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マジックはマジックでも「驚かせないマジックショー」をしているのが、マギー司郎さんの弟子、マギー塁(るい)さん。“驚かせない”のにオファー急増中だという塁さんのマジックの秘密を探りに、静岡・島田市に行ってきました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ島田の山間部でマジックショー
島田市の北部、自然に囲まれた「島田市川根地区センターちゃくら」で 、うわさのショーが行われているということで調査に向かいました。

扉を開けると、会議室には長机にイス。座っている観客はシニアの女性が多いようです。
その視線の先にいるのは、黄色いジャケットを身にまとい赤いちょうネクタイを付けた男性マジシャン。この方がマギー司郎さんの弟子、マギー塁さんです。

マギー塁さんが開いているのは「驚かせないマジックショー」だと言うのですが、驚かないマジックに意味があるのでしょうか。
塁さんのマジックを観客と一緒に見せてもらいました。
トランプの絵柄が変わる⁉
塁さんが取り出したのは大きなトランプ。スペードのキングのカードです。
「こちらに大きいトランプがあります。裏はこんな感じです」とゆっくりとした説明が続きます。

一度裏返しにし、ゆっくりと表にすると、ハートのクイーンになっています。
塁さんのマジックは、終始のんびりペースで進みます。
「すごい、ですかね?」と遠慮がちに塁さん。観客は温かくうんうんとうなずくのですが、正直それほど“驚き”はしません。

と思ったら、「こういうのはひっくり返せば、できますからね。これだけです」とすぐに種明かし。絵柄の部分が動く仕掛けを見せてしまいます。
これには観客席から笑いが起こりました。

つながるハンカチ
続いて、取り出したのは赤・青・緑の3枚のハンカチ。透明な筒に、3色のハンカチを入れました。
マギー塁さん:
今から大体1時間くらい経つとですね、ハンカチがつながるといったマジックをお見せします

終始ゆっくりペースのマジックの進行が、会場の笑いを誘ったところで、ハンカチを引っ張ると、別々だったハンカチがつながっていました。
1時間待たされなくてよかったと、観客の拍手も1.5倍です。

「島田茶」マジック
さらに、地元の特産品「島田茶」を使ったマジックです。まずは透明のコップに島田茶を注ぎます。

そして、島田オリジナルの柄の入った青い筒を取り出しました。
この筒を島田茶が入ったコップにかぶせて隠してしまいます。

マギー塁さん:
筒を3回まわしますよ!
塁さんが力強く言うので、コップが消えてしまうのか、ワインに変わるのか、はたまたハトが出てくるか期待が高まります。
ところが筒を外しても、さっきのお茶が現れただけ。
マギー塁さん:
「島田茶」が一瞬にして「川根茶」に変わったの、分かりますかね
そう言うと、お茶をゴクリ。「川根茶です。おいしいですね」と、また笑いをとっていました。

コンセプトは“驚かせない”
その後もユーモアを交えたマジックで、ゆったりとした雰囲気を保ちつつも、会場を盛り上げていく塁さん。一体、どんな人物なのでしょうか。話を聞いてみました。
マギー塁さん:
マギー塁と申します。マギー司郎の弟子でございます

静岡市出身のマギー塁さんは20年前にマギー一門に弟子入りし、マジシャンとしてのキャリアをスタート。
現在は、県内に活動拠点を置き、マギー一門の系統を継ぐマジックを披露し、活躍しています。

そんな塁さんのマジックの一番のコンセプトは“驚かせない”こと。その理由は?
マギー塁さん:
認知症の方と接する時に、“驚かせない”ことが大事なんです。急に話しかけたりとか、大きな音をだしたりすると、認知症の方が怖がってパニックになってしまいます
普段は介護施設で働く塁さん。マジシャンの経歴を生かしたケアができないかと始めたのが 「驚かせないマジックショー」でした。

マギー塁さん:
師匠が大事にしているのが、「人を傷つけない笑い」です。「優しいマジック」「ほっとするマジック」をキーワードにしているので、その思いとかみ合ったマジックショーではないかと思います
マジックで認知症を予防
活動をスタートさせ1年ほど。高齢者施設を中心にオファーが増え、現在では認知症の方だけでなく、老若男女さまざまな人が集まる場所でマジックを披露する機会が増えています。

マギー塁さん:
「驚かせないマジックショー」から派生して、マジックショーで認知症予防の啓発活動も行っています。きょうは実際にマジックに触れてもらいました
トランプなどのマジックで、指先をなるべくたくさん動かしてもらい、脳の活性化につなげます。

兄弟弟子・マギー審司さんのネタ「でっかくなっちゃった!」でおなじみのデカ耳にも挑戦。
耳を見せ合って遊んでいる参加者の姿は本当に楽しそうです。

この日の参加者に感想を聞くと「年齢に合ったマジック。手も使い脳も動いた」「雰囲気が楽しいので脳の活性化にいい」とすっかり心をつかまれたようでした。

老若男女が楽しめる“驚かせない”マジック。「地域の人たちが喜んでくれるマジックをこれからもやっていきたい」と穏やかな声で話すマギー塁さんでした。
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