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静岡・藤枝市で幻の漬物と言われる「ほととぎす漬」を調査します。調べてみると、知っている人が少なく最初は苦戦しましたが、最近復活させたという人物に会うことができ、なぜ鳥の名前なのか、どんな味なのか判明しました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ消息不明の「ほととぎす漬」
早速やってきたのは藤枝駅前。
キョキョキョッと美しい声で鳴くホトトギスの名前が付いた漬物「ほととぎす漬」とは、どんなものなのかヒントを探して聞き込みです。
しかし「藤枝に住んでいますが知らないです」「聞いたこともないです」と、意外にも苦戦。

駅前で聞き込みをしましたがなかなか手がかりがつかめません。まさに幻の漬物です。
20年前まで食べていた人発見
そんな中、ようやくほととぎす漬を食べたことがあるという人を発見しました。
藤枝駅前にいた男性:
藤枝にほととぎす漬を作っているお店があって、よく行って買っていました。とてもおいしいです

さらにこちらの男性、ほととぎす漬が幻となった理由も知っていました。
藤枝駅前にいた男性:
今は店がなくなって食べられなくなりました。20年くらい前までは、間違いなく食べていました
かつては藤枝市内に製造しているお店がありましたが、20年ほど前に閉店してしまったことで「幻」となっているそうです。
復活させた人現る 食べてみました激辛漬け
では、その姿を拝むことはできないのか、さらなるヒントを探して向かったのは駅前の居酒屋。
地元食材にこだわった料理や地酒で人気の「駿河の食と日本酒 てら」です。

店主は熱心な藤枝MYFCサポーターで、地元でも指折りの情報通なのだそう。早速ほととぎす漬について聞いてみました。
てら 店主・寺川義則さん:
もちろん知っています。一度作り手がいなくなって途切れたんですが、きっかけがありまして、自分が復活させました

なんと途絶えたはずの漬物を、店主の寺川義則さんが復活させたというのです。
藤枝が誇る幻の漬物「ほととぎす漬」とついにご対面!
出てきたのは、紫色の漬物。その色は想像していませんでした。

店では1本110円で提供しています。
紫の漬物のどこに「ホトトギス」の要素を見いだせばいいのか、 まったくわからないものの、何はともあれ食べてみることにします。
テレビ静岡・大森万梨乃アナウンサー:
辛っ! カラシがめちゃくちゃ大量に入ってます

思わず笑ってしまうほどの強烈な辛さですが、口に入れた瞬間は不思議と甘さを感じるんです。
てら・寺川さん:
中身は白瓜の奈良漬を棒状に切って、和カラシをたっぷり塗って、赤ジソで巻いています。仕上げに砂糖水を煮詰めたものをかけています

和カラシなので、後に残らずやみつきになるおいしさです。
テレビ静岡・大森万梨乃アナウンサー:
少し時間がたつと、すっと辛味が引くんです
ほととぎす漬は藤枝の地酒とも相性抜群なのだそうです。

寺川さんによると、その起源は「東海道宿場町名物」として宿場で出された江戸時代にさかのぼります。
てら・寺川さん:
藤枝宿のお茶漬け屋で、お茶漬けに添えられて出されていました。ある時、屈強な武士が食べて、とても辛くて涙を流したそうです。漬物の名前を尋ねましたが、まだなかったので、古い歌にちなんで「ほととぎす漬け」と名前をつけることを提案したそうです
その古い歌が「木枯らしや 木枯らしの森の ほととぎす 聞くたびごとに 涙こぼるる」でした。
ほととぎす漬の由来となった歌は、「木枯らしの森」という小さな山の美しさを詠んだものでした。

木枯らしの森にいるホトトギスの鳴き声が涙を誘うように、カラシを大量に入れた漬物もまた涙を誘うので「ほととぎす漬」、という粋なネーミングです。
刺激的な辛さが、名前の由来になっていたのですね。
仲間と一緒に復活!
その後、藤枝名物となったほととぎす漬ですが、時間の経過とともに、幻の漬物となってしまいます。
作るのに手間がかかることから、引き継ぎ手がいなくて一度途絶えてしまいました。
地域の歴史や文化を体験できるイベント、「藤枝おんぱく」をきっかけに仲間を集めた寺川さん。 幻のほととぎす漬のレシピを再現することに成功しました。

てら・寺川さん:
物だけ出すとただの辛い漬物ですが、ストーリーを話しながら提供すると喜んでいただけますね
幻の漬物、ほととぎす漬はもう一度、藤枝名物として知られるようになるかもしれません。
■店名 駿河の食と日本酒 てら
■住所 静岡県藤枝市駅前2-8-24
■営業時間 17:30~23:00
■定休 火
■問合せ 090-7673-4223
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