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浜名湖のほとりの静岡県湖西市で、建設会社がカフェをオープンさせ、バナナの栽培を始めた。多角経営の目的のひとつは、引きこもりがちな若者の居場所づくりだ。「面倒見がよい」と、従業員からも慕われる社長の思いを取材した。
◆学校になじめない子のために
湖西市にオープンした「r cafe(アールカフェ)」。
手作りのバナナジェラートやスムージーを、浜名湖を眺めながら楽しむことができる。
このおしゃれなカフェを始めたのは、隣接する浜松市で型枠工事を手がける「篠原建設」だ。
篠原建設・榊原夏雄 社長:
湖西市利木は、なかなか遊ぶような場所がない。だけど景観がものすごくいいところなので、地域振興や活性化ができればという思いで、プロジェクトとしてやり始めました
そして、カフェを始めたもう1つの理由が、学校や社会になじめない若者たちのために居場所を作ることだった。
篠原建設・榊原夏雄 社長:
本業(建設業)で、学校になじめない子や、学校に行かない子たちを預かる事業をやっていた。中学卒業してすぐの子供の親から連絡があって、「うちの息子を就職させてくれないか」と言われたところからスタートした
◆「社長と話すだけで元気がもらえる」
引きこもりがちな若者たちを受け入れることで、働く楽しさを知ってもらい、社会に出るきっかけを与えてきた榊原さん。
中学を卒業して以来、榊原さんの下で10年以上働いている従業員も感謝していた。
篠原建設・山下竜一さん:
やめたくなったり、心が折れそうな時に、社長と話したり相談するだけで元気がもらえる。面倒見はいいと思う、特に若い未来のある人に対しての面倒見はいいと思う
ただ、最近は力仕事が多い建設業に抵抗がある若者も少なくないため、親しみやすい居場所を作ろうと思いついたのがカフェと農業だった。
◆力仕事が苦手な人にも配慮
いまカフェで提供するバナナの栽培も始めている。
榊原さん:
ここがバナナを育てているビニールハウスです
2022年9月、耕作放棄地となっていた土地で始めたバナナの栽培。従業員とともに、イチから勉強し、手探りで進めている。
榊原さん:
それは何株切る?
従業員:
結構生えてくるので…
榊原さん;
全部切っちゃう?
従業員:
全部ではないです
バナナの栽培に必要な暖房設備の燃料には、建築現場で出た廃材を利用している。
◆「いろいろな方が集まるコミュニティになれば」
榊原さん自身も新たな取り組みを楽しみながら、若者の新しい居場所として手ごたえを感じていた。
篠原建設・榊原夏雄社長:
力仕事がメインではないので、体力的なハードルは下がるかなと思っています。バナナは老若男女を問わずテンションを上げる作物なので、子供たちに手伝ってもらいながら、成果として、収穫物を得るのは楽しみになる
2023年の夏以降に収穫予定のバナナは、ジェラートなどとして提供する予定で、このカフェが 地域の若者たちが集う場所になってほしいと期待している。
篠原建設・榊原夏雄社長:
子供たちはもちろん、障がいのある方など、いろいろな方が集えるコミュニティになればいいなと思っています
建設会社が始めたカフェとバナナ栽培。榊原さんの思いが実る日も近づいている。