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固有名詞がとっさに出てこない「アレアレ症候群」。認知症の前段階とも言われるこの状態から脱出するために、医師の鎌田實さんが実践的な対処方法を紹介しました。

テレビ静岡で2026年2月1日に放送されたテレビ寺子屋では、医師で作家の鎌田實さんが、認知機能の低下を防ぎ、いつまでも元気に過ごすための具体的な方法について語りました。
「アレアレ症候群」は認知症の前段階
医師 作家・鎌田實さん:
列車に乗っていた時のことです。僕の前に老夫婦が座っていて、こんな会話が聞こえてきました。
「かあさん、“アレ”どうなったかな? “アレ”、なんとかしとかないとな」
「おとうさん大丈夫よ、“アレ”は私がなんとかしておいたから心配しないで」

一度も固有名詞が出てこないんですね。でも、お互いの中で“アレ”が何かはわかっているので、認知症ではありません。
こういった固有名詞がちょっと出てこなくなった状況を、僕は「アレアレ症候群」と名付けました。
「アレアレ症候群」はSCD(主観的認知機能低下)と言って、認知症が発症するかなり前の段階です。ここから少し症状が進行するとMCI(軽度認知障害)という認知症の前段階になります。

この段階だとまだ半分くらいは認知症にならずに戻れますが、このMCIから認知症へ進んでいくという流れがあるのです。
「老化の3つの曲がり角」をうまく曲がる
ピンピン元気に過ごして、自分の人生を楽しく豊かなものにするには、認知症やフレイル(加齢による心身の衰え)、脳卒中にならないよう事前に手を打っていくことが大事。これが僕の理論です。その方法を皆さんにお示ししたいと思います。
まず、人には「老化の3つの曲がり角」があると言われていて、まず44歳くらいから皮膚の老化が始まり、筋肉やアルコール代謝が低下します。
60代になると脳を含めた細胞の老化が始まり、70代には、筋力が低下して、腰が曲がったり、歩く速度が落ちたりする。

これは私の理論ですが、「70歳でも早歩きができる」というように、「老化の3つの曲がり角」をうまく曲がった人は、80歳になっても90歳になっても元気で、アレアレ症候群にもならずにいられると感じます。
無気力・無関心・無感動を防ぐ
食事や運動はもちろん大切ですが、認知症になる大きな原因として「アパシー」があります。「アパシー」とは、無気力・無関心・無感動になってしまうことです。
そうならないためには、社会の変化や自分より若い世代にも関心を持つ。そして心に栄養を与えることが大切です。
たまには映画を見たり、美術館へ行ったり、図書館へ行って本を読む。字を読むのが大変であれば、大人のための絵本もいっぱいあります。俳句や写真、カラオケなどの趣味を持つことも良いですね。

高い目標は不要! 早口言葉で笑おう
また、認知機能と密接に関係していると言われている「口腔フレイル」にならないために、「早口言葉」や「逆さま言葉」の音読がおすすめです。例えば、「よぼよぼ病 予防病院 予防病室 よぼよぼ病予防法」。これを早口で言うと途中でつっかえてしまうと思いますが、それでいいんです。間違えて笑うことで脳が活性化するとも言われています。
そして最後は、「社会的フレイル」の予防。外に出掛けて、人や社会とのつながりを持つこと。これが「アレアレ症候群」にならないために、とても重要です。

こういった対策は、面白がってやることで脳が喜んで習慣化できますから、あまり高い目標を立てず、達成した時には自分をたくさん褒めてあげることです。
脳がいつまでも元気でいられるよう、若いうちからコツコツと行動して「アレアレ症候群」から脱出しましょう。

鎌田實:1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。諏訪中央病院名誉院長。地域医療に携わる傍ら、イラクや東日本の被災地支援にも取り組む。「がんばらない」「大・大往生」など著書多数。
※この記事は2026年2月1日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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