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アスリートはどんな風に自分を作り上げてきたのでしょうか。世界陸上銅メダリストの為末大さんは、“自分の中心”を決めれば人生はシンプルだと語ります。
テレビ静岡で5月7日に放送されたテレビ寺子屋では、為末さんが陸上の道を選んだ自分の人生にふれ、自分をどう作ってきたのか3段階に分けて語りました。
自分を知る・・・「あいつは小心者」も実は一長一短
元陸上選手・為末大さん:
「自分を作っていく」と言われても、自分はすでにあるものだし作るもなにもと思うかもしれません。よく考えてみると自分で自分のことを本当に分かっているでしょうか。自分のことをどう捉え、どう生かしていくのかということは、すごく大事なことです。
自分を知ることの大きなポイントは、推測して自分を予想することです。
はっきりと自分はこういう人間だと分かっているわけではありません。言ったことややったこと、感じたこと、心拍数の上がり下がりなどを観察して、きっとこういう人間なんだろうと推測するのです。
よく自分を観察すると、長所と短所が同じことの表と裏を言っていると分かってきます。
アスリートでも試合の時に大胆じゃない選手に「あいつは小心者で」と言ったりします。一方で用意周到さや繊細さでもあるので、何かリスクを回避する時には大事な能力です。
一度自分を他人のようにして見て、あまり価値観で決めつけないようにします。自分にはこういう特徴があるな。それが良いか悪いかは置いておいて、と大まかに自分をつかんでいくことが大切です。
自分で考え決める・・・陸上?サッカー?
私たちが何かをやると決めているということは、何かをやらないと決めていることでもあるのです。
自分の人生の横に違う可能性が走っています。私は陸上競技の選手になりましたが、もしかしたらどこかでサッカー選手になるという道もあったかもしれません。
必ずどちらかに決めようと考えると、最後には自分が何を大事にして生きていきたいかという価値観の話になってきます。
人生の優先順位が決まり判断軸のようなものができていきます。
自分の中心がわかる・・・人生がシンプルに
自分の中心が分かるということは、周辺も分かるということ。周辺は大事かもしれないけれど、どうでもいいことです。
大事なものがたくさんあればあるほど、私たちは自由になれないし重い荷物を抱えていくことになります。これだけが大事だとなれば、それだけを懐に入れていれば、あとは周辺のこと。そんなにこだわらないで済むのです。
自分を作っていくことで人生がシンプルになります。 いま、グローバルに日本のお片付けやお掃除が注目されています。世界的にもいろんなものが増えすぎて荷物が多すぎて、本当に大事なものが何かわからなくなっているのではないでしょうか。
自分にとって何が大事なのか考えて決めると、自分を作っていくプロセスの中で人生が本当にシンプルになります。やるべきことだけに集中できるようになると思います。
為末大:1978年生まれ。世界陸上の男子400mハードルで銅メダルを2度獲得。五輪に3度出場。動画プラットフォーム「為末大学」の学長を務めるほか、スポーツと社会貢献のために幅広く活躍。
※この記事は5月7日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。