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JR東海が建設を進めるリニア中央新幹線。静岡工区ではいまだ着工に至っていないが、神奈川県ではリニアが発着する駅の建設工事が2026年の完成を目指して進められている。都市化されたエリアで行われている工事の様子を紹介する。
◆リニア神奈川県駅は橋本駅前に
神奈川県北部にある相模原市。人口 約70万人。横浜市、川崎市に次ぐ県内3つ目の政令指定都市だ。神奈川県ではリニア中央新幹線の建設工事が39.4kmにわたって行なわれていて、その約6割が相模原市を通っている。
その相模原市で2019年11月、リニアが発着する神奈川県駅の工事も始まった。品川駅まで10分、名古屋駅まで60分で結ぶ駅となる。
鈴木櫻子 記者:
JR橋本駅前に来ています。飲食店が立ち並び人通りも多いこの場所の目の前で、いまリニアの駅工事が進められています。
橋本駅には、JR横浜線と相模線、そして京王相模原線が乗り入れ、すぐ南側には県立相原高校の跡地があり、都市化の進んだエリアでもあることからリニアの駅の建設地に選ばれた。
建設しているのは全長 約680m、最大幅 約50m、深さ30mの東西にのびる巨大な地下駅だ。
取材した日に行なわれていたのは地下での掘削作業。この地域は地上から17mまでが火山灰が積もってできた関東ローム層、その下は砂礫層となっている。固く安定した地盤で、土を抑える壁や鋼材を設置しながら段階的に掘り進められている。約3年半、毎日ダンプカー400台分の土を掘削した結果、現在は駅の最底部となる地下30mに到達。
鈴木櫻子 記者:
掘削現場の内部にやってきました。地下30mのこのスペースに2つのホームと4つの線路がある駅が完成するということです。
駅の底の部分まで降りてみると、その深さは一目瞭然。今後この場所にビルを建てるように駅が作られ、地下2階に改札口、地下3階には駅のホームやリニアが走る「ガイドウェイ」が設置される予定となっている。
商業施設や住宅、人通りが多いエリアでの工事ということで、課題となるのが掘削で出た大量の土の運搬と置き場だが、現在は敷地内に仮置きされていて、今後は地下駅の埋め戻しに使われることになっている。埋め戻しに使うことで、土を外部に搬出にするダンプを減らすことができるという。
◆さがみはらリニアひろば
そして、この場所を利用したこんな取り組みも。
JR東海 中央新幹線推進本部
吉川太郎 担当課長:
こちらは工事の状況を地域の方に気軽に見ていただけるということで「さがみはらリニアひろば」というところです。
JR東海は「工事の様子を見たい」という地元住民の要望を受け展望台を整備し、毎週金曜日と工事を実施する土曜日に一般向けに開放している。6月17日にオープンし、約1カ月で地域住民など約4000人が見学に訪れた。
見学に来た住民:
新しいことが始まるにはエネルギーがすごいんだなと思って、最先端の工程を見たいなと思って見学に来た。
見学に来た住民:
自分の子供が30年くらい前に通ってた高校の跡地がこういう形になったんだなと思ってびっくり。
見学に来た子供:
土をいっぱい掘ってるところがすごい。リニアに乗ってみたい。
見学に来た住民
すごく誇らしいですし、橋本の未来がとっても輝いて見える。
他にも神奈川県駅の建設現場では、地域との連携を図るイベントが行われている。
工事ヤードの白い囲いには、地元の美大生たちがリニアをテーマに描いた壁画が掲示されているほか、2022年10月には、掘削現場の法面を使って工事について映像で説明する市民向けのプロジェクションマッピングも開催された。
JR東海 中央新幹線推進本部
吉川太郎 担当課長:
これだけ広い範囲で長い期間工事しますので、地域の方の理解が得られないと工事は進められないので、このような形でできる限り情報の発信をして、地域と連携していくというところを大切にしてます。
神奈川県駅は3年後に完成する予定だが、その一方で、静岡工区はいまだ着工できておらず2027年の開業は見通せていない。早期開業に向け、静岡県とJR東海は歩幅を合わせていくことができるだろうか。