は眠ってしまってもいいぐらい、遊び尽くせるということでもあり、マイカーでは味わえない“ゆとり”でした。
脈から運転手の眠気を感知
高速バスは事故が怖いという人がいるかもしれません。確かに事故のリスクがゼロになることはありませんが、「安全への取り組み」という説明書きが各座席にありました。
衝突回避の自動ブレーキシステムのほか、ドライバーの顔をカメラでモニターして、注意不足を検知したり、運転手の脈から眠気を検知するシステムまで導入されていました。
運転手の耳元に付いている「イヤークリップ」。これが脈を検知して、眠気を察知できるシステムだということです。
「降車ボタン」を押すんです
バスは中部横断道の身延山ICで一般道へ。身延で乗り降りすることもできます。バス停はJR身延線の駅のすぐ近くでした。
バス停が近づいて来ると、路線バスのような「降車ボタンを押してください」という自動アナウンスが流れます。
よく見ると天井にボタンがありました。
身延からは1人乗客が乗り込みました。紅葉の秋、身延山観光や周辺の温泉へのアクセスに使えそうなバス停です。
静岡駅から身延までは片道1800円、往復で3240円です。
バスは下部温泉早川ICから再び中部横断道に入り直し、白根ICまで走ります。なお、途中下車して休憩するポイントはありませんが、車内にトイレがあります。
高速道路を降りた後、甲府駅までは3カ所のバス停に停車をします。安全運転なので仕方がないことですが、到着予定より10分程度遅れていました。乗り継ぎや到着後の予定は、時間に余裕を持って立てておきましょう。
こうして約2時間かけて甲府駅南口についたのは、午前10時10分頃でした。日帰りでも午後4時55分まで約7時間たっぷり遊べます。
到着後の移動手段に電動アシスト付き自転車
マイカーがない旅は、駐車場を探す煩わしさからは解放されますが、移動手段はよく考えておかなければ大切な時間を無駄にしてしまいます。
今回は、小回りがきくレンタルサイクルを使ってみることにしました。
甲府ホテル旅館協同組合が提供する「レンタサイクル甲府」は、駅周辺の4つの宿泊施設で電動アシスト付き自転車を借りることができます。
値段は1日1000円。利用時間は午前9時から午後6時(11月~3月は午後5時まで)です。借りる際には身分証明書が必要です。
武田信玄ゆかりの「武田神社」へ
甲府駅から北に約2km。緩やかな上り坂が長く続きますが、電動アシストのおかげで軽々こぐことができます。武田神社前の信玄ミュージアムに駐輪場があります。
武田神社は信玄公が暮らした「躑躅が崎館(つつじがさきやかた)」の跡地にあり、信玄公を御祭神としてまつっています。
信玄ミュージアムは無料ゾーンと、一般300円の有料ゾーンからなる資料館です。
武田家の歴史がよくわかるパネルの他、有料の特別展示室では映像で信玄がくらした館の様子を学べ、館の跡地から出土した武田軍の馬の骨格標本(複製)の展示が目を引きました。
■施設名 武田神社
■住所 山梨県甲府市古府中町2611
■施設名 信玄ミュージアム
■住所 山梨県甲府市大手3丁目1−14
■時間 9:00~17:00
■休館 火 12月29~31日
甲府のそば店には「鳥もつ煮」がある
甲府駅にレンタサイクルで戻り、駅周辺にたくさんある駐輪場に駐車。甲府名物の「甲府鳥もつ煮」を試してみることにしました。
甲府の鳥もつ煮は“そば店”で提供されています。“元祖”を名乗る奥藤本店へ。
レバーやハツ、砂肝が使われているので食感に変化があり、甘じょっぱいタレはご飯がすすみます。
そばとのセットメニューがあり、こしがあるツルンとしたのど越しでした。
この他、甲府城は駅のすぐ横にあります。築城当時の石垣を眺めたり、復元された櫓や門には無料の資料館も併設されていました。
■店名 奥藤本店 甲府駅前店
■住所 山梨県甲府市丸の内1丁目7−4
甲府市内はあまり移動の必要もなく観光ができました。マイカーがなくても不便を感じずに一日楽しむことができるので、バス旅には良い旅行先と言えるかもしれません。
しずてつエクスプレスが走っている路線を紹介
しずてつエクスプレスは以下の路線を運行しています。
路線 | 価格(片道)※最安値 |
静岡〜渋谷・新宿 | 2600円 |
清水〜東京駅 | 2100円 |
静岡~羽田空港 | 3200円 |
静岡~横浜 | 2800円 |
相良・藤枝〜渋谷 | 相良3560円 藤枝3160円 |
東京ディズニーリゾート | 静岡2500円 ※シーズン変動(S・A・B・C運賃)あり |
静岡~甲府 | 2340円 ※往復券購入時の片道分 |
静岡~京都・大阪 | 京都3770円 大阪3970円 ※シーズン変動(S・A・B・C運賃)あり |
静岡~成田空港 | 運休中 |
小児は普通運賃の半額で乗車できます。(東京ディズニーリゾート、静岡~京都・大阪はA運賃の半額)
しずてつエクスプレスに共通の設備
しずてつエクスプレスにはさまざまな設備が搭載されており、運行時も快適に過ごせます。しずてつエクスプレスに搭載されている共通の設備は以下の通りです。
- 車内トイレ
- USB充電端子
- フットとレッグレスト
- フリーWi-Fiスポット
- 空気清浄機
それぞれの設備について詳しく解説します。
1.トイレ・パウダールーム
しずてつエクスプレスには、全ての車両に車内トイレが設置されています。一部車両にはパウダールームが設置されており、パウダールーム付きトイレはゆったりと使えます。
2.USB充電端子
しずてつエクスプレスにはUSB充電端子も設置されているため、移動中に携帯やPCの充電切れを心配する必要がありません。USB充電端子は、「窓側の乗客用には側面の壁」「通路側の乗客用にはアームレストの下」にそれぞれUSBの差し込み口が設備されています。
3.フット・レッグレスト
フット・レッグレストも共通して設置されています。4列シートでも設置されているため、快適な移動が可能です。
フット・レッグレストを引き出すと、リラックスできる体勢になれます。特に、フットレストは布張りであるため、靴を脱いでくつろげることも特徴です。
リクライニングシートがあるバスでは、リクライニングシートとあわせるとより快適にくつろげます。
4.フリーWi-Fiスポット
しずてつエクスプレスは、すべてのバスは無料でWi-Fiを利用できます。簡単にWi-Fiスポットと接続でき、自分でポケットWi-Fiを持ち運ぶ手間が省けます。通信容量制限が気になる人も、フリーWi-Fiスポットを利用すれば通信料を気にせずにインターネットが利用可能です。
ただし、通信量には限りがあるため、接続人数が多い場合は通信速度が低下する可能性があるそうです。
5.空気清浄機
快適に過ごせる設備として、空気清浄機も設置されています。
近年は新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、空気清浄機の搭載されたバスが増えてきました。しずてつエクスプレスでも空気清浄機の搭載をすすめていて、搭載されているバスでは常に快適な空間が保たれているそうです。
しずてつ高速バスに関するよくある質問
しずてつエクスプレスを利用したいと調べていると、疑問点が生じることもあります。そこでここからは、しずてつエクスプレスに関するよくある質問をご紹介しながら、その質問に回答します。(2024年3月現在)
【もっと詳しく】「よくある質問」(しずてつエクスプレス公式サイト)
事前予約は必要でしょうか? 予約はいつからできますか?
しずてつエクスプレスは静岡成田空港線を除き全席指定です。予約席以外で空席があれば乗れますが、満席の場合は乗れません。
静岡新宿線・東京清水線は乗車日の1カ月と1日前の午前10時から予約可能です。
また、静岡大阪線、相良渋谷線、静岡甲府線、静岡成田空港線・静岡羽田空港線は乗車日の1カ月前の午前7時半から予約できます。静岡甲府線は1カ月前の午前9時からです。
トランクルームに預ける荷物の大きさに制限はありますか?
車内(トランクルーム含む)への手荷物の持ち込みは次の範囲まで可能です。これらを超える手荷物の持ち込みは、断られてしまう場合があります。大きな手荷物は事前に宅配便等をご利用ください。
【預けられるキャリ―ケースの大きさ】
・長さが100cm以内
・重さが10kg以内
・容積が0.027㎥以内
スーツケース等の大きな手荷物(上記の範囲内)は、1人一個程度、トランクルームに入れることができますが、貴重品・高額品・壊れやすい物は、トランクルームへ預けることはできません。車内に持ち込んで手元で管理しましょう。
学割はありますか?
学割の適用の可否は路線に応じて異なります。なお、学割を適用したい場合は、窓口での乗車券購入時とバス乗車時にそれぞれ学生証(生徒手帳)を提示します。学生証や生徒手帳をコピーしたものは認められません。
バス乗車時に学生証(生徒手帳)がない場合、大人普通運賃の差額を支払わなければならなくなるため、乗車時は忘れずに持参しましょう。
乗車券を紛失したときはどのようにするか
購入した窓口、または乗務員に紛失した旨を伝えましょう。この際、再度乗車券を購入しなければなりませんが、「再収受証明書」を受け取ることができます。バスの乗車日より1年以内に、紛失した乗車券と一緒に「再収受証明書」を運行会社の窓口に持って行くと、「再収受証明書」に記載された金額を払戻してもらえるのです。なお、払い戻しの際には所定の手数料がかかります。
予約のキャンセルや変更は可能ですか
予約の変更は同一路線のみ可能で、一度目の変更であれば手数料はかかりません。ただし、割引乗車券など一部の乗車券は予約の変更が認められないため、窓口またはインターネット(高速バスネット・発車オーライネット)にて確認しましょう。
詳しくは以下、公式サイトをご参照下さい。
【詳しくみる】変更払い戻しについて(しずてつエクスプレス公式サイト)
まとめ
しずてつエクスプレスには、さまざまな設備が搭載されていて長時間の移動でも快適に過ごせます。また、全席指定席のため、バス停で並んで待つ必要もありません。
座席の快適性も抜群で、静岡から高速バスを利用する場合は、しずてつエクスプレスはおすすめです。
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