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「静岡でしか食べられない即席麺がある」。そんなうわさを耳にして調査に乗り出しました。それはかつて全国でも販売されていた「マルちゃん ハイラーメン」。いつの間に静岡限定になっていたのか、その謎を解く鍵は焼津市にありました。
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スーパーにあった静岡限定の即席めん
いまや全国各地に、地域の食材を使った「ご当地限定ラーメン」があります。
静岡にもラーメンに使えそうな食材はいくつもあり、ご当地ラーメンが静岡限定なのはわかります。
しかし、それは道の駅でも土産物店でもなく、静岡ではおなじみのスーパー「田子重」で手に入るのです。

焼津市にある田子重の田尻店、増田雄士店長の案内で店内の即席めんコーナーへ。
ずらりと並ぶ商品の中に、それはありました。
増田店長が「こちらです!」と、自信ありげに紹介したのが「マルちゃん ハイラーメン」です。

製造しているのは「赤いきつね 緑のたぬき」でおなじみの東洋水産。
それは何度もスーパーで見かけたことがあるパッケージの即席麺です。しかし、どこにも「静岡限定」なんて書かれていません。

田子重 田尻店・増田雄士 店長:
表記がなくても、もう皆さん静岡限定だと知ってますね。めちゃめちゃ売れます
この日もすでに、ハイラーメンの棚には空いたスペースがありました。
増田さんも「シンプルで昔を思い出すような味で大好き」と太鼓判を押します。

その味に「静岡限定」のヒミツがあるのでしょうか?
食べてみたら「止まらない味」
ハイラーメンの正体を確かめるべく、実際に調理して食べてみることにしました。
シンプルなパッケージには、なに味かすら記されていません。しょうゆ味? みそ味? ひょっとして塩味?
パッケージを開けると中身もシンプルで、四角い乾麺と粉末スープだけです。

静岡らしい食材は見当たりません。
熱湯で3分煮たら完成。できたラーメンもごくシンプルな見た目です。

しかし、一口食べてみると人気の理由に納得します。
にむらあつとリポーター:
うん、おいしい。しょうゆ味ですね。初めて食べたんですが、懐かしさを感じてしまうような素朴な味です。しっかりとした味と、コクがあっておいしいです

子供からお年寄りまで、みんなが好きな、まさに「止まらなくなる味」。ポークと野菜のうま味をきかせたしょうゆ味に、白コショウ、ガーリック、ショウガでアクセント。
確かにおいしい。しかし「静岡らしさ」は感じられません。
解けない謎を解明するため、製造元の東洋水産静岡支店を訪ねることにしました。
製造元の「東洋水産」に答えを聞く

対応してくれたのは、東洋水産 静岡支店の縄井翔太さんです。
まず「ハイラーメンが静岡限定というのはホント?」と直球の質問をぶつけました。
東洋水産 静岡支店・縄井翔太さん:
本当です! 静岡限定で発売をしております。かなり歴史としては長い商品です

ハイラーメンは1962年に発売され、東洋水産のマルちゃんブランドとして初めて発売された歴史的な即席めんだったのです。
しかし大阪出身の縄井翔太さんは若手なので、「入社するまでハイラーメンを知らなかった」と話します。

なぜ静岡限定になったのでしょうか?
縄井さんによれば、静岡県民のハイラーメンへの愛ゆえ、いつの間にか「静岡限定」となっていたそうです。
1. もともと全国発売していたが、時が経つにつれて他の地域では違うブランドの商品を展開するようになった。
2.しかし静岡県では人気が根強く、販売を継続。
3.その結果、今では静岡県のみで販売する特別な商品となった。

「静岡県民の熱愛がハイラーメンを静岡限定の商品にした」と言っても過言ではありません。
ハイラーメンの存続は静岡県民にかかっている!
60年以上の歴史を持つハイラーメン。その味はシンプルでありながら、懐かしさを感じさせる奥深いものでした。

全国でさまざまな即席麺が登場しても、いちずにハイラーメンを愛し続ける県民性がなんだか誇らしいぐらいです。
ところで静岡限定販売ということは、ひょっとして60年以上の歴史を持つハイラーメンの存続は、静岡県民の手にかかっている?! これは静岡のみなさん、責任重大ですよ!
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