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【磐田・海幸ゆきのや】陸上で育つエビを見に行こう! 100万匹が泳ぐ巨大水槽の秘密に迫る

今回調査するのは、あまり聞きなじみない“磐田市産”のエビ。完全に陸上で養殖された、未来の食卓を支えるかもしれない、スゴいエビなんです。その現場を見にいくと、秘密が明らかになりました。

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田んぼや工場エリアで100万匹の“エビ養殖”

海幸ゆきのやの外観

向かったのは静岡・磐田市の田んぼや工場などがあるエリア。海に面しているわけではありません。

ずらっと並んだ白い建物が、「海幸ゆきのや」のエビの養殖場です。

この中にはなんと100万尾ものエビがいるそうです。

大森万梨乃アナウンサー

海幸ゆきのや・髙谷和宏 社長:
温度を管理してエビにとって育ちやすい環境を作っています。いわゆる「陸上養殖」を行っています

海幸ゆきのやで行われているのは、全国的にも珍しい、エビの完全陸上養殖です。

海幸ゆきのや社長・髙谷和宏さん

一般的にエビの養殖は、海に近い屋外や海面で行われますが、天候による収穫量の減少や環境汚染など、さまざまな問題が起こります。

そんなリスクを回避する新たな養殖法として、いま、海で飼育しない「完全陸上養殖」が注目されているんです。

無数のシロアシエビが泳ぐ水槽へ

早速養殖場を見学させてもらいました。

リスクを回避する完全陸上養殖

扉を開けると、中は広く、水深3mの水槽が6つ並んでいます。

水は濁っていてすぐには分かりませんでしたが、よく見ると実にたくさんのエビが水槽の中で泳いでいます。

海幸ゆきのや・髙谷社長:
これは「シロアシエビ」というエビです。20g前後が一番好まれるサイズなので、もう収穫できますね

水槽の中で泳ぐシロアシエビ

一つの水槽には、多い時で50~60万尾のエビがいます。年間生産量は80tにものぼる、巨大な養殖施設です。

どうやって収穫している?

稚エビから飼育が始まり、 4カ月ほどで出荷に適したサイズに成長するそうです。

収穫の様子を見せてもらいました。

網を引っ張って収穫

水槽の中に入れた網を、一人で引っ張っていきます。その様子はまるで綱引きをしているよう。かなりの力仕事だと一目でわかります。

網が徐々に近づいてくるとピチピチと跳ねるエビが見えてきました。最後は一気に水から揚げて収穫完了!

収穫したばかりのシロアシエビ

カゴの中でも元気に跳ね回る生きの良さでした。

磐田市で養殖された、その名も「幸(ゆき)えび」は、プリっとした食感と、濃厚なうま味が特徴で、和食から洋食まで、さまざまな料理とも相性抜群です。

どんな料理にも合う「幸えび」

“波”を体感するエビたち

「幸えび」はどのように育てられているのでしょうか。 陸上ならではのさまざまな工夫を探ってみましょう。

まずは、海の波を再現する「造波装置」。

水槽に取り付けられた細長い扉が開いて、ザバーンと水が押し寄せてきました。

波を再現する造波装置

海幸ゆきのや・髙谷社長:
定期的に波を起こすことで、エビが運動するようにしています

水槽の中に流れを作ることで、エビがより活発に泳ぐことができ、健康的に育つというんです。

エビの身も引き締まり、エビの体も洗うことができる一石二鳥の装置でした。

クリーンな“地下水”で泳ぐエビ

さらに、水にもこだわりがあります。

現地で掘った井戸からは、塩分濃度が高い地下水が発見されました。

養殖に使われているのは、100%地下水ですが、海に近い場所にあるため、地下から海水をくみ上げることができるんです。

海幸ゆきのや・髙谷社長:
海水には雑菌やウイルスが含まれていますが、地下水はくみ上げるまでに土や泥や石や砂でろ過されているため、ウイルスがない水を得られます

地下水は土や泥や石や砂でろ過される

使った地下水は、施設内でろ過して再利用しています。環境を汚すことなく、エビを養殖することが可能なんです。

緑のもふもふで休憩

さらに髙谷社長が見せてくれたのは、緑色のもふもふ。

これはいったいなんでしょうか?

謎の緑色の細長い物体

水槽の中に張り巡らされているのは謎の緑色の細長い物体。

元気なエビを育てるのに、欠かせないアイテムということですが、一体何なのでしょうか。

海幸ゆきのや・髙谷社長:
実は「人工海草」といって、海にある海草を真似て作ってあります

人工海草

自然界でエビが孵化したあとは外敵に襲われやすいので、海草はエビの隠れ家や寝床になっています。

養殖にも海草があった方がいいのではとの仮説から、人工海草を取り入れ、エビたちの安らぎの場所になっています。

陸上養殖だから生でも味わえる

知恵と技術が詰まった、完全陸上養殖の幸エビを食べてみましょう。

素焼きにすると、香りとうま味が存分に味わえるそうです。

幸エビの素焼き

身のうま味はもちろん、心地よいエビのみその苦みも感じられます。

鮮度が抜群なので、刺身でも食べられます。

生のエビは歯ごたえが抜群で、一口一口ぷちぷちとはじける食感でした。

幸エビの刺身

海幸ゆきのや・髙谷社長
気候変動で獲れていた海産物が獲れない状況です。陸上養殖で獲れない海産物を補うという役割が期待されています

国内で流通しているエビの9割が輸入に頼っている現状。陸上養殖は安定供給のカギです。さらに海の養殖にはないメリットがあることが分かりました。陸上養殖によってエビの食べ方の幅も広がりそうです。

※エビは現在、業者向け販売のみ。一般向け販売はしていません。

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